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2011年1月15日 (土)

ヒメコバチ科の一種(Euplectrus sp.)

冬場に葉の裏を探せば必ず見つかるお馴染みのコバチです。同じものを前の冬にも出しているのですが、最近いくつかの海外サイトで Euplectrus sp.として紹介されている画像がこれに非常によく似ていることに気づきました。

_dsc8240
この写真のもので体長2mm足らずですが、個体によって大きさにはかなりばらつきがあるようです。10年以上前に、同種と思われるハチが蛾(?)の幼虫の残骸から出て来ているのを見たことがあります。(こちらに出しています)

_dsc8258
お腹の下のあたりが光っているのは、腹部の透明な部分がレンズのように光を集めているためのようです。

(2011年1月4日・明石公園)

* 1月15日・追記 *

属名のスペルが間違っていたので修正します。(Euplectrus の r が抜けていました。)また ezo-aphido さんが上條様に照会して下さった結果、Euplectrus 属には間違いないとのことなのでタイトルから「?」をはずしました。但し、多数の種が存在するようなので、記事中にリンクを貼った1997年の写真は別種かも知れません。

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膜翅目」カテゴリの記事

コメント

おー、よく見つけ出しましたね。たぶん、当たりでしょう(・・・無責任、かつ希望的観測ですが)。  昨夜、私も眺めてました(わかりやすそうな種類なのになぁ・・・・と)。
Euplectrus 属について、いろいろ調べてみました。日本には9種いるようですが、中にはウスマユコバチという和名のものがいます。
アワヨトウウスマユコバチ E. separatae Kamijo という種類では、雌が卵塊を蛾類の中~老齢幼虫の背中表皮に産みつける際に、幼虫の脱皮を止める物質を注入するようです。外部寄生する若齢幼虫にとって脱皮されると困りますもんね。集団寄生したコバチ幼虫は、3齢へ脱皮する時に蛾類幼虫を殺してから腹部表面に移動し、そこでたくさん栄養をとり続けて成長し、薄いまゆを作ってさなぎになる、という手順になっているようです(あちこちの走り読みなので、少し怪しいですが)。
一連の画像が同種のコバチかどうか解りませんが、この属の寄生生態がすべてこのようなものであれば、うまく説明できるように思われます。

投稿: ezo-aphid | 2011年1月15日 (土) 12時09分

ezo-aphid さん、こんばんは。
相変わらず私には直感的絵合わせしか出来ませんが、ヒメコバチ科にあたりをつけて検索するとちょうどうまい具合に似たのが出てきました。
ひとことで寄生バチと言ってもその生活史は千差万別なんでしょうね。私はなんとなくこのハチもヒメバチのように寄主の体内に卵を産みこむものだと思っていました。
同属に多数の種があるということなので、1997年に撮ったものは別種の可能性が大きいですね。腹部の黄色の部分の形が少し違うのは個体変異だと思っていたのですが。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月15日 (土) 20時43分

とりあえずヒメコバチ科に絞った、というのがエライです。
 オチャタテさんのおっしゃる通り、わたしも1997年の画像は同属の別種と思います。胸の前半分がざらついて見え、触角の1節目(柄節、scape)が白っぽく、腹の側面に黒斑がない節がある、などの点が違いますね。この写真を拡大して見ると、とても粗い作りのマユの中に、黒い蛹が見えます。餌だったイモムシは早くに死んだため、腐り始めているのではないでしょうか。
 そういえば、野外で、白く丸い卵の様な粒々を背中にのせたイモムシの幼虫を見かけた記憶があります。今思うと、あれは、丸々と育ったウスマユコバチ類の幼虫だったのでしょう。容器にでも入れておけば、ちゃんと成虫を見られたはずだったのにと、反省。このように、自由生活をするイモムシ幼虫などに、集団で外部寄生するコバチ類は、コバチ上科の中でも珍しいのだそうです。

投稿: ezo-aphid | 2011年1月15日 (土) 22時09分

ezo-aphid さん、
マユというと蚕のマユのようなものを思い浮かべてしまいますが、イモムシの残骸の周りに粗くかけられた糸がマユだったんですね。ウスマユコバチの名の由来でしょうか。
私にも寄生を受けたイモムシを見ることが出来れば嬉しいのですが、多分これまでに機会があっても見逃していたと思います。このハチは越冬中のものならいくらでも見つかるので、夏場にはその寄生を受けたイモムシもさぞかし沢山いることと思うのですが。

投稿: おちゃたてむし | 2011年1月17日 (月) 22時03分

おはようございます。
前から気になっていたコバチですが大抵おちゃたてむしさんの所にくれば種名がわかるので助かります(^^;;ありがたいものです。
同種と思うものを撮影しましたが、ezo-aphidさんのコメントのように脱皮を止める行為ができるのは驚きです。
そういった機能を獲得するまでの進化の過程に興味が湧きます。

投稿: BABA | 2011年12月16日 (金) 08時20分

BABAさん、こんばんは。
早速拝見しました。同種と見て間違いなさそうですね。
前の冬にはコバチ類の記事をたくさん出しましたが、属名、種名の判明したものに関しては全て上條先生やezo-aphidさんのおかげです。
寄生者が寄主の生理や行動まで操作するという例は一般向けの進化論関係本にたびたび紹介されていますが、なかなか不気味で興味深いですね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年12月16日 (金) 20時14分

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