ツノオオアザミウマ属の一種(Bactrothrips honoris)・オス(改題)
* 2013.09.08・追記とタイトル修正 *
写真のアザミウマの種名についてすでにezo-aphidさんがBactrothrips honorisを候補として挙げておられましたが、この度SOさんよりB.honorisで正解であろうとのコメントをいただきました。またHepotaさんからはBactrothrips属の日本語の検索表(Okajima2006)をご紹介いただき(こちら)、それを見ても写真の種はB.honorisとして良いようですので、タイトルを変更して種名を加えておきました。
十日ほど前にクダアザミウマの一種として出した種は、フッカーSさんやezo-aphidさんに助けていただいてツノオオアザミウマ属の一種であることがわかりました。ところがその後Hepotaさんの「はぢめての田舎暮らし(仮)」に登場した同属のオスの写真を見て、私が撮ったものには和名の由来である「角」が見えないことに気づきました。メスにはツノはないそうなのでこちらのはメスなんでしょうが、それにしても色、体型ともに随分違うので別種のように思えます。。
以前、ツノのあるのも何度か撮った覚えがあるので探してみると、Hepotaさんの写真とよく似たものが出てきました。
2年前の4月にヤツデの葉裏で撮ったもので、立派なツノ(第6腹節)があります。全体の形や脚、触角の色など、また体長も約5mmでよく一致します。
写真で見た限りではいくつかの特徴が北隆館の大図鑑に載っている「ツノオオクダアザミウマ(=ツノオオアザミウマ,Bactrothrips brevitubus)」にも一致しますが、こちらは体長がオスで6.8mm、メスで7mmと随分差があります。このあたりではそんな巨大なアザミウマは見たことがないので、やはり別種でしょうか。
(2008年4月8日・神戸市垂水区 学が丘北公園)
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コメント
おはようございます。
ほんとに、そっくりですね。
ezo-aphidさんが示された検索表も見てみたんですが、3?あたりで沈没…。
投稿: Hepota | 2011年1月31日 (月) 08時01分
検索表って、判ってる人には便利なのですが、入門者には難しいことが多いですよね。この群も見分けるのが難しい方ではないでしょうか。
Hepotaさん、お出ましありがとうございます。脚の色で挫折とのこと、ごもっともで、その場合、引き返さないで両方の道に入って行きましょう。
すると、雄の腹ツノが外向するのは、honoris,quadrituberculatus の2種だけとなります(図を見ると納得)。後は、記載と照合ですが、これまた面倒です。素人の唯一の武器、サイズで勝負しましょうか。雄はそれぞれ、体長は5.3-6.2mm、4.2-5.8mm、頭長/眼部幅が約2.0、1.84-1.94、尾管長/頭長が1.35-1.41、1.51-1.58、となってます。画像測定では、必ずしもうまく合致しないのですが、脚の色も含めると、これは honorisなのかも。 Hepotaさんの方は、脚の黄色部分が長そうなので quadrituberculatusなんでしょうかねぇ。この2種以外かもしれないので、ちゃんと測定しないと決められませんけどね。
ところで、大図鑑の ツノオオクダアザミウマ(= brevitubus)雄では、説明は正しいのですが、図では間違って腹ツノを外向させています。ちなみにサイズは、体長5.6-7.7mm、頭長/眼部幅が2.15-2.28、尾管長/頭長が1.64-1.75というデータで、前2種とはずいぶん違います。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月31日 (月) 12時07分
こんにちわ。
検索表って、ネット上の筑波大のやつですかねぇ?私のPCでは、いくらやっても開くことが出来ず・・・・orz
あれからいろいろ調べてみましたが、日本産のBactrothrips属はメスの内部生殖器にある「ブルニエ器」という器官の形状で明確に区別できるそうですね。プランクトンを撮ることが出来るようなおちゃたてむしさんだったら、その部分の確認も可能かもしれませんが、どうやらその図も筑波大の同所にあるらしく、私では確認出来ません・・・・ネットに上げれば、ひょっとして専門家の方に見てもらえるかも。
Hepotaやezo-aphidさんも含め、いろいろと貴重な画像、ご意見を閲覧することが出来、アザミウマ類に関しても大変勉強させていただきました。
そうそう、別記事のコナチャタテも、一見してヒラタチャタテじゃないなぁと思ってましたが、参考になる資料が見当たらずコメント出来ずにいましたが・・・・・なんと未記録種だったとは!快挙ですね!
投稿: フッカーS | 2011年1月31日 (月) 17時01分
Hepotaさん、ごめんなさい。「さん」が抜けてました(汗)。
投稿: フッカーS | 2011年1月31日 (月) 17時03分
おお、そうでしたか。情報ありがとうございます。
さっそくciniiで探したら、上田・芳賀(1987)の和文報告が見つかり、器官の写真も載ってました。けれど、私ごときでは手に負えそうにないものでした(前処理も結構めんどくさそー、です)。それより、同時に出てきた前年の大会の講演要旨の方が掘り出し物でした。「外部形態だけでは分類が至難の日本産Bactrothrips 属の分類に適用して見たところ、・・・・・7種が明確に区分され、」 そーです、こいつらは外形では分類が至難なんです、よね。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月31日 (月) 18時15分
ezo-aphidさま、ご教示ありがとうございます。
もう一度見直してみましたが、用語がよくわからないので、行き詰まってしまいます。でもツノが外側にはっきりと曲がっているようなので、ご指摘のようにquadrituberculatusかなぁと思いました。
フッカーSさま。
IE以外のブラウザでお試しください。
投稿: Hepota | 2011年1月31日 (月) 19時41分
Hepotaさん、
写真を見たときはまず同種で間違いなかろうと思ったのですが、ezo-aphidさんの言われるように別種なのかも知れませんね。
微妙な違いを個体変異と考えるべきかどうか、検索表を読み解く能力のないものにはどうにも判断ができません。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月31日 (月) 20時58分
ezo-aphidさん、
ツノの向きが違うんですね。
教えていただいた検索表の、この部分の図だけはよく理解できました。
北隆館の図鑑で、図と解説が食い違うことには全く気がつきませんでした。
これでbrevitubusという線は消えるわけですね。
それにしても、部分サイズの比を示すのに3桁数字とは・・・。奥の深い世界です。
結局外部形態での分類は至難、とのことで、なにやらほっとしました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月31日 (月) 21時46分
フッカーSさん、
内部生殖器ですか。
どなたかが標本を作って下されば、写真くらいは撮れますが・・・。
コナチャタテ科は、全くの普通種だと思っていたので驚きました。
町中の公園でも小さいものを探せばまだまだ拾い物があるものですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年1月31日 (月) 22時01分
Hepotaさん、おちゃたてさん。お悩み、ごもっともです。 「検索表は判ってる人には便利だが入門者には難しい」の実例:
Aclerisさんのブログ、(涙で書いた?)1月29日付「ハバチ属の分類」をご覧ください。この文章と、この画像を対応させられるでしょうか? 私はできませんでしたので、すぐ開き直ります。こんな検索表を作るやつが悪い、と。でも、カナダの教本(ハエでは有名なMND)では、ちゃんとこの形質で判別しているわけです。てことは、ジョーシキを知らない読み手が悪いのか、・・・・・・クク(涙)。 そんなことはない、説得・普及のしかたが悪い(まだ言ってる・・・・)。
Hepotaさん・おちゃたてさん、とこのBactrothripsがそれぞれ別種だろう、というのは単なるカンです。後脚けい節の黄化部分が多摩では広く、明石では狭かったので、たぶん中脚でも同じ傾向なのだろうと想像したものです。あとは腹ツノの外向と体長を参考にして、既存の種名を充てただけです。まあ、そういう意見もあるか、と聞き流してください。この群は体長などの計測値の個体変異は大きいようで、これが分類を難しくしているのかもしれません。このために腹ツノ(腹側突起)の大きさなどは、ずいぶん違った印象になりますね。
3ケタめの数値の信頼度は低いものと思います(四捨五入して2ケタにできなかっただけ?)。
投稿: ezo-aphid | 2011年1月31日 (月) 23時09分
ちなみに、フッカーSさんがおっしゃる専門家とはこちらの方です。連名著者のおひとりですね。もうひとかたの芳賀和夫さんの関心は折り紙の方に移ってしまわれたようです。
http://www.nodai.ac.jp/hojin/journal/images/j_0905/p7.pdf
投稿: ezo-aphid | 2011年2月 1日 (火) 11時14分
ezo-aphid さん、
私は英文の教本などはじめから歯が立たないので論外ですが、こんなものと格闘しておられる方の苦労は察せられます。
おかげさまでアザミウマではいろいろ勉強になりました。
これ以上は生態写真ではどうにもならないということも良くわかったので、属まで確定したことに満足しています。
岡島教授の記事も拝見しました。
小学3年生の教科書にオトシブミのことを書かれていたと聞くと、とても親しみが持てますね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年2月 1日 (火) 20時16分
クダアザミウマ亜目では、2006年に岡島さんが700頁余の大著を出されていたんですね。
http://kawamo.co.jp/roppon-ashi/sub140.htm
11,000円ですが、これを読めば、現状がどうなってるか判ります(・・・・・うーん、値段が)。
どなたか、どこかの図書館で読んで、Bactrothrips属がどうなってるか教えてください。
投稿: ezo-aphid | 2011年2月 2日 (水) 09時16分
ezo-aphid さん、こんばんは。
限定千部だそうですが、近くの図書館で置いているところがあるのかな?
「英文モノグラフに相当量の和文摘要」とありますから、私にも少しはわかるでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年2月 2日 (水) 19時55分
これはB.honorisが正解だと思います。
投稿: SO | 2013年9月 7日 (土) 09時19分
SOさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
Bactrothrips honorisで正解でしたか。過去のコメントにあるように2年半も前にezo-aphidさんにいろいろお調べいただいたのですが、結局種名はお預けになっていました。コメントを下さった皆さんも関心をお持ちだと思いますので、もしご面倒でなければ同属別種との判別点をお教えいただければ幸いです。
投稿: おちゃたてむし | 2013年9月 7日 (土) 21時31分
こんにちは。
SOさんは岡島先生ででしょうか。
昨日Okajima2006が近所の図書館にあるのを発見し、今日借りてきました。
Bactrothrips属についてはHaga&Okajima1990と変わっていないようです。
日本語の検索表をうちのブログで引用してみました。
http://blog.tamagaro.net/?p=5184
いわれてみるとB. honorisで良いような気がしてきました…
投稿: Hepota | 2013年9月 8日 (日) 16時58分
Hepotaさん、こんばんは。
私もご本人かと思ったのですが、お名前は出されていないので詮索しないことにします。
Bactrothrips属の検索表、早速拝見しました。触覚の細部や刺毛の長さなどはこの写真では確認できませんが、後・中脚の色の配分や頭部の形、角状突起の形など、B.honorisによく一致すると思いました。タイトルにもこの種名を入れておきます。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2013年9月 8日 (日) 20時45分