ホシミドリヒメグモとクモヒメバチの一種(Zatypota maculata)(改題)
クモヒメバチの幼虫に寄生されたクモです。
マテバシイの葉の裏にいました。クモはホシミドリヒメグモではないかと思いますがよく分かりません。
ヒメバチの母親は、クモ自身にはどうしても払いのけられない場所に卵を産みつけるのだそうです。それは分かっても、こんな危険なお荷物を背負っていることを寄生されている当の本人は承知しているのだろうかと、余計な事を考えてしまいます。
同じ日、近くのヤブツバキの葉の裏にいたクモヒメバチの一種です。上の写真の幼虫と同種かどうかは分かりません。
(2010年1月上旬・学が丘北公園)
* 2011.2.4 追記とタイトル変更 *
ezo-aphid さん、そしてハンマーさんよりのご教示で、下のクモヒメバチ成虫は Zatypota maculata Matsumoto & takasuka という種であることがわかりました。この種のホストはヒメグモであるとのことで、つまり上の写真の幼虫は別種ということになります。ホシミドリヒメグモにはまた別のクモヒメバチが寄生するそうです。詳しくはお二人のコメントを参照してください。タイトルを「ホシミドリヒメグモ?とクモヒメバチの一種」から、表記のように変更しました。
ezo-aphid さん、ハンマーさん、ありがとうございました。
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コメント
このクモ、気の毒としか言いようがありません。
だいたい、別の種類の生き物に卵を産み付けられる事にやたらと抵抗を感じます。
とはいえ、もう既にかなりの数やられているのしょうけど。
投稿: サカモト | 2010年1月27日 (水) 23時05分
サカモトさん
実際虫探しを続けていると、このような寄生関係があまりにも普通のことなのに驚かされます。
その寄生昆虫の行動というのが、生態写真を撮る上で最も興味深いシーンのひとつなのですが。
投稿: おちゃたてむし | 2010年1月28日 (木) 13時42分
昨年の6月にZootaxaという雑誌に新種として記載された「Zatypota maculata Matsumoto & Takasuka」という種類に似ていますね。この属には国内産で12種類(うち9種を新種記載)もいるということですから、お伺いしないと確定はしにくいですが。 論文の要約には、クモの種類ごとにハチの種類も違い、10種については判明している、とあります(本文までは見られませんでした)。詳細は論文執筆者の、大阪市立自然史博物館 学芸員 松本吏樹郎さんに伺うと判りそうです。幼虫が成虫と同じ種類かどうかは、それで判るでしょうね。
http://www.mus-nh.city.osaka.jp/matsumoto/page23/page24/page173/page175/page178/page357/page357.html
投稿: ezo-aphid | 2011年2月 3日 (木) 11時06分
ezo-aphid さん、こんばんは。
ご紹介の、松本吏樹郎さんのHPの写真を見ると確かによく似ていると思います。
画像だけ見れば同種のように思われますが、多分よく似た別種が複数存在するんでしょうね。
この冬にも、やはり葉裏で越冬中の同種と思われるハチを撮っています。
いつもの虫探しの範囲では、クモヒメバチも寄生されたクモも多くは見かけません。
一度産卵の場面を見たいものですが、いつになることやら。
投稿: おちゃたてむし | 2011年2月 3日 (木) 20時49分
亀レスですみません。
このハチはezo-aphidさんのおっしゃるように、Zatypota maculataだと思われます。
ご存知かもしれませんが、消滅してしまったきどばんさんのサイトにあった掲示板に松本吏樹郎さんご自身がかなり詳細なコメントを寄せられていました。このハチに関しては写真で同定可能で、また、冬季に葉裏で越冬することが知られているクモヒメバチはこの種のみとのことです。なお、この種のホストはヒメグモです。
きどばんさん:http://www.geocities.jp/kidoban298/
ヒメグモ:http://hanmmer.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/12008920-b407.html
また、ezo-aphidさんのあげられている論文、Zootaxa, 2522: 1–43, 2010によるとホシミドリヒメグモをホストとするクモヒメバチはZatpota chryssophaga Matsumoto, 2010という種だそうです。
投稿: ハンマー | 2011年2月 4日 (金) 20時50分
ハンマーさん、こんばんは。
実は以前にハンマーさんの記事と写真も拝見していて、よく似ていることには気づいていたのですが、写真では決められないという思い込みがありました。
きどばんさんの掲示板は知りませんでした。冬季に葉裏で越冬するクモヒメバチはこの種だけとのこと、道理でどれもよく似ていると思っていました。
ハチの幼虫をつけたヒメグモはまだ見たことがありません。それほどホストの特異性があることも知りませんでした。今年はもっと注意してみたいと思います。
ご教示ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年2月 4日 (金) 21時37分
ハンマーさん、有難うございます。Zootaxaは基本的に有料なので、プアマンは要約しか見られません。
ホストの特異性があるということは、寄生されてるクモさえ判れば、クモヒメバチの新種が見つけられる、ということになりますね。ハンマーさんならできるのでは?
(クモ繋がりで:「ご近所の小さな生き物たち」のサイトに、オニグモヤドリキモグリバエという、幼虫が卵嚢を食べるハエの成虫が載ってます。個人的に難儀したニクイヤツなので見てやってください)
別件ですが、ハンマーさんの膨大な画像と情報を整理して公表されたらどんなにいいだろうと、陰ながら(新しい画像よりも)期待して待ってるのですが・・・・。
投稿: ezo-aphid | 2011年2月 4日 (金) 23時25分
ezo-aphidさん
文献は、私がリッチマンだから読めたわけではなく、あの論文のacknowledgmentに情報提供者として名前を出してもらったこともあって、松本さんがpdfを送って下さったのです。大したことをしたわけではないのですけどね。
オニグモヤドリキモグリバエのいきさつは拝見しました。いつもながら、同定にかける情熱がすごいですね。頭が下がります。私はすぐにあきらめてしまうので、ちっとも上達しません。
画像の整理は、誰のためでもなく、自分のためにやらないといけないと常々思っていますが、今は余裕がないですね。退職後の楽しみにとっておくことにします。
おちゃたてむしさん
私は2004年に一度だけ、クモヒメバチの産卵を見たことがあります。ただ、当時は虫の写真を撮り始めたばかりの頃で、ピンボケ、ブレブレの写真ばかりで悔しい思いをしました。是非もう一度出会いたいと思い続けていますが、いまだ果たせていません。今年はどうでしょうか?
ゴミグモに産卵するコブクモヒメバチ:
http://hanmmer.cocolog-nifty.com/photos/yobi/kobukumo_040529_104941.jpg
投稿: | 2011年2月 5日 (土) 20時19分
ハンマーさん、
網にぶら下がっているクモを撮るだけでも難しいのに、そんな稀有な瞬間を確実に写しとめるのは至難だと思います。
わたしは過去に一度だけクモの網に止まって様子を伺っているらしいクモヒメバチを見たことがあるのですが、しばらく見ていた間には産卵行動には至りませんでした。その時の出来の悪い写真をあらためて調べると、ハチはこの記事のものとは別種のようで、クモはヒメグモ類のようですがよくわかりません。
チャンスは忘れた頃にしかやってこないのかも知れません。
投稿: おちゃたてむし | 2011年2月 5日 (土) 21時39分
ハンマーさん、コメント有難うございます。すでに、クモの種類とクモヒメバチ新種の関係について松本さんに協力していた、というわけですね。
私が名前を知りたいのは、所属が判ればその生態など行動の意味が判るかもしれないからです。画像から種名をあてるなど、幸運でなければ無理ですね。図鑑だけで種名が判るのは稀のこと、と似てます。ネットの発達で文献が得られやすくなったことも幸運のひとつですね。
ここもいずれなりますが、ハンマーさんのように画像が2000枚近くになると、目標のモノをとても探しにくくなっています。そのため、早いうちから、訪問者に名づけ・分類を手伝ってもらい、アクセスし易くすることが重要と思います。たとえば、Dipterophilusさんの訪問で、オドリバエ関係の情報が増え、他のハエの仕分けも進んだことと思います。今回もクモヒメバチという項目があれば、松本さんも比較しやすかっただろうと。やることは単純で、カテゴリー項目の”画像数に応じた”細分化だけです。たとえば膜翅目を「ハチ類ヒメバチ、ハチ類クモヒメバチ、ハチ類コバチ、ハチ類タマバチ、ハチ類その他」に細分します。細分項目の画像数は40-50枚が限界だろうと思います。もともと訪問者は特定のグループに興味を持ってくるわけで、名づけ・再分類、情報提供もしてくれるはずです。したがって、画像の表題もできるだけ所属が判る形がいいですね。 再度お考え頂けると幸いです(もっと見てもらって情報をつけないと、もったいないと思うのです)。
長々と失礼しました。おちゃたてさん、すみません。
投稿: ezo-aphid | 2011年2月 5日 (土) 23時00分