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2010年12月19日 (日)

ムツトゲイセキグモの幼体

瀬戸内海に面した須磨浦公園に、この時期常緑樹の葉裏で越冬しているのがよく見られるオオキンカメムシを期待してやってきました。しかしお目当てには1匹も出くわさず、あきらめていつものように小物探しに徹していると、ユズリハの葉の裏にこんなものを見つけました。

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糞かゴミだろうと思いながら念のためルーペを覗くと、縮こまった小さなクモでした。体長1.6mmほど、幼体のようなので例の如く撮りっぱなしになるところでしたが、別件で ezo-aphid さんからいただいた情報をもとにたまたま見た「クモ画像集」のムツトゲイセキグモのオスの写真に、非常によく似たものがあるのを見つけました。(こちらのコメント参照)
いわゆるナゲナワグモの一種ですが、珍しいクモだと聞いていたのでお目にかかる機会があるとは思いませんでした。


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名前の由来は頭胸部にある6個の突起だそうですが、残念ながらそれが見えそうな角度からのカットがありません。幼体だとは思うのですが、ネット検索してもオスの写真はほとんど出てこないのでよくわかりません。メスの体長10mmほどに対してオスは2mmくらいしかないそうです。
このクモの面白い狩りの様子はTV番組でも紹介されていますが、種名でネット検索すればたくさんの動画が見られます。まだ見ていない方は是非ご覧ください。

(2010年12月15日・神戸市須磨区 須磨浦公園)

* 12月21日・追記とタイトル変更 *

オスだとばかり思っていたのですが、長期間にわたってムツトゲイセキグモを観察しておられる「左思右想」のくぐりさんから、これくらいの時期には雌雄の区別をつけるのは難しいことを教えていただきました。(コメント参照)
タイトルからも「オス」を省きました。

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クモ類」カテゴリの記事

コメント

夜中にお邪魔しま~す。
ムツトゲは卵嚢で越冬する、と言われているので、雄もそろそろ成体になって交尾しないと間に合わないころ?ですよね。
何という蛾を食べてるのか? たまたま見かけた「TAJIMANIA Blog」の「2008.9.23」の蛾は、ヒトリガ科のキベリネズミホソバのようです。これはヤラセなのか、光源をめがけた偶然飛来か、それとも異種との共通フェロモンのせいなのか、まったく不明です。別の動画では、オビヨトウ類のようにも見えました。ということで、餌となる蛾の種類を特定するには相当たくさんの事例を集めないと難しそうです。   

投稿: ezo-aphid | 2010年12月20日 (月) 00時36分

ezo-aphid おはようございます。
卵嚢で越冬するのですか。とすればこのちょっと小さめのオスもこれで成体なのかも知れませんね。
出来れば次はメスを見つけたいものだと思いますが、よほどご近所でない限り夜間の狩りの観察は難しそうです。
昼間に前夜の食べ残しを見つけるということが出来るものかどうかわかりませんが、その前にまずメスですね。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月20日 (月) 06時37分

こんにちは♪
おちゃたてむしさんほどの虫目があれば、こんなのも見つかっちゃうんですね\(^o^)/
縄(?)を回すところを見てみたいです。
もっと大きなメスを撮る時も、「トゲ」を写すのは一苦労しました。
投げ縄グモにお詳しい方のサイトです。・・・「左思右想」 http://d.hatena.ne.jp/anhedonia/

投稿: 夏子 | 2010年12月20日 (月) 14時05分

「左思右想」を覗きに行ってきました。福島県?の定点で半年間、孵化してから雌が死ぬまでずーっと追跡撮影したんですね。
そこで餌食となった蛾の1例は、驚いたことに巨大なヒトリガ。その他の数例は斑紋が不鮮明な(鱗粉が剥げ落ちた?)ヤガっぽいもの。やはりヤガ類の種類調査は、食べカスを拾わないと無理かも。餌となる蛾の種類がほんとに限定されてるのか、疑問になってきました。

投稿: ezo-aphid | 2010年12月20日 (月) 21時35分

夏子さん、こんばんは。
普通なら確認もせずに通り過ぎるところだったのですが、この日はほとんど収穫がなくて虫でさえあれば何でも、という気持ちになっていたのが幸いしたようです。その上にちょうどezo-aphid さんがこのクモの存在に注意を向けさせて下さるという幸運が重なったわけです。
オスがいたのだからメスも、と期待したいところですが、当てにせずに偶然の機会を待つしかないでしょうね。
「左思右想」、拝見しました。
長期間にわたる根気強い連続観察には脱帽するしかありません。私の様な行き当たりばったり式では近づけない世界です。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月20日 (月) 22時00分

ezo-aphid さん、おはようございます。
「左思右想」の観察はすごいですね。
餌になる蛾の種類が限定されないとすればどういうことになるんでしょうね。
このクモのような狩りの方法では獲物を引きつけるための何らかの手段が不可欠だと思われるので、複数の蛾に対応するフェロモン様物質を生産出来るということでしょうか。
それにしてもこんな能力がどうやって進化してきたのか、不思議ですね。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月21日 (火) 06時30分

こんにちは「左思右想」の主です。
この時期のムツトゲイセキグモは、雌雄の区別が難しいですね。ぱっと見た感じではメスっぽい気もしますがよく解りません。
オスならば、あと一回脱皮するとオスの特徴である触肢の膨らみが見られるようになるはずです。
私の観察フィールドの福島では、卵嚢の中で越冬するようですが、こちらより暖かい地方では、出嚢して越冬することもあるようです。
ムツトゲは、他のクモのように積極的なバルーニングはしないようですから、近くに卵嚢があるかもしれません。探してみたらいいと思います。

投稿: くぐり | 2010年12月21日 (火) 16時15分

くぐりさん、はじめまして。
話題の主にご訪問いただけるとは光栄です。
たまたま見たサイトの写真がこれとよく似たオスだったので、てっきりこれも同じだと思っていました。
「左思右想」の写真を拝見すると、幼体ではメスオスほとんど同じに見えるんですね。
私の場合珍しいと聞くクモを偶然見つけて喜んでいる段階で、くぐりさんの徹底した観察記を拝見した後では記事にするのも恥ずかしい位ですが、折角の機会なので今後注意してみようと思います。まずは卵嚢ですね。

投稿: おちゃたてむし | 2010年12月21日 (火) 21時34分

1月2日朝の「ダーウィン・・・・」でムツトゲの映像を見ました  (くぐりさんが出演してた!?とのこと、 ・・・・名前も顔も覚えてません、残念)。
 見つけるコツを教えてくれました。冬の落葉時期に、卵嚢は枯れた枝葉にからめて固定してあるので、落葉樹では枝に残る数枚の枯葉を目あてに探すのだそうです。背景の発生環境もしっかり観察したのですが、なにもない広場(公園?)周縁の灌木のようでした。また、男性の低音発声を浴びせると投げ縄を振り回したので、付近を中型以上の蛾類が飛べば獲物を捕れそうです。特定の蛾!を捕らえる、というのは伝説なのかもしれません。とすると、ナゲナワグモの生息環境とは、特定の蛾というよりも、多種類の蛾が生息しうる「林縁を持つ里山」的環境なのかもしれませんね。獲物の種類をちゃんと調べないと言えないことですが。
 くぐりさんのブログで、あらためて春から秋までの経過を眺めましたが、意外にも福島県では9月中旬ころには卵嚢づくりを終えてしまうようです。

投稿: ezo-aphid | 2011年1月 7日 (金) 14時07分

ezo-aphid さん、
私は残念なことに「ダーウィン・・・」を見ていません。卵嚢の写真はくぐりさんのブログでも見ましたが、クモの卵嚢はよく似たものが多いので、実際に野外で目にしてもそれとわかるかどうか・・・。
男性の低い声を浴びせれば、ということは蛾の羽音に反応すると言うことでしょうが、「フェロモン類似物質」のようなものの助けなしに投げ縄の射程範囲に獲物が入ってくる確立は極めて低いように思われます。(「特定の蛾」かどうかは別として)
何年先になるかわかりませんが、一度は「投げ縄」を見たいですね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 7日 (金) 22時28分

むしかえしで恐縮です。今年の2月下旬に山形県で開かれた東北・北海道の蛾屋さんたちのイベント「みちのく会37回」で、ムツトゲが捕る蛾の種類についての(たぶん福島県の蛾屋さんから)報告が、yyzz2さんのブログに載ってました。

 「ムツトゲイセキグモの番組を作ったNHKから依頼があって捕らえた蛾の同定を行った。どうやらフキノメイガの♂である。 フェロモンによる化学擬態といわれているが,フキノメイガのシーズン以外は何を捕らえているのが疑問だった。 NHKのスタッフは放送終了後も取材を継続していて,また蛾が送られてきた。今度は,フタオビキヨトウとスジキリヨトウである。フェロモンの専門家に訊くと,この3種のフェロモンは環が少し違うだけでよく類似しているという。」
 フキノメイガ・フタオビキヨトウは年1化なので、年3-4化のスジキリヨトウがいないと困るでしょうね。たまたま見た動画では、オーストラリアのナゲナワグモは、近寄って来る蛾に狙い定めて糸玉を投げ絡めるのに対し、ムツトゲイセキでは離れている時から糸玉をぐるぐる回していてそこに蛾が絡まってしまう、という風に見えました。ムツトゲの糸玉には誘引性がどうしても必要に思えます。 ムツトゲの食べる蛾リストというのが、いずれ福島県あたりから発表されそうですね。

投稿: ezo-aphid | 2011年4月 6日 (水) 21時52分

ezo-aphidさん、おはようございます。
興味深い情報を有難うございます。
やはり何らかの誘引物質は出しているということですね。それにしても一種類のクモの出すフェロモン類似物質に複数の蛾のオスが寄ってくるとすれば、それらの蛾同士の間で他種のメスを取り違えるというような混乱はないのかと思います。
NHKの番組はまだ見ていませんが、熱心なんですね。多分続編も予定されているんでしょうが、そのうち見たいと思います。

投稿: おちゃたてむし | 2011年4月 7日 (木) 06時13分

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