ニッポンオナガコバチ・メスの脱出(改題)
何度も同じ虫を出していますが、ニッポンオナガコバチと思われるハチのメスがクロガネモチの実から脱出する場面がようやく撮れたので再度の登場です。
前の記事で、初めてこの木の実に多数のオスが集まっているのを見つけてから約2週間後、やはり同じ木の枝を探していると、オスがあわただしい動きを見せている場所がありました。
見れば実に開いた小さな穴からメスの顔が覗いていて、2匹のオスが追いかけっこをするように実のぐるりを走り回っています。
このあたりの動きは前にイスノキモンオナガコバチで見たのと全く同じで、時々鉢合わせをすると翅を拡げて威嚇し合い、片方が隣の実に逃れたりしますが、どちらかが優勢なのかそれとも互角なのか、動きが速すぎてわかりません。
古いテレビ漫画に出てきそうな情景です。
メスの脱出の瞬間です。
全身が現れる前に待ちかまえていたオスがとびつき、一瞬で拉し去ってしまいました。
大事な瞬間にどこにいたのか、残されたもう1匹のオスが空っぽの穴を覗いていました。
(2010年12月2日・明石公園)
* 2011.1.23 追記とタイトル変更 *
このハチを「ニッポンオナガコバチ?」とした経緯については以前の記事の追記とコメントを参照していただきたいのですが、オスの体色が黒すぎるのではないかという疑問も残っていました。そこで昨年末にこのハチの雌雄数匹づつを採集し、上條博士にお送りしてご検討をお願いしたところ、この度、ニッポンオナガコバチの標本と比較して「雄の体色はかなりの変異がありますが形態的なちがいがは認められず同じ種であることがわかりました。」とのご返事をいただきました。これで晴れてタイトルから疑問符をはずすことができます。長年の馴染みのハチの名をようやく知ることが出来て、上條博士に感謝するとともに、ここにご報告いたします。
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コメント
あはは。 4枚目には笑ってしまいました(寂しげに覗く姿は、身につまされますなぁ)。4コマ漫画のオチですね・・・・・・・数秒間の連射撮影?
脱出孔の周囲が変色してる、ってことは、かなり以前から表皮内側を円く削っていた証拠(終齢幼虫か成虫)でしょう。
投稿: ezo-aphid | 2010年12月11日 (土) 09時54分
ezo-aphid さん、こんばんは。
メスの胸部あたりが見えてくるまでは結構時間がかかりましたが、その後は数秒間で出てしまいました。
脱出孔の周囲の色ですが、まだ穴が開いていない実にも小さな円形の変色部分のあるものが多く見られました。
恐らくその下に脱出前のハチが待機していたのだろうと思います。
投稿: おちゃたてむし | 2010年12月11日 (土) 22時31分
こんにちは。
わたしも先日、行きつけの場所のソヨゴの木で、このハチに出会いました。雌が出てくるのを待ちましたが
タイムリミットが来てしまい会えずじまいでした。事後連絡ですが、このページにリンクさせて頂きました。
何度、見ても素敵な写真ですね。
投稿: BABA | 2011年11月17日 (木) 15時53分
BABAさん、こんばんは。
ちょうど私も一昨日、昨年と同じクロガネモチで、メスを待ちうけるオス達を撮ってきたところです。BABAさんと同じようにメスの顔は覗いているものの、待てど暮らせどそれ以上の進展がなく、暗くなったのであきらめて引きあげました。こういうものは自宅の庭ででもない限り、うまくタイミングが合わないことには始まらないですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月17日 (木) 21時51分