クモマルトビムシ科の一種(? Ptenothrix sp.)(タイトル変更)
小さな虫ばかり続きます。
明石城址の、桜堀のそばの石垣にいました。この場所でよく見つかりますが、常時湿っていてコケや地衣類におおわれた石の上に多いようです。体長約2mmです。
ゆっくり動きながら地衣類を齧っているよう見えます 。この場所では冬の間、活動しているのをよく見ますが、寒さには強いのでしょう。
(2010年1月上旬・明石公園)
* 2011.1.9 追記とタイトル変更 *
ezo-aphid さんのご指摘で、海外サイトに多数の画像が見られるクモマルトビムシ科の Dicyrtomina saundersi という種によく似ていることがわかりました。(コメント参照)私の画像では触角の特徴などがはっきりしませんが、少なくとも科のレベルまでは間違いないと思いますので、タイトルを「マルトビムシの一種」から表記のように変更しました。
* 2011.1.11 追記・写真追加とタイトル変更 *
ezo-aphid さんが更に調べて下さったところ、虫ナビさんのサイトにニシキマルトビムシ属 Ptenothrix sp. として非常によく似た画像があることがわかりました。海外サイトなどの写真を見る限り Dicyrtomina属もPtenothrix属にとても似ているのですが、 どちらかと言えばPtenothrixに近いのではないかということです。種の数も日本国内ではDicyrtominaよりはるかに多いようなので、ひとまずタイトルを「クモマルトビムシ科の一種 (?Ptenothrix sp.)」としておきたいと思います。
また、少し古いものですが、触角の特徴(コメント参照)がいくらか判りそうな写真が出ていたので下に追加しておきます。
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コメント
クー、つらいですね。トビムシ類は研究者が少なく、とくにマルトビは難物のようです(「極東ソ連の昆虫検索」では、属までしか調べられません)。脚先端部などの毛の形など、プレパラート標本で見える微細構造で分類しているようです。
とりあえず、科の分類です。ミジンマルトビムシ科は特徴的で、体長1㎜未満と小型で無眼、触角は頭幅より短い。クモマルトビムシ科は、触角第2節と3節の間で曲がり、第4節は第3節より短く、背中に1対のコブがある。マルトビムシ科は、触角第3節と4節の間で曲がり、第4節は第3節より長く、背中にコブがない。触角は4節が基本なのですが、第3節・4節というのは曲者で、2次的に小節に分かれているため、よーく見ないとこれらの節を判別できません。
雄・雌・幼虫を区別できずに、科を判別するのは乱暴ですが、1月30日・31日、12月31日のいずれも触角は長めで、背中に1対のコブがあるように見えます(肝心の触角第3節は、どうなってるのかよく見えませんが)。てなことで、クモマルトビムシ科なのかなぁ、と独りごとを言っていつものように「結論はなし」です。・・・・おじゃましました。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 7日 (金) 12時27分
ezo-aphid さん、
こういう極端にピントの浅い写真では、1枚2枚ではほとんど同定の役にはたちませんね。
せめて同定に必要な形質の知識を持って撮影していればいいんですが、それもないので、あとはなるべく多くのカットをつき合わせてみる他ないでしょう。
とりあえず、この時撮影したものの中に触角がもう少しはっきり写っているカットがないか、一度調べてみます。
ひとつだけ、この場所で見かけた同類の中ではこれが最大クラスなので、少なくとも成虫ではあると思います。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 7日 (金) 22時09分
試しに、クモマルトビムシ科の Dicyrtomina saundersi という名で検索すると、外国産ですが、変異があるもののよく似た種類がゴロゴロ出てきました。触角第3節が第2節と同じくらいの長さで、第4節はその1/5くらい、ということが判ります。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 8日 (土) 23時34分
ezo-aphidさん、こんばんは。
ほんとにゴロゴロ出て来ますね。こんなマイナーな虫の一種でこれだけ出てくるのは不思議なほどです。
ここに出したものにとてもよく似ていますが、日本にはいないのでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 9日 (日) 00時21分
「国内ではどうか」とのご下問に、調べてみましたところ、皇居にはこの属の2種がいました。「虫ナビ」さんのところには、ニシキマルトビムシ属 Ptenothrix sp. として、ほとんどそっくりの画像があります(四国の霊場には、この名の2種が報告されてますが、どんなものかは不明です)。同定には、やっぱり、マルトビムシ屋さんに標本を渡さないと無理ですね。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 9日 (日) 14時26分
ezo-aphid さん、こんばんは。
確かに「虫ナビ」さんのところのニシキマルトビムシ属 Ptenothrix sp.は海外サイトで多数出てくるDicyrtomina saundersi とほとんど同じに見えますね。またPtenothrixで検索しても海外サイトでよく似た画像が出てきます。よほど外見の似た属なのか、それとも何か混乱があるんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 9日 (日) 17時52分
"Checklist of the collembola of the world"という、かなり学術的レベルが高そうなサイトに迷い込みました。するとPtenothrix sp. from Japan by Tsukiji,T (=虫ナビさん)という画像があるじゃありませんか。この属の特徴は、顔面中央に2本の毛が縦に並ぶ、触角第3節の先半分が6個前後の小節に分かれる、ということのようです。明石公園の2枚の画像は、ぼんやりながらですが、それにあてはまりそうです。このサイトだけでも90種以上の無名のPtenothrix がいますので、種名の確定は無理でしょう。 ということで結論は、「クモマルトビムシ科の一種(?Ptenothrix sp.)」でよろしいかと。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月10日 (月) 16時15分
ezo-aphidさん、こんばんは。
`Checklist of the collembola of the world`を見て、画像の量に驚きました。こんな微小な昆虫の、それも生態写真がこれだけ集まっているのは壮観ですね。あちらにはこんなものを撮る人が多いんでしょうか。
触角の写真を追加して、タイトルも変更しておきました。いろいろアドバイスを有難うございます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月11日 (火) 22時10分
おちゃたてむしさん、ここまで大変ご苦労さまでした。
トビムシ類は、どちらかというと、私は分類同定を避けていたグループです。そのため、古い情報の紹介から始めたりして、かなり右往左往させる結果となりました(スミマセン)。今日、日本産土壌動物(青木淳一編、1999)を読みましたが、それによると、Ptenothrix ニシキマルトビムシ属とDicyrtomina クモマルトビムシ属は、1)後脚の脛ふ節にある2本の剛毛の形、2)尾端の膨れのつけ根両脇にある胴感毛D の有無、で見分けるとありました。こうなると、写真の解像度の限界でもあり、「このあたりに所属する種」とまで絞り込めればほぼ充分、としておくのもやむを得ないことですね。
おかげさまで、今後どうすれば解るようになるのか、道筋が判ったことは勉強になりました。一見、美麗で特徴がありそうに見えたクモマルトビムシ科の種ですが、やはり、調べるとなると生き物は単純ではないですね。
どこの国にも、粘り強くこつこつと調べたり観察する人はいるようです。個人的偏見では、東ヨーロッパに粘り強い研究者が多いように思っているのですが、芸術の国っぽいフランスやイタリア、スペインにだって少数ながらいますもんね。トビムシは昆虫の種類数が少ない冷温帯にもいるので、そちらの方にファンが多いのかもしれません。画像の綺麗さは、どこもほぼ同格のようで、熱心な撮影努力に驚くばかりです。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月11日 (火) 23時05分
ezo-aphidさん、
私にはちょっとついて行きかねる世界ですが、生物の多様性という言葉に実感が伴ってくる気がします。
`Checklist of ・・・`で見られる画像のほとんどは研究者が撮影したものでしょうが、世界のあちこちでこんな、経済的には何の価値も無いような微小な生き物を追いかけている人がいると言うのは、考えれば愉快ですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月12日 (水) 21時51分