イダテンチャタテ(タイトル変更)
このあたりで各種の木の幹にごく普通に見られるチャタテムシです。
チャタテ科だと思いますがそれもはっきりしません。大きさにはかなりばらつきがありますが、写真の個体はやや大きいほうで体長約4mmあります。
チャタテムシ類には複眼のとび出たものが多いのですがこの種ではそれが極端で、私は個人的にデメチャタテと命名しています。よく見ていると幹の表面で餌をあさっているようで、地衣類を食べているのではないかと思います。
体長3.3mmほどの幼虫です。
この種で面白いことは、成・幼虫ともに常に木の幹に住んでいて、葉ではまず見られないということ、それにやはり成・幼虫ともに静止している時は必ず頭を下に向けることです。
このチャタテムシには1枚目の写真のようなよく太って翅の短いタイプと、次に示したような体が小さくて翅の長いタイプがあります。
この個体で体長約3.3mmです。1枚目のがメスでこっちがオスではないかと考えていますが、確かではありません。メスらしき方は冬を通して見られますが、この翅の長いタイプは真冬になる前に姿を消してしまいます。この写真のみ昨年の11月に撮ったものです。
(1~3枚目:2010年12月17日/4枚目:2009年11月26日・ともに明石公園)
* 12月27日・追記と訂正 *
明石公園では非常に多い種なので種名がわからないのが気になっていたのですが、 ezo-aphid さんが調べて下さった結果、これはマルチャタテ科のIdatenopsocus 属の一種で、中でもIdatenopsocus orientalis という種である可能性が高いということがわかりました。詳しくは ezo-aphid さんのコメントをお読みください。
タイトルを「チャタテムシの一種」から、表記のように変更しました。
*12月28日・再追記 *
ezo-aphid さんに調べていただいた種名を psocodea さんが確認してくださいました。「イダテンチャタテ」という和名がつくそうです。詳しくはコメントを。
タイトルを再度変更しました。
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コメント
こんばんは!
確かにチャタテムシの形をしてますが、こんな顔をしたチャタテムシがいるんですか、初めて見ました。
最初の写真だと良く分かりませんでしたが、正面からの写真をみて目が飛び出しているのが良く分かりました。
家の近くにもいるものだったら、是非ともお会いしてみたいです(^^)。
投稿: そら | 2010年12月25日 (土) 16時44分
そらさん、こんばんは。
我が家の近所の公園などでは一番ポピュラーなチャタテムシなのですが、他の昆虫関係のサイトではほとんど見ないので不思議に思っていました。
そらさんがご覧になっていないとすれば東日本にはいないのか、あるいは分布が局所的なのかも知れませんね。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月25日 (土) 22時31分
寒いけど、いいお天気です。
あちこち眺めていたら、当たり!らしい記載文に出会いました( cinii 論文情報ナビで Idatenopsocus と検索)。
翅脈の絵合わせがよく似ていて、デメで長・短翅の雌がいること、体長3-4mm、千島から九州まで分布し、樹幹上や石の上を「韋駄天」のごとく走る、とあります。これに近縁のMesopsocus属にはオチャタテさんの画像に似たものがいます。てなことで、Idatenopsocus orientalis,という種が有望と思います。和名は無いようですが、イダテンチャタテ属のデメイダテンチャタテムシ!?というのはどうでしょう。 まずは北大の吉澤さんに見て頂くことが必要ですね。
投稿: ezo-aphid | 2010年12月27日 (月) 15時20分
ezo-aphid さん、こんばんは。
寒さのほうはこちらでは大したこともないですが、ここ数日風が強くて虫撮りには向きません。
私には真似が出来ませんが、探せば出てくるものなんですね。
論文中の図を見た限りではIdatenopsocus属に間違いないと思いました。チャタテ科ではなくマルチャタテ科なんですね。
属名に「韋駄天」とはユニークですが、確かにカメラを近づけた時の逃げ足はチャタテムシの仲間としては速いようです。
少なくとも明石公園では非常に個体数の多い種なので、和名がまだないとは意外です。「デメイダテンチャタテムシ」は悪くないと思いますが、近頃のことですからちょっと引っかかる向きもあるかも知れませんね。
毎度のことながら、お手数おかけしました。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月27日 (月) 20時22分
おはようございます。
きのう、吉澤さんに伺ったところ、早々に以下のご返事を頂きました(ありがとうございますっっ!)。「ブログの写真,同定間違い有りません.なお和名ですが,記載当時から内輪で呼んでる名前および今編纂中の目録では,イダテンチャタテとしています.」 ということなので、表題は「イダテンチャタテ(マルチャタテ科)」がよろしいかと。・・・・・腹案だった ハナレメイダテンマルチャタテ では14文字と長すぎるもんなぁ。
投稿: ezo-aphid | 2010年12月28日 (火) 09時40分
ezo-aphid さんに教えてもらいました.Idatenopsocus で間違い有りません.和名は未発表ではありますが,記載時の内輪での呼び名と現在編纂中の昆虫目録では,イダテンチャタテ,としています.なお,韋駄天の命名は,現在弘前大学におられる達磨さんによります.他のチャタテにも分かる限りコメントつけておきます.
投稿: psocodea | 2010年12月28日 (火) 09時42分
ezo-aphid さん、psocodea さん、ありがとうございます。
イダテンチャタテ、いい名前ですね。タイトルを訂正しておきます。
以前から気になっていた虫の名がはっきり決まって大満足です。
明石公園ではほぼ一年を通して成虫か幼虫が見られる種なので、今後出来れば生活史の一端がうかがえるような場面を写真に撮りたいと思います。
小さい昆虫の中でもチャタテムシは大好きなのですが、その実ほとんど名前もわかりません。お気づきの点がありましたら是非ご教示下さい。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月28日 (火) 20時54分
コンニチワ。以前から私も見かけており、気にはなっていたんですが、
調べようもなく放置していた虫がおかげで一個判りました。
なんだかスッキリ年を越せそうです(笑)。
では、よいお年をお迎え下さい。<(_'_)>
投稿: Acleris | 2010年12月29日 (水) 09時32分
Acleris さん、おはようございます。
須磨にもいますよね。
近所では普通種なのにネットでそれらしい画像をあまり見かけないので、不思議に思っていました。
もしかしたらこのあたりに特に多いのかも知れません。
風が強くて虫探しには向かない日が続いていますが、よいお年を。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月29日 (水) 10時25分
こんばんは♪
近所でこの虫を見かけたので、うれしくなって撮ってみました。
写真の出来上がりの差に愕然としました(涙)
とくに、2枚めのお写真、特徴をとらえていて見事ですね!!
投稿: 夏子 | 2010年12月30日 (木) 00時14分
夏子さん、おはようございます。
やはりそちらにもいるんですね。
面白い顔をしていますが、目玉があんまり飛び出しているので、横から撮るときピントの合わせどころに迷います。
チャタテムシは冬の間も遊び相手をつとめてくれる貴重なお友達です。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月30日 (木) 08時47分
あけましておめでとうございます
そして、はじめまして
樹皮にいる虫を検索中に、このブログにたどりつき、以前から疑問に思っていたイダテンチャタテについて知ることができ、吉澤先生にも連絡を取らせていただきました。
このことに関して、私のブログからこちらへリンクを張らせていただきましたので、ご了承ください。
それにしても、マルトビムシなど、小さな虫をきれいに撮っておられますね。どのような機材をお使いですか?
これからも度々寄せていただこうと思いますので、よろしくお願いいたします。
投稿: そよかぜ | 2011年1月 4日 (火) 15時07分
そよかぜさん、はじめまして。
そして、あけましておめでとうございます。
イダテンチャタテについては私もずっと気になっていたのですが、ezo-aphid さんと吉澤先生のおかげでようやく正体がわかって喜んでいたところです。
機材についてですが、小型の虫を撮る場合はニコンD200に自作ベローズ、オリンパスのベローズ用マクロレンズ(OMシリーズ用、80/4と38/2.8)という組み合わせで、ほとんどストロボを使っています。
そよかぜさんのブログも早速拝見しました。
私の方こそちょくちょく寄せていただくことになると思います。よろしくお願いいたします。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 4日 (火) 18時10分
こんばんわ、本年もよろしくお願いします。
そよかぜさんのブログで、「これをオオスジチャタテとして紹介・・・・・」という記事を読んで、オオスジってどんな姿なのか検索してみました。すると、あちこちのブログにイダテンがいるじゃありませんか。なかには、おちゃたてさんのブログ仲間にも。ずっと以前から、多くの地域の画像があったのですね。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月 4日 (火) 21時27分
ezo-aphid さん、あけましておめでとうございます。
ほんとですね。びっくりしました。
こんなにあちこちに出現していたのに、これまで気づかなかった(ひょっとして他の地域では珍しいのかと思っていた)とはお恥ずかしい限りです。
多分皆さんも、これほど大型で特徴のはっきりした種にもかかわらずよく合致する情報がないもので、よく似た種に関連付けてしまったんでしょうね。
今年もよろしくお願いいたします。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 4日 (火) 22時34分
イダテンチャタテという和名の情報、ありがとうございます。
チャタテムシで検索していて、偶然たどりつきました。
拙サイトに、貴ブログ名および情報を使わせていただきましたので、ご了解ください。
明石公園ではイダテンチャタテがとても多い、ということですが、東京西郊の雑木林では、ウロコチャタテ(の一種)が圧倒的で、イダテンチャタテはその次ぐらいです。
投稿: き坊 | 2011年1月 7日 (金) 18時30分
き坊さん、はじめまして。ご訪問ありがとうございます。
こんな小さな虫のことが気になっていた方がこれほど多いとは思いませんでした。
これまで和名がついていなかったとは不思議です。
おかげで当ブログ始まって以来のコメント数を記録してしまいました。
き坊さんのサイトも、早速拝見しました。
私の見たことのない虫も多く、大変興味をひかれました。
ときどき覗かせていただきますので、よろしくお願いいたします。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月 8日 (土) 00時19分
こんばんは。
私も昨日、見つけました。1匹だけですが。やはり雑木林に出向かなければ出会えなさそうですね。
顔を見て、おちゃたてむしさんの所で見覚えがあったので今回は直ぐに名前が分かって助かりました。
投稿: BABA | 2011年11月11日 (金) 22時27分
BABAさん、こんばんは。
もう成虫が出てきているんですね。
私はここ2週間ばかり虫探しをサボっているので、まだ幼虫しか見ていません。
今年は例年に比べてこのチャタテが非常に少ないように思うのですが、どうなんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月12日 (土) 21時17分