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2010年11月 6日 (土)

イスノキモンオナガコバチ(タイトル変更)

イスノキの実に小型のハチが集まっていました。

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これらはメスの出現を待つオス達ではないかと見当をつけてよく探すと、あちこちの実でハチの頭が覗いているのが見つかりました。

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顔を出したメスの周りで、オス達はときどき翅を立てて威嚇しあっています。

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オスとメスで顔の色が違います。
いくつもの実でメスが顔を出しているのですが、こちらが邪魔をしているせいか、どのメスもこれ以上出てこようとしません。

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と思っていると、ちょっと目を離した隙に一匹のメスが脱出してきて、早速待ちかまえていたオスと交尾をしていました。

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二匹はしばらくの間この体勢を保っていましたが、その間に何度か交尾をし、ときどきこのようにオスが触角でメスの触角を挟むような動作をしていました。
この写真のオスで体長6mm弱です。

この日初めて見たハチですが、オナガコバチの一種だと思います。11月3日の記事に出したものに形がよく似ていて、オスメスの体色の違いも同じようですが、こちらの方がひとまわり大型です。やはり以前に出したモチノキの実に産卵していたメス(こちら)とも似ていますが、これは大きさはほぼ同じですが産卵管の長さが2倍以上あります。
こうしてみると、11月3日に紹介した種も何かの木の実に寄生するのではないかと考えられます。そのうちに産卵か脱出の場面が見られるかも知れません。
また今回の種はおそらくメスがこのまま冬を越し、来年の春か夏頃にイスノキの実に産卵するものと思われます。ひとつ楽しみが増えました。

* 12月1日追記 *

ezo-aphid さんより、このハチはイスノキモンオナガコバチであろうとのご教示をいただきました。(コメント参照)ちゃんと和名がついているんですね。タイトルを「イスノキの実から出てきたオナガコバチの一種」から「イスノキモンオナガコバチ」に変更しました。

(2010年11月2日・明石公園)

* 2011.1.23 追記 *

画像を見て下さった上條博士から次のようなコメントをいただきました。

「イスノキモンオナガコバチ: この種に間違いありません。この生活史は不明ですので調べていただければ幸いです。(オナガコバチの仲間で針葉樹や広葉樹の種子を食べる種がかなりあります。たとえばノバラ、コリンゴの実など。この他、ナナカマドなどいろいろな広葉樹につくはずですが、まだよくわかっていません。)」

さしあたってはこの春から夏にかけて、明石公園のイスノキでこのハチの産卵が見られるかどうか、注目したいと思います。

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コメント

こんばんは♪

顔を少しだけ見せたメスが可愛いですね。
そんなにいろいろいるのに、全然目に入ってこない私って・・・(^_^;)

投稿: 夏子 | 2010年11月 6日 (土) 23時12分

夏子さん、おはようございます。
オスのほうは少し人相が悪いですね。
この日は北西風が強くて寒い日で、大物はあきらめて小物探しに徹していました。
もともと、大物の少ない場所でもあるんですが・・・。

投稿: おちゃたてむし | 2010年11月 7日 (日) 06時19分

イスノキモンオナガコバチ Megastigmus distylii Kamijo,1979 だろうと思います。
原記載、Kamijo, K.(1979) Akitu (new series) 24:1-11.に雌の背面図がありますのでお確かめください。

投稿: ezo-aphid | 2010年12月 1日 (水) 10時14分

ezo-aphidさん、ありがとうございました。
小型のハチにはきれいなものも多くてよく撮影するのですが、何の知識もないのでほとんど撮りっぱなしになってしまいます。
でもこのハチのように生態の一端がうかがえるような場面に出会うと、やはり出来ることなら名を知りたくなります。独力ではとても歯が立たないところでしたが、ちょうどお目にとまって幸運でした。
これからもたまに覗いていただければ幸いです。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月 1日 (水) 22時51分

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