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2010年4月22日 (木)

ベニヘリテントウとオオワラジカイガラムシ

オオワラジカイガラムシのシリーズ3回目。
このカイガラムシの天敵といわれる、ベニヘリテントウです。

次の2枚の写真を見比べてください。
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どちらも同じマテバシイの幹です。
最初のがオオワラジカイガラムシのオスを捕食するベニヘリテントウの幼虫、2枚目がオオワラジカイガラムシの交尾です。よく似ていると思いませんか。
実は1枚目の写真も、通常の交尾だと思ってカメラを向け、ファインダーを覗いてみて初めてちょっと違うことに気がつきました。

想像を逞しくすれば、ベニヘリの姿に騙されて近づいたカイガラムシのオスが交尾姿勢にはいったところをがぶりと、というような筋書きも考えられます。しかしこの貧弱な複眼や立派な触角からみて、オオワラジカイガラムシのオスがわれわれ人間のように主に視覚に依存して行動しているとも思えません。
これが擬態の一種だとすれば誰を騙すためのものでしょう。

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上がベニヘリテントウの幼虫、下がオオワラジカイガラムシの幼虫です。

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脱皮中のベニヘリテントウの幼虫です。

(以上4枚:2009年4月29日・神戸市垂水区 学が丘北公園)

次はベニヘリテントウの成虫です。
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上の幼虫を撮った日の3週間前、やはり同じ、オオワラジカイガラムシが大量に発生しているマテバシイの幹にいたベニヘリテントウの雌雄です。この2匹の他にも同じ木の幹を数匹が歩き回っていました。

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捕食の現場を見られないかと思って、歩き回るベニヘリをしばらく見ていたのですが、カイガラムシに近づいても、さらにその上を跨ぎ越しても一向攻撃する気配がありません。
その中で一匹、カイガラムシの幼虫にしばらくの間覆いかぶさるような行動を見せていたのがこの写真です。
結局なにごとも起こらず、そのまま歩き去ってしまったのですが、あとで写真を見ると、ベニヘリの腹端が曲げられてカイガラムシに接しているように見えます。
ちょっと卵を産みつけているようにも見えますが、ベニヘリがこのカイガラムシに寄生するというような話も知りませんし、そもそもこれがメスなのかどうかもわかりません。
捕食ということしか予期していなくて、後ろの方をよく見ていなかったのが残念です。

(以上2枚:2009年4月9日・神戸市垂水区 学が丘北公園)







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コメント

この画像は見ていませんでした。よく似てますねー。
佐々治さんの「テントウムシの自然史」207頁を見ると、アトホシヒメテントウ Nephus phosphorus はオオワタコナカイガラムシ Phenacoccus pergadei の卵嚢内に1個だけ産卵する、とあります。生活史を見ると、カイガラムシの卵嚢形成期とテントウムシの幼虫期がぴったり合っています。ベニヘリではどうなっているのか見当がつきませんが、孵化後まもないテントウムシ幼虫の餌として卵嚢を使う、という考え方はどうでしょう? オオワラジは年1回の発生で、卵嚢は6月~11月と長期間あるとのことです。
 雄を食べるのは珍しいことですよね。出現時期が限られるし、捕獲が面倒だろうし(フェロモンで呼ぶ?)・・・・・。

投稿: ezo-aphid | 2011年1月 6日 (木) 09時04分

ezo-aphidさん、こんばんは。
最後の写真はちょっとした偶然かとも思いながら、気になったので出しておいたものです。アトホシヒメテントウとオオワタコナカイガラムシの話はまったく知りませんでした。テントウムシというと、どちらかと言えば単純な生活史を持っているように考えていたので、一時的にせよそのような寄生生活を送るものがあるとは驚きです。ベニヘリとオオワラジでもそんなことがあり得るでしょうか。
オオワラジのオスを捕えたベニヘリ幼虫は、その格好がオオワラジの交尾にあまりによく似ていたもので、つい擬態という言葉が頭に浮かんだのですが、ただの偶然だったのかも知れません。だいたい獲物がオスでは、あまり腹の足しになりそうにもないですものね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 6日 (木) 22時25分

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