イヌビワコバチとイヌビワオナガコバチ
径1cmほどになったイヌビワの実(果嚢と呼びます)です。
イヌビワには雄の木と雌の木があってどちらも果嚢をつけますが、私には見分けがつきません。雄の木の果嚢の中ではこの時期、イヌビワコバチが育っているのが見られることがあります。とりあえずこの二つの果嚢を割ってみました。
大きい方の果嚢を割ってみると、まず現れたのはイヌビワコバチではなくそれに寄生するイヌビワオナガコバチです。すでに羽化した個体が多数、長い産卵管をひきずりながらうろうろしています。(このハチの産卵は以前の記事に出しています。)
しばらく見ていると、あちこちの子房(「虫こぶ」になっています)から次々とイヌビワコバチが出てきました。果嚢を割ったことが刺激になったようです。
上の写真の、左側の個体です。頭がくさび状になっているのは、産卵のため別の果嚢に潜り込むのに都合が良いのでしょう。
これらの写真はどちらもメスですが、果嚢の中にはたくさんのオスもいました。どちらの種も翅を持たず同じような色をしていますが、大きさも形もかなり違います。
これは大きいほうで体長2mm以上、大きな頭に立派な大アゴを持っています。
こっちが小さいほうです。撮影倍率は上の写真と同じです。
大きいほうがイヌビワオナガコバチだと思うのですが、逆かもしれません。いくつか参照したサイトの間でも多少混乱が見られるようです。どちらにしてもこれらオスたちは果嚢の中でまだ虫こぶから出てくる前のメスと交尾をし、メスが果嚢から脱出するための通路を切り開いたあと、外に出ることなく死んでしまうということです。
イヌビワやイヌビワコバチの生活史については多くのサイトで紹介されています。興味のある方は探してみてください。
(2010年7月21日・神戸市垂水区 多聞台東公園)
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