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2010年7月 6日 (火)

タマゴクロバチの一種の産卵(Trissolcus sp.)

少し前にタマゴクロバチの一種、そしてその羽化の記事を出しましたが、今回は産卵の様子です。ただし前の種とは触角や前胸背板の形が一致しないので別種のようです。

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かなり大きさに差のある2匹ですが、同種のようです。卵塊の周辺部の卵にはこのような姿勢で産卵していました。殻の底の方に弱点でもあるのでしょうか。邪魔になるからでしょうが、翅を立てる姿勢も特徴的です。
卵は今回もヤマモモの葉の表に産みつけられたカメムシのものです。周りの葉には他にも数多くの卵塊があって、赤く熟した実から吸汁する
ツヤアオカメムシの成虫も数匹見られました。親はこのカメムシでしょう。卵は前の記事でハチの羽化を観察したときのものと全く同じに見えるので、あの時チャバネアオカメムシのものとしたのが少し怪しくなってきました。

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これは内側の卵に産卵するところでしょう。上の写真の、大きい方の個体です。

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翅の周囲の細かい毛がきれいです。

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これは別の卵塊で仕事をしていた別の個体です。産卵管が突き刺さっているところを確認したかったのですが、うまく撮れませんでした。抜くときに一瞬、短い産卵管が見えただけです。

(2010年6月29日・明石公園)

* 12月10日・追記と写真追加 *

このハチについてezo-aphid さんがいろんな資料を検討して下さっています。(コメント参照)
それに関連して、上の写真では背面の状態がよく見えないので同じ時に撮った写真を1枚追加します。


_dsc0825
どうも他力本願でいけませんが、参考にしていただければと。

* 2011年1月6日・追記 *

Kurobachiさんからこのハチについて、Trissolcus属であると教えていただきました。詳しくはコメントを参照してください。

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膜翅目」カテゴリの記事

コメント

おじゃまします。
いい写真ですねー。もちろん自動焦点じゃなく、「手持ち+ストロボ」ですよね? 風の日はつらい?? 焦点があった画像を得るまでには、相当我慢強くないと(虫に思い入れがないと)できないと思います。

 この中世騎士の甲冑を着たようなタマゴクロバチが、無名のままでいるのは残念なので名前を探してみました。
カメムシの卵には、日本のダイズ圃場のカメムシに、Trissolcus, Gryon, Telenomus など4属、トビコバチ科のOoencyrtus カメムシタマゴトビコバチなどが寄生する(水谷信夫ら、1996、応動昆)とのこと。探してみると、コバチ上科の他の数科にもいるらしい。さて、これらのうち、どれなのか? [ Trissolcus sp. sunn pest ]で検索すると、KOÇAKというトルコ人の論文が出てきます。これにハチの部分図(走査電顕写真)がたくさん載ってる。日本との共通種はいないようだけど、これらに似てるような気がする。雄の触角は太さが単調で、雌は先の5節が膨らんでる。日本にはTrissolcus属に10種ほどいて、ミツクリというのが有名らしいけど、それとは違うようだ。 ・・・・・結局、種類は判りません、・・・・いつものことですが。
6/25, 6/28, 7/6 の3枚はタマゴクロバチ科のTrissolcus sp. 、その後の 7/14, 8/30 はコバチ上科のように思うのですが、科の所属もわかりません(・・・・単眼の集まり方と翅脈の形に違いがあるような)。
結論としては、「なんのアドバイスもできず、ホントにおじゃま、さま」でした。


投稿: ezo-aphid | 2010年12月 9日 (木) 15時46分

ezo-aphid さん、いろいろお世話になります。
ストロボを使えばブレる心配はまずなくなりますが、ピントに関しては確率の問題と割り切って、ひたすら「下手な鉄砲」を実践しています。ほとんどカメラの耐久テストで、これだけはデジカメさまさまです。
卵に寄生する小さな黒いハチはみんなタマゴクロバチ科だと勝手に考えていましたが、他にも沢山いるんですね。KOÇAK さんの走査電顕写真を私も覗いてみましたが、確かに「甲冑」の彫刻などよく似ていると思いました。また6/26の記事で、触角の形の違う2匹の雌雄の別がわからなかったのですが、先の5節が膨らんでいる方が雌だということですね。
おじゃま、さま、どころか大変勉強になります。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月 9日 (木) 21時24分

 カメラの耐久テストとは・・・・・・、なんと自虐的な。 「なるべく美しい一瞬を撮ってあげたい一心で・・・・」と世間には言っておきましょう。
 不慣れな昆虫群に対する「あてずっぽう」を採用して頂き有難うございます。正しい分類・同定はとっても不安ですので、誰か、これらの分類群をわきまえた方のご意見がほしいところです。参考サイトとして、タマゴクロバチ科については、「 Platygastroidea world 」と検索、コバチ類については「 Universal Chalcidoidea 」と検索すると、膨大な関連情報を持つデータベースに出会えます(上手な使い方はまだ不明です)。
 チャバネアオカメムシ卵に寄生する、チャバネクロタマゴバチ(Trissolcus plautiae)と検索すると、別雌との重複産卵を防ぐようすの動画も出てきました。それを見ると、産卵後の雌は、産卵管あたりからの糸状物をカメムシ卵の蓋周囲にからめるような動作をしています。画像の雌たちではカメムシ卵の底部から産卵するため、このような行動は無効と思われるので、これらは別の属なのかもしれません。また、検索によって現れるチャバネクロタマゴバチは、背面図なので比較しにくいのですが、この画像よりずいぶん太く短いように見えます。画像イメージだけで名前を当てはめるのは、どうしても無理がありますねぇ。
 この撮影のおりに、産卵雌の「まじない風の奇妙な行動」はありましたか?

投稿: ezo-aphid | 2010年12月10日 (金) 18時07分

ezo-aphid さん、こんばんは。
早速、チャバネクロタマゴバチの産卵後行動の動画を見てみました。
私が撮影した際にはこのような行動は見られなかったように思いますが、こちらの干渉が原因かも知れません。一応元画像を拡大表示してみましたが、それらしき糸状物は見えませんでした。もっとも、動画の説明によれば「走査電顕で確認すると」とありましたから、この解像度では無理だと思いますが。
「 Platygastroidea world 」や「 Universal Chalcidoidea 」も覗いて見ましたが、写真を見ながら自分の撮ったものと比べてみるくらいが関の山で、正直私には手におえません。
チャバネクロタマゴバチについてはわかりやすい画像を探し当てることがまだ出来ていませんが、この記事に出した写真と同じ時に撮ったものの中に背面の状態がもう少しわかりやすいものがあったので追加しておきます。
こんな記事をこれほど丁寧に見て下さる方が現れるとは思いませんでした。そのような詳細な検討に耐えられる写真が撮れればいいのですが。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月10日 (金) 22時55分

 このタマゴクロバチの同定は厳しいですね.同じ種類で個体変異のメスだとは思いますが,右側の大形のメスでは中胸楯板(胸部背面の円盤)に2本の溝が確認できますが,左側の小型のメスでは角度の関係で溝があるのかどうかわかりません(たぶんあるんでしょうね).
 少なくとも右側のメスはTrissolcus属です.中胸楯板に2本の長い溝が確認できて,触角が真っ黒なので,既存の種と同定できませんでした.Trissolcus mitsukuriiの場合には触角の基部側が黄褐色で先端の太いところ(棍棒状部)が黒,Trissolcus plautiaeの場合には触角が全て黄褐色で一致しませんでした.結局,Trissolcus sp.になりました.
 ついでですが,クロバチの仲間は産卵する時の姿勢が後ろ向きです.後ずさりしながら産卵します.一方,ヒメバチ,コマユバチ,それから大部分のコバチは産卵管を90度折り曲げて,寄主の上に立って突き立てるように産卵します.ただし,トビコバチ科やツヤコバチ科のように腰のくびれが不明瞭になった連中はクロバチのように産卵する時の姿勢が後ろ向きです.

投稿: Kurobachi | 2011年1月 6日 (木) 11時25分

Kurobachiさん、
コメントをいただいてからこの時撮影した別カットを調べてみましたが、左側の小型のメスにも中胸楯板のに2本の溝を確認できました。
また触角の色ですが、拡大してみると小型のメスで柄節全体、大型のメスで柄節基半部が黄褐色というより赤褐色に見えます。
産卵姿勢について、大変勉強になります。クロバチ類は言ってみればかなり不器用なハチなんですね。
有難うございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 7日 (金) 00時10分

 たびたびお騒がせします。この種は、写真から判断するとTrissolcus japonicus (Ashmead)に限りなく近い種か、そのもののようです。

投稿: ひげぶと | 2011年7月18日 (月) 18時26分

ひげぶとさん、こんばんは。
ご教示いただいた種名で検索すると、次のような論文が見つかりました。(九州大学農学部紀要)
http://128.146.250.117/pdfs/944/944.pdf
私には本文はちんぷんかんぷんなのですが、この中のTrissolcus japonicusの背面図と上の5枚目の画像を見比べてみると、第1、第2腹節あたりの背面の構造が少し異なるように見えます。どんなものでしょうか。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月18日 (月) 21時42分

おちゃたてむしさま
実は、現在Trissolcus japonicusとされている種には、2種のハチが含まれています。2種というのは、Trissolcus japonicusとご指摘の論文でシノニムとして消されたTrissolcus plautiae (Watanabe)です。80年代半ばにplautiaeの所属について平島先生に確認したところ、いただいた私信でTrissolcus plautiae はjaponicus のシノニムではなくgood speciesであったとおつたえいただきました。しかしその後、plautiae を復活させる論文が書かれていないので、1つの学名に2種が混在するという状態が継続しています。
したがって少し正確に記述すると、写真の種は公式にはTrissolcus japonicusと書かざるを得ないのですが、実はTrissolcus plautiae であろういうことです。

投稿: ひげぶと | 2011年7月18日 (月) 23時53分

ひげぶとさん、おはようございます。丁寧なご説明ありがとうございます。
そんないきさつがあったのですか。Trissolcus plautiae (Watanabe)の名はチャバネクロタマゴバチとしてあちらこちらに登場しますが、公式には消えたままなのですね。
ただ、Kurobachiさんからのコメントによれば、Trissolcus plautiaeとは触角の色が合わないということで、フッカーSさんのサイトに掲載された写真でも黄色部がもっと大きいように見えます。
http://tokyoinsects.blog14.fc2.com/blog-entry-1175.html
結局標本を採集して同定をお願いするのが一番なんでしょうね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月19日 (火) 08時08分

おちゃたてむしさま
 ひげぶとです。
 タマゴクロバチ科の付属肢の色彩は一般的にアンテナはかなり安定していますが、その他の部分は個体の日齢や標本のコンディションなどによってかなりの幅があります。
 このあたりは同種の多数の個体を見ることで感得されていくものなので何とも説明は難しいのですが、少なくともたった1枚の標本写真を判断基準にされることは避けられた方が良いと思います。
 タマゴクロバチ科のハチたちの色彩はさまざまな黒を基調に、鮮やかな黄色との対比があったり、種それぞれの印刻の違いがあったり、マットな部分とツヤのある部分の絶妙なバランスがあったりと、1ファンとしては精妙な美術品を見るような感動を覚えます。さらに、host-parasitoidという関係性を軸に、系統を考えるための最高の素材であるとも感じます。

投稿: ひげぶと | 2011年7月19日 (火) 23時35分

ひげぶとさん、おはようございます。
色彩の変化についてのご説明はよくわかります。やはりTrissolcus plautiae japonicus(=Trissolcus plautiae )ですか。他力本願の悲しさで、複数の、それも専門知識をお持ちの方から異なるご意見をいただくとどうしても慎重になってしまいます。
タマゴクロバチというと、最近までどれもこれも似たような黒くて小さなハチという認識しか持っていなかったのですが、数種を見ただけでもそれぞれに印象的な特徴があるものですね。特にTrissolcus属の、ezo-aphidさんの言葉を借りれば中世騎士の甲冑を着たような姿は魅力的です。素人ながら、これからも機会があればいろんな種を撮ってみたいと思っています。

投稿: おちゃたてむし | 2011年7月20日 (水) 10時54分

今年の3月に、Trissolcus plautiaeは、T. japonicus とは異なるgood species として復活しました。
九大の広瀬さんと松尾さん、オハイオのJohnsonの共著で、以下の論文名は以下の通りです。
A taxonomic issue of two species of Trissolcus (Hymenoptera: Platygastridae) parasitic on eggs of the brown-winged green bug, Plautia stali (Hemiptera: Pentatomidae): resurrection of T. plautiae, a cryptic species of T. japonicus revealed by morphology, reproductive isolation and molecular evidence

投稿: ひげぶと | 2014年12月18日 (木) 16時24分

ひげぶとさん、こんばんは。新たな情報をありがとうございます。
ご紹介の論文は私には歯が立ちませんが、要旨をgoogle翻訳で読めば生殖隔離の検証実験とDNA解析によりT.japonicusが復活したということでしょうか。でも形態的にはごく小さな違いしかないようですから、生態写真での区別は無理なんでしょうね。

投稿: おちゃたてむし | 2014年12月18日 (木) 21時18分

おちゃたてむしさん、おはようございます。
生態写真での区別は可能です。両種はScutellum の形態で見分けることができます。
Scutellum 全体が細かい印刻に覆われているのが T. japonicus、 Scutellum の後ろ半分に印刻を欠きピカピカ光っているのが T. plautiae です。
この写真に関しては、Scutellum が後翅で隠れているので判別できませんでした。

投稿: ひげぶと | 2014年12月20日 (土) 07時14分

ひげぶとさん、おはようございます。
小楯板ですね。この次機会があればそこのところが確認できるような写真を撮るよう努力してみます。
ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2014年12月20日 (土) 08時06分

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