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2011年2月16日 (水)

カニムシの一種

樹皮下でよく見るカニムシの一種です。ムクノキにいました。

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小さいながらも恐ろしげな姿で、尻尾を付けるとそのままサソリになりそうです。サソリとは目が違ってクモ綱カニムシ目に属しますが、古い図鑑には擬蠍目とありました。

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この2枚は同一個体で、体長約2mmです。

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同じ木にいた別個体です。やや大きくて約2.3mm、上の個体に比べて太っていて色も違いますが、同種だと思います。

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どこから見ても眼は無いように見えます。どちらの個体にも手(第1脚?)の基節の上部に円錐状の突起があるのが目立ちます。
虫ナビさんのところに出ているトゲヤドリカニムシという種によく似ているのですが、この写真に見られるような突起が無いようなので別種だと思います。

(2011年2月4日・明石公園)

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昆虫以外の節足動物」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。
 節足動物、とくに昆虫ですが、これは成虫なのか幼虫か、成虫なら雄か雌か、という点がまず気になるようになりました。生態を理解するにも、外観でこの3者をちゃんと区別できるとグンと楽しくなるでしょうね。交尾器以外の外観による区別法を書いた教科書なんて、あまり見ないような気がします。
 昆虫の不完全変態群では、成虫が有翅の場合は簡単ですが、難しいヤツもいます。絶対的な判別法は「卵や子を産むこと!」ですね。カニムシの場合はどうやって見わけるんでしょうね。

投稿: ezo-aphid | 2011年2月17日 (木) 21時45分

ezo-aphidさん、おはようございます。
おっしゃるとおり、トビムシなんか素人にはとても判別できそうもありませんね。
昆虫と違って、ネットでざっと検索してみた限りではカニムシについての(素人向きの)記事はあまり出てこないので、成虫・幼虫の区別も雌雄の区別もよくわかりません。写真のカニムシはこの場所でよく見るのですが、これより大きなのも小さなのも見たことがありません。もっとも、冬場にしかこんな場所を探さないせいかも知れません。

投稿: おちゃたてむし | 2011年2月18日 (金) 06時26分

なかなか面白そう、と思って分類について調べてみました。オーストラリアの博物館が世界的にデータ収集をしていて、日本の分布種や参考文献などはここで全て判ります。「pseudoscorpions world」と検索するとヒットします。それを見ると、1960年ころに愛媛大学の森川さんという方が日本産47種ほどを報告し、その後、関東在住の2名の方(佐藤・酒寄)が18種を追加、なお研究中のようです。
 ところが文献の入手が容易でなく、種内変異も大きそうなので、勉強はしにくそうですねー。土壌性では1対または2対の単眼を持つそうですが、樹皮下に見つかるものはほとんどが眼がないようです。ムクノキの樹皮下にいた例はトゲヤドリカニムシだけで、採集地は東京都内と高尾山でした。この画像は、たぶんCherifroideaの4科13属17種のうちのどれかなんでしょうが。

投稿: ezo-aphid | 2011年2月23日 (水) 19時18分

ezo-aphid さん、
日本だけで60種以上ですか。それにしてはざっと検索した程度ではあまり画像も出てきませんね。
この姿形ですから、素人のマニアがたくさんいてもおかしくないような気もするのですが。
何かの本に、サソリと同じようにオスがメスの手を取って求愛ダンスを踊るとありましたが、種名はともかくそんな場面を一度見たいものです。

投稿: おちゃたてむし | 2011年2月23日 (水) 22時25分

今日も晴れています。
 フッカーSさんのところで、カニムシの複数個体をを見てきました(2011.3.20)。意外にも触肢の形は安定していて変異はちいさく、これなら種類の見分けにも使えるように思いました。もっと明瞭な違いは、鋏顎とか触肢はさみ(下記サイトの図をご覧ください)の名称がついた細部にあるようです。 
 画像で見える触肢(いちばん大きい?戦闘具もどき)の「転節・腿節・patella(腕節?)・触肢はさみ」の形を比較してみると、太さとか曲がり具合など、言葉ではうまく表現できない微妙な違いがあります。感覚的判別では、フッカーさんとこはトゲヤドリカニムシHoplochernes、こちらはたぶん2種でAllochernesとかWithiusという属が怪しいのではないかと思い始めてます。
http://www.biology.ualberta.ca/bsc/ejournal/b_10/b_10_main.html

投稿: ezo-aphid | 2011年3月26日 (土) 11時04分

ezo-aphidさん、また冬の寒さが戻ってきました。
教えていただいたサイトのpdfを見ていましたが、途中で断念しました。
フッカーSさんの撮られた種とは確かに別種だと思いますが、ここに出した2個体は体色とか腹部の張り出し具合に違いはあるものの、ごく単純に同じ場所にいたからという理由で同種のような気がしています。
どちらにしても明確な特徴のつかみにくい仲間ですね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月26日 (土) 22時47分

こんばんわ。
本日(2012.1.28)渋谷区の代々木公園の樹皮裏で、おちゃたてむしさんの撮ったカニムシとそっくりの個体を見つけました。色も掲載画像と同様に黒っぽいのと赤いのの2種類がおり、こちらのカニムシのように肩に大きなトゲがありました。
都内で過去に撮ってきたカニムシと比べると、今までのは平ぺったくて幅広で、背中やお腹の節ごとに1つずつの黒点(突起?)が目立ち、肩にトゲはありません。一方今回見つかった方は、腹部に厚みがあってスリムで、背面の両端が白く、背中やお腹の節ごとの黒点は見えません。裏返した腹面の様子も明らかに違って見えました。
・・・で、おそらくezo-aphidさんが提示されたHaplochernesかAllochernesのどちらかだろうと思うのですが、たぶん私が今回撮ったおちゃたてむしさんとそっくりの方がトゲヤドリカニムシの仲間(Haplochernes)で、私が過去に撮ってきた方がモリヤドリカニムシの仲間(Allochernes)なのではないかと推測しました。ネットではHaplochernesの画像はあまり見つからなかったのですが、Allochernesの画像はそこそこあり、いずれも肩にトゲがなく、背中やお腹の節に黒点が目だったからです。そう考えると、トゲヤドリカニムシの「トゲ」は肩部の突起を刺しているんじゃないかとも想像出来ます。そうなると、虫ナビの個体もAllochernesの方なのかも。
日本語の詳細な情報が無いので何とも言えませんが、この推測はどうでしょうか?

投稿: フッカーS | 2012年1月29日 (日) 00時08分

フッカーSさん、おはようございます。
あんな大都会の真ん中にもいるんですね。
カニムシに関しては素人が頼れるような資料がほとんど見つからなくて困ります。重要な判別ポイントはどのあたりなんでしょうね。トゲヤドリカニムシの「トゲ」がフッカーさんの言われるように肩部の突起を指しているのかどうか、それだけでもわかれば随分参考になるのですが。例えば虫ナビさんのHaplochernesを見ると、この突起の有無を別にすれば上の2番目の個体とほとんど違いが認められません。もしこの突起が属を特徴づけるものでないとすれば、または個体変異もあり得るとすれば同種の可能性もあると思います。その意味では虫ナビさんが参照されたという「日本動物大百科」のトゲヤドリカニムシの画像が気になりますね。今度図書館で見てきます。

投稿: おちゃたてむし | 2012年1月29日 (日) 07時52分

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