イスノキエダナガタマフシとイスノフシアブラムシ
引き続き虫こぶです。
前の記事のイスノキの、すぐ近くにあった別に木についていた虫こぶです。葉の感じが随分違うように見えますが、これも同じイスノキだそうです。
「虫こぶハンドブック」によれば、この虫こぶはイスノキエダナガタマフシ、形成生物はイスノフシアブラムシということになります。
二つに割ったところです。すでにたくさんのアブラムシが見えますが、まだまだ余裕のある広さです。いずれこの中がアブラムシで一杯になるんでしょうか。
これで成虫なのかどうかわかりませんが、体長1mmくらいの大きめの個体です。お尻の先にはふさふさした綿毛をつけています。
小さい個体は0.5mmほどしかありませんが、立派に綿毛を生やしています。
先の本によれば、11月に有翅胎生虫がアラカシに移住するとのことです。この大きな住居から、いったい何匹くらいのアブラムシが巣立って行くんでしょう。
(2010年5月12日・明石公園)
* 2011.1.8 追記 *
ezo-aphid さんに調べていただいた結果、この虫こぶとアブラムシはシイムネアブラムシと、それが形成するイスノキオオマルタマフシである可能性が高くなってきました。(コメント参照)
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コメント
こんばんは!
虫コブの中身って、こんな風になっているのが有るのですね!
今まで、特に中身について気にしてませんでしたが、今度中身を確認してみることにします。
それにしても、撮影するにはチョット相手が小さすぎる気がしますね(^^)。
クワキヨコバイの抜け殻が残っていたので幾つか調べてみたら、ほとんどの口吻が刺さっていました。
さて、何故なんでしょうね?
投稿: そら | 2010年5月22日 (土) 22時58分
そらさん、こんばんは。
虫こぶの中身を覗いてみようという気になったのは、私もつい最近のことです。
とりあえず虫に関係することなら何にでも手を出してみようという程度の発想です。
ヨコバイの抜け殻ですが、私も職場の近くのシャリンバイでいくつか調べてみると、やはり口吻を突き刺しているのが普通のようです。
その反面脚は遊んでいるように見えるので、やはりこれは羽化の際の足場の確保を口吻に頼っているということではないかと思います。
投稿: おちゃたてむし | 2010年5月22日 (土) 23時23分
現物を見たことがありませんので「日本のアブラムシ」(宗林正人、1983)の検索表を抜粋します。
枝にできる、表面が滑らかな袋状で、緑色(暗褐色ではない)の虫こぶ。1)直径約4cm のほぼ球形:シイムネアブラムシ Metanipponaphis cuspidatae、秋から春はシイで育つ。2)直径約3cm、長さ約5cm、イチジク状で先端に数個の小突起:イスノフシアブラムシ Nipponaphis distyliicola、秋から春はアラカシで育つ。3)直径約3cm、長さ約5cm、細長く中央で少し膨らむ:シロダモムネアブラムシ Nipponaphis litseae、冬季?はシロダモで育つ。 これに照らし合わせると、1)シイムネアブラムシのように思われますが、どうでしょう。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 8日 (土) 22時05分
日本虫えい図鑑(1996)には、それぞれの虫こぶを、1)イスノキエダオオマルタマフシ、2)イスノキエダナガタマフシ、3)イスノキエダホソナガタマフシ、と呼んでいます。また、シロダモムネアブラムシもほかの2種と同様に、秋から春にシロダモで育つ、とのことです。この図鑑に、2)3)の写真は載っていますが、1)はありません。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 8日 (土) 22時44分
ezo-aphid さん、お手数かけました。
写真の虫こぶは「イチジク状」にも見えるのですが、「先端の小突起」らしきものは見当たりません。同じ時に撮った周りの虫こぶの写真も調べましたがやはり突起はないようです。おっしゃるようにシイムネアブラムシの可能性が高そうですね。
「イスノキエダナガタマフシ」で検索をかけると、同じような虫こぶの写真が多数出てくるのですが、この写真のように全体が滑らかで突起のないものと、先端部を取り巻くようにいくつかの突起を並べたものが混在しています。少し混乱があるのかも知れません。
とりあえず追記を入れておきます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 8日 (土) 23時56分
イスノキのゴールは不思議ですね。改めて一連の写真を眺めてみました。
1枚目は、直径約40mmの虫こぶ(こんな、大きなすみかを、どうやって作ったのか?)。2枚目は、8頭の幹母とその子虫たち(このサイズを20頭弱の幹母たちが共同して作った!?)。3・4枚目(幹母成虫とその中齢?幼虫)。
ゴールは、植物の生長が盛んな部分に、昆虫唾液中のオーキシン様物質などの刺激を受けて細胞が肥大(増殖?)するためにできる、とのことです。だから、ゴールの多くは、新葉・新梢にできるのですね。ほとんどの小型ゴールでは幹母幼虫の1頭だけが(時には所有権を争って)作りますが、このようなゴールではたぶん1世代だけ育つのでしょう。イスノキで多くの幹母が仲良く共同して大きな部屋を作るのは、内部で2-3世代を育てるためなのかな。誰かが作り始め、それが閉じてしまわないうちに、三々五々集まって同居する(手伝う?)のかしらねぇ。どうして一定のサイズになるんだろう、定員数があるのかなぁ。”兵隊 ”は出るの?、いつ頃?、敵はだれ?、どんな武器で? イスノキには似た種が多いので、まちがえて、複数種が同居することはないのかなぁ。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 9日 (日) 09時31分
ezo-aphidさん、こんにちは。
虫こぶの中の幹母というのは一頭だけだと思っていたのですが、複数の幹母が同居することもあるんですね。2枚目に写っている大きなのがそれぞれ幹母なんでしょうか。
種名については、虫こぶの形の違いがが今ひとつはっきりしないので、とりあえずタイトルはそのままにしておきます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 9日 (日) 14時23分
おおっと、またしても早とちりだったかも。確かに、多数の幹母が同居して大ゴールを作る、という事例はきいたことがありませんね。日本虫えい図鑑(1996)に記載されているイスノキのムネアブラムシ類の生活史は、三重県伊勢市に住む宗林さんの観察とおもいます。そこに、この種の幹母が孵化する時期はのっていませんが、他種はおおむね4月下旬ころの孵化なので、明石でも同時期なんだろうと決めつけちゃいました。それからおよそ3週間後の5月中旬に見つかる産子中の親虫は、まさか幹母の子世代ではあるまい、という想定です。
おちゃたてさんのご指摘通り、明石における孵化時期とその後のゴール内の世代経過を追跡しないと言えないことですね。「複数幹母のゴール同居」を言うには調査不足でした。ご指摘ありがとうございました。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 9日 (日) 16時39分
ezo-aphid さん、こんばんは。
この春、出来はじめの虫こぶが見つかれば、一度調べてみます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 9日 (日) 17時57分