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2010年6月26日 (土)

タマゴクロバチの一種の羽化(Telenomus gifuensis)(改題)

6月9日に見つけて持ち帰ったヤマモモの葉のカメムシ卵(前回の記事参照)からは、約十日後から予想通りタマゴクロバチの一種が出はじめました。2~4匹づつ毎日のように羽化してきたのですが、実際に卵殻を破って出てくるところを観察できたのは3日間だけで、いずれも早朝でした。次の写真は6月24日の朝に2匹があいついで羽化してきたときの模様です。

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朝6時、すでにこの朝出てきたハチが一匹歩き回っていますが、続いて画面右下に見える2個の卵にも小さな窓が開いて脱出が始まっています。この時点で14個の卵のうち8個がすでに抜け殻になっていますが、穴の状態は出てきたのがすべて寄生バチだったことを物語っています。

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約45分後、右のハチの穴はほぼ充分な大きさになりました。左の殻からのぞいているもう1匹と触角の形が異なります。多分オスとメスの違いだと思いますが、どっちがどっちなんでしょう。

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出て来はじめるとあっという間で、肝心な瞬間を撮り逃がしました。左の翅が少し捩れているように見えますが、これから正常に伸びるのでしょうか。

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さらに約40分後、左のハチがようやく顔を出しました。

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今度はなんとか出てくる瞬間を撮ることが出来ました。やはりこの触角の太い方がオスのように思われます。

この日は朝のうちにもう1匹、計4匹が出てきました。次の日(6月25日)にはやはり6時前から1匹が小さな穴を開け始めたものの途中で休止、そのハチは今朝(26日)になって工事を再開し、無事脱出しました。
現在(26日夜)中身の残っている卵は1個のみで、ここからハチが出てくれば合計14個のカメムシ卵すべてから寄生バチが羽化してきたことになります。カメムシにとっては恐るべき天敵です。

(2010年6月24日・神戸市垂水区の自宅)

* 追記と訂正(2011.1.6)*

前日の記事と同じく、Kurobachiさんから詳しく教えていただきました。
これらは
 タマゴクロバチ科のTelenomus属で、中でもTelenomus gifuensisに近いらしいとのことです。私の当てずっぽうは外れて、触角の太い方はメスで、細長い方がオスだそうです。詳しくはコメントを。

* 追記と写真追加(2011.7.20)*

その後ひげぶとさんより、Telenomus gifuensis ではなく同属のT.lucullusであろうとのご指摘をいただきました。両者には触角に明確な違いがあるとのことですが、上の画像では節の切れ目がはっきり確認し難いので、一部拡大画像を次に追加します。上2枚がメスで下がオスです。詳しくはコメントを参照して下さい。

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* 追記とタイトル修正(2011.7.20) *

触角の拡大画像を確認してくださったひげぶとさんから、やはり Telenomus gifuensis で間違いないとのコメントをいただきました。タイトルにも種名を入れておきます。ひげぶとさん、ありがとうございました。
ちなみに、北隆館の大図鑑ではこの種にギフクロタマゴバチの和名があてられています。しかし現在では誰も使っていないようで、ネットで検索しても(ギフクロタマゴバチでもギフタマゴクロバチでも)何も出てきませんでした。素人にはわかり易い和名があると有難いんですが。

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膜翅目」カテゴリの記事

コメント

こんはんは!

相変わらず、素晴らしい写真を撮られてますね。
それにしても、一度ターゲットにされると全滅なんですね。

私も、少し前にクサカゲロウの繭を1個だけテイクアウトしたのですが、先ほど見たら抜け殻になってました。
部屋の中を見渡してみましたが、それらしい虫さんもいませんでした。
何か出てくれば気が付くだろうと、入れ物には入れずに机の上に置いといたのだけど、これじゃ全然意味がなかったですね(^^;。

投稿: そら | 2010年6月26日 (土) 21時52分

そらさん、こんばんは。
孵化や羽化を観察するのはタイミングの予測がつかないものが多くて、難しいですね。
アゲハの蛹みたいに羽化が近づくと中身が透けて見えればわかりやすいんですが。
今回のハチは、毎回私の起床時間に合わせたように行動を始めてくれたので幸運でした。

投稿: おちゃたてむし | 2010年6月26日 (土) 22時16分

 引き続き時期外れのコメントで失礼します.
 やはりタマゴクロバチ科のTelenomus属に間違いないようです.種の同定は確実ではありませんが,Telenomus gifuensis に近いのではないかと思います.上の写真の触角の細長い方がオスで,この子たちを産んだ母親が1匹の場合には,カメムシの卵塊からオスが1匹しか出てこないことが多い.後は全部メスが羽化してきます.しかし,産卵した母親が複数の場合には,複数のオスが羽化してくることが多い.下の写真のように触角の先端が膨らんでいるのがメスです.
 ちなみに,大アゴで卵殻を食い破って出てきたときが羽化したように見えますが,ハチはカメムシの卵の中で羽化してハネを伸ばしきっています.ハチが大アゴを使用するのはこの時と,メスの場合には寄主の卵塊上で他のメスとバトルをするときくらいです.

投稿: Kurobachi | 2011年1月 6日 (木) 10時51分

Kurobachi さん、
古い記事にまで目を通していただき恐縮です。
触角の細長い方がオスなんですね。やはり私の当てずっぽうは間違っていました。
この卵塊からは少なくとも2匹以上のオスが生まれてきているので、母親はおそらく複数いたということですね。
全部の卵を1匹の母親が産んだ場合には生まれてくるオスは1匹だけということは、そのオスが姉妹すべてと交尾するということでしょうか。
ハチはカメムシの卵に穴を開ける前に羽を伸ばしきっているとのこと、カミキリムシなんかと同じですね。これらの写真には羽化というよりも脱出とつけた方が正確でしょうか。
ご教示有難うございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 6日 (木) 23時22分

Telenomus属は日本から25種が記録されています。このほかにも未記載種が多く標本を見ないと確定は出来ないのですが、写真から判断すると写真の種はTelenomus lucullus Nixonに限りなく近い種、あるいはそのもののように見えます。
 現在まで日本では奄美大島のみから記録されていますが、神戸が分布域として北に偏り過ぎているということはなく、ほかに同様の分布を示す種もおります。
 これまでhostもオスもUnknownということでしたから、もしも標本を残していらっしゃるのでしたら名城大学の山岸先生にお送りするのが適切かもしれません。

投稿: ひげぶと | 2011年7月18日 (月) 18時12分

ひげぶとさん、ご検討ありがとうございます。
先にKurobachiさんからT.gifuensisに近いのではないかとのご意見もいただいていて、私には判断のしようがありません。
標本も残していないので、私としてはとりあえず属名が確定したことで満足しなければならないでしょうね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月18日 (月) 20時28分

おちゃたてむしさま
 Telenomus lucullus Nixon と Telenomus gifuensis Ashmead は形態的にはかなり似ているのですが、前者はアンテナの第3節(1st funicle segment)が第2節(Pedicel)よりも明らかに短く、後者はほぼ同長という決定的な違いがあります。
 細かなことではありますがWebサイトは公器ですから、明らかな間違いは正しておきたいと考え投稿しました。お騒がせして、すみません。

投稿: ひげぶと | 2011年7月20日 (水) 00時00分

ひげぶとさん、おはようございます。
触角の違いについてのご説明をありがとうございます。確かに5枚目の画像ではご指摘の通り第3節が第2節よりもはるかに短いように見えるのですが、念のため元画像を拡大してみると、掲載画像では解像度不足のため本来の第3節が二つに分かれて見えているのではないかということに気付きました。不鮮明な画像で申し訳ありませんが、拡大画像を追加しましたのでご覧下さい。第3、第2節が等長という見方をすれば全体の節数ではメスのほうが1節短い11節となりますが、手もとの図鑑では同属のT.dignusがやはりメス11・オス12節となっていました。lucullusやgifuensisではどうなのでしょうか。ご意見お聞かせ下さい。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月20日 (水) 10時20分

おちゃたてむしさま

 拡大写真を確認しました。
 やはり、写真からの同定は無理を伴いますね。大変お騒がせいたしましたが、写真のクロバチはT. gifuensisと特定して間違いありません。gifuensisのアンテナ構成はT. dignus 同様、メスが11節、オスが12節です。
 日本産Telenomusの多くがこのような構成で、メスが10節、オスが12節というものはT. kuboi Yasumatsuなど5種が知られています。

投稿: ひげぶと | 2011年7月20日 (水) 12時05分

ひげぶとさん、
素人に根気良くお付き合いいただき感謝しております。
混乱の因は一面的な写真と、重要な判別点についての知識がないことだということがよく分かりました。大変勉強になります。これからもよろしくお願いいたします。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月20日 (水) 12時22分

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