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2010年6月24日 (木)

オナガアシブトコバチの産卵・2

先月末に、3年前に見たオナガアシブトコバチの産卵の記事を載せたばかりなのですが、この6月になって同じシーンを再度観察することができました。場所が意外だったのと、少し不思議に思うこともあったのでもう一度出します。

場所は仕事場近くにある公園の周囲の 、ごく貧相な緑地です。昨年暮れに、ユズリハの枝に産み付けられたハラビロカマキリの卵を見つけていたので、孵化の様子が見られないかと5月頃からときどき覗きにいっていました。

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今月9日になって、その卵に例のオナガアシブトコバチがとまっているのを見つけました。周囲は神戸市街の中心部の、カマキリがいたことだけでも意外に思えるような場所なので、ちょっと驚きました。

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ときどき通りかかるアリ(ハリブトシリアゲアリ?)に邪魔されてなかなか産卵の態勢に入れない様子でしたが、しばらく時間をおいてから見に行くと、おなじみの姿勢で産卵中でした。

なにしろ仕事場のすぐ近くなので、休みの日以外毎日のように見に行きましたが、12日までの4日間、同じ個体と思われるハチが産卵しているのが見られました。

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これは最後に産卵を見た12日のものです。産卵管を突き刺す場所はこの面にきまっていたようです。

13日以降は産卵行動は見られず、ただカマキリ卵にとまっているだけでしたが、アリを避けて近くの枝に退却することはあってもしばらくすると必ず戻ってきていました。

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これは14日の写真。何かを待っているように見えてしまうのですが、メスの羽化を待ち受けるオスバチというのはよくある話ですがその逆は聞いたことがありません。

さらに数日たって20日の午後に見に行くと、今頃になってカマキリが孵化したらしく、脱皮殻がぶら下がっていました。しかし出てきた幼虫の数は多くはなさそうです。

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画面右下にはまだぐずぐずしている幼虫が一匹見えます。左側にはやはり同じハチがじっとしています。

この日を最後にハチは姿を消しました。最初に見たときから12日間、私が覗くたびに必ずこの場所ににいたので、すべて同じ個体だと思います(証拠はありませんが)。5日目以降産卵行動が見られなくなったのは体内の成熟卵が尽きてしまったせいかも知れませんが、それから一週間も自分の餌にもならないカマキリ卵に張り付いていた理由がわかりません。だからどうということもないのですが、こんな虫にもそれなりの個性があるような気がしてきました。

(2010年6月9~20日・神戸市中央区)

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コメント

こんばんは!

寄生相手に対して1個しか産卵しない場合は、次を探す必要がありますが、こう言う場合でも一度で産卵を済ませてしまう訳ではないのですね。
しかし、ハチさんも「毎日変なおじさんが覗きに来てる!」って思っていたんでしょうか?
行き当たりばったりで、虫を探しているので産卵シーンには、なかなか遭遇しませんね(^^;。

投稿: そら | 2010年6月24日 (木) 22時38分

うーん、ドラマチックです。
母バチは卵を産みつけたカマキリがちゃんと出てくるのを確認したかったのでしょうか?
もし出てこなかったら、どうするんでしょう?

しかし・・・、これほどまでに丁寧に観察してもらって、カマキリもハチも喜んでいるでしょう。
(喜んで・・・ませんね(^_^;))
最近、やぶ蚊と蒸し暑さに負けている私ですが、おちゃたてむし先生を見習わなくては・・・。

投稿: 夏子 | 2010年6月24日 (木) 22時42分

そらさん、こんばんは。
寄生卵を生みこまれた卵鞘から、それでもこれだけのカマキリが孵化してきたのは私も意外に感じました。当然カマキリは全滅だろうと、漠然と思っていました。
行き当たりばったりでは、私も人後に落ちないと自負しています。犬も歩けばなんとやらを日頃から当てにしているのですが・・・。

投稿: おちゃたてむし | 2010年6月24日 (木) 23時01分

夏子さん、こんばんは。
卵を産みつけられたカマキリは、多分ハチに生まれ変わって出てくるだろうと思うのですが・・・。でも宿主と寄生者がこんなふうに顔を合わせるとは面白いですね。
蚊には悩まされましたが、仕事の合い間にちょくちょく覗きに行くだけなので何の努力もしていません。日頃の仕事ぶりに想像がついてしまいますが。

投稿: おちゃたてむし | 2010年6月24日 (木) 23時11分

あ、この場合はハチが出てくるわけですね。
アオムシコマユバチみたいに、寄生されたままいったん生まれて、だんだん弱っていくのかと思いました。
失礼いたしました(^_^;)

実験的に持ち帰ったクサカゲロウの繭3個のうち、2個はクサカゲロウ、1個はハチが出てきましたが、これと同じことですね。

投稿: 夏子 | 2010年6月25日 (金) 19時24分

夏子さん、
クサカゲロウの繭というのもそちらのブログを拝見して初めて知ったのですが、その繭から出てくる寄生バチにはさらに興味をひかれます。写真を撮っておられたら是非公開してください。

投稿: おちゃたてむし | 2010年6月25日 (金) 20時20分

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