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2010年7月 8日 (木)

ヒラズゲンセイとクマバチ(つづき)

前回の記事から6日後に同じクマバチの巣を見に行くと、巣のそばにはやはりオスのヒラズゲンセイが居座っていました。ただし今度のははるかに大きな別の個体で、体長は大アゴをのぞいて28mmもあります。

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前のオスは少し離れたところでじっとしているだけでしたが、今度のはたびたびクマバチの巣穴をうかがい、すきあらば押し入ろうという構えです。

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ゲンセイが近づくたびにクマバチは大きなお尻で巣穴を塞ぎます。

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こうなれば立派なアゴも歯が立たないようです。
ところでオスが巣内に侵入しようとする理由としては、中にメスがいるということくらいしか考えられません。ある研究によれば、クマバチの一つの巣から母バチとその幼虫、さらにヒラズゲンセイのオスメスの成虫が見つかったということなので、押し入ったオスが中にいるメスと交尾するということがあるのかも知れません。

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6日前の小型のオスとは大アゴの形がだいぶ違います。クワガタのオスと同じように、体のサイズの変化にともなって変わるということでしょうか。

しばらくは膠着状態が続くだろうと思ってその場をはなれ、20分ほどして戻って来ればゲンセイの姿は消えていました。侵入に成功したのか、それともどこかで一休みに行ったのか。クマバチは何事もなかったように巣穴の入り口で見張りを続けていました。

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巣穴の下の地面に散らばっていたヒラズゲンセイの死骸を拾い集めたものです。ただし一番右の大型のオスは弱っているもののまだ生きています。やはりオス同士の戦いに敗れた個体でしょうか。
左から1,2,5匹目は明らかにメスなのですが、これはちょっと不思議です。巣内に残っていた古いメスの死骸をクマバチが捨てたのでしょうか。

最後になりますが、これらの写真を撮ってから2日後(7月7日)の夕方、その後の様子を見に行くと、巣穴のあった枯れ木が根元から伐採されてなにも残っていません。すぐ近くに転がっていたエノキの倒木もきれいに片付けられていたので、平常の公園の管理作業だったのでしょう。
ヒラズゲンセイの微小な一齢幼虫(三爪幼虫)は、春になればクマバチの体毛にしがみついて外に出て行くので、その頃には巣穴の入り口にこの幼虫が集まっているのが見られることがあるそうです。そんなことも楽しみにしていただけにがっかりしました。

* 参考文献 * 杉浦直人・郷原匡史 キムネクマバチの天敵,ヒラズゲンセイの生活史 (インセクタリゥム 1996年8月号)

(2010年7月5日 明石公園)

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コメント

こんばんわ。時期外れの情報ですが、備忘のために記しておきます。
きしわだ自然資料館の岡本素治さんが「ヒラズゲンセイの配偶システムの観察と生活史ノート」という生態観察記を、昆虫14(4):263-275.に今月づけで発表しました。雄がフェロモンを出して雌を呼ぶ(逆ではありません)、交尾の状況、クマバチ巣への侵入、産卵後の行動、など多岐にわたって述べられています(雌が咬み殺される事例は無かったような・・・)。著作権の制限のため、ciniiへの公表は来年2月頃と思います。

投稿: ezo-aphid | 2011年10月31日 (月) 22時52分

ezo-aphidさん、
情報ありがとうございます。
雄がフェロモンを出すというのは面白いですね。何か生態的な必然性があるんでしょうか。ciniiで閲覧できるようになるのであれば、是非読んで見たいと思います。

投稿: おちゃたてむし | 2011年11月 1日 (火) 15時17分

2014年6月18日神戸市西区の神社「惣社」近くでヒラズゲンセイの雄を見つけました。
昆虫用の蜜を与えて飼っています。
鮮やかな赤色で珍しい昆虫ですねえ!
最初は、赤色のクワガタかと思いました。

投稿: oshibe | 2014年6月21日 (土) 13時42分

oshibeさん、こんばんは。
この赤いのを初めて見るとびっくりしますよね。
やっぱり近くにクマバチの巣があったんでしょうか。
「惣社」という神社は知らなかったのですが地図を見るとご近所なので、折を見て訪ねてみたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2014年6月21日 (土) 20時31分

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