オナガアシブトコバチの産卵
3年前の写真です。
アカメガシワの枝の高いところにハラビロカマキリの卵がついていて、それに何かゴミのようなものがぶら下がっているように見えます。念のため枝をひきおろしてよく見ると、ゴミではなく小さなハチでした。
オナガアシブトコバチです。カマキリの卵に寄生することは知っていましたが、産卵を見るのは初めてです。
同じ個体のアップです。金属光沢の美しいハチなのですが、写真ではそれがうまく出ていなくて残念です。
実はこの時さらにもう一匹卵の裏側で産卵していました。そこで疑問に思うのはこのハチがどうやって3匹も集まってきたかということと、なぜカマキリの産卵直後の秋や冬ではなく、宿主の孵化も間近な5月の末になって産卵していたのかということです。
少なくともこの公園では滅多に見ることのないハチなので、3匹がまったく別々にこの一つのカマキリの卵に到達したとは考えにくいと思うのです。とすればこのハチは自分たちがその中で育って羽化した、その同じ宿主にさらに卵を産みつけていることになります。そう考えてあらためて写真を調べると、カマキリの卵鞘に脱出口がいくつか開いているように見えます。
この推測が当たっているとすると、この時産みこまれた卵から孵ったハチはどこで産卵するのかという疑問が生じます。秋になって新たに生みつけられたカマキリ卵を探して産卵するのでしょうか。だとすればこのハチは同じ宿主で2世代を繰り返すことになります。
勉強不足で想像するばかりです。ご存知のかたがあればお教えいただければ幸いです。古い写真ですが、再び見る機会があるかどうかわからないのでここで出しておきます。
(2007年5月22日・明石公園)
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コメント
こんばんは、
初めはシリアゲアシブトコバチかと思ったのですが、当地でオナガアシブトコバチは見たことがありません。それにしても、豊かな環境のフィールドですね。
寄主も寄生する側も、それぞれ、バランスよく世代交代を繰り返し、減りも増えもしない関係を作っているのでしょうかね???
>同じ宿主で2世代を繰り返す・・・
「岩崎 拓・オナガアシブトコバチのオオカマキリとチョウセンカマキリ越冬卵嚢への寄生」の論文抄録によると、
「越冬世代成虫を準自然条件下で飼育した結果、すべての個体が7月中旬までに死亡し、カマキリの卵嚢が産まれる秋まで生存した個体はいなかった。」
とあるので、「越冬世代成虫」がハラビロに産卵し、ふ化した次世代成虫が秋になって再度産卵、そのまま卵塊の中で越冬ということを繰り返すと推論されますが・・・。
どなたか、これに詳しい読者が書き込んでくれて、盛り上がって欲しいのですが・・・
投稿: jkio | 2010年5月30日 (日) 22時32分
jkioさん、おはようございます。
これを撮った場所は周囲を市街地に囲まれた公園で、種数も個体数も少ないのですが、しつこく通っているとたまに見つけ物があります。
このハチの生態については、秋期の産卵が観察できれば良いのですが、少なくともこの場所では再度産卵を見ることそのものが難しそうです。どちらにしても、年一化のカマキリ卵に春と秋の二度産卵するというのは、変わった生活史ですね。
投稿: おちゃたてむし | 2010年5月31日 (月) 06時30分