« ミノウスバの1齢幼虫 | トップページ | マドチャタテ科の一種(Peripsocus sp.) »

2011年3月25日 (金)

ヒメコバチ科の2種(Euplectromorpha spp.)

またヒメコバチに戻ってきました。

その1.

_dsc4163 
やはりヤツデの葉の裏です。体長はちょうど2mmほど。これまでにこのブログに掲載した種の中では、上條さんに Euplectrus sp. と教えていただいたもの(こちら)に近いように見えます。特に胸部背面の形や毛の生え方がよく似ていると思います。

_dsc4146
同じ個体を横から。腹部に産卵管らしきものが見えるのでメスでしょう。

_dsc4155
同じく顔面です。逆V字型の黒条が目立ちます。

その2.次は別の日に同じ場所で撮った個体です。

_dsc3499
胸部や腹部の黒色部が狭く違った模様に見えます。しかし写真で見る限り他の特徴は一致するので、同種の体色変異か、別種でもごく近い種であろうと思います。体長はやや小さく、約1.7mmです。

_dsc3492
これもメスだろうと思いますが、この角度では産卵管は確認できません。

_dsc3484
顔面の写真はありませんが、その1.と同様の黒条は見えます。

ざっと過去の写真を確認すると、その2.のタイプに近く黒色部のより薄いものも出てきました。やはり体色変異の大きい種なんでしょうか。

その1.2011年3月11日 その2.同2日・明石公園)

* 3月25日・追記と写真追加 *

ezo-aphidさんによると、「その2」は Euplectrus 属ではなくよく似た Euplectromorpha属である可能性があるようです。小楯板に特徴があるということなので、「その1」も含めて画像のその部分を拡大してみました。

_dsc4133b
「その1」です。上に出したものとは別のカットです。小楯板の左右周縁部に縦の線が見えます。

_dsc3485c
「その2」です。こちらにも小楯板の縦線は認められますが、「その1」に比べて浅く、また短いように見えます。やはりこれらは別種なんでしょうか。

* 3月26日・追記とタイトル変更 *

ezo-aphid さんが再度検討された結果、「その1」はEuplectromorpha属の一種、「その2」はE.?nigromaculatusとしては、とのご意見をいただきました。上條さんによればこの2個体は別種と考えられるとのことです。詳細はコメントを参照してください。タイトルを「ヒメコバチ科の一種」から表記のように変更しました。

*3月27日・追記*

ezo-aphid さんのコメントにあるとおり、「その2」はE.nigromaculatus で間違いないとのことです。

|

« ミノウスバの1齢幼虫 | トップページ | マドチャタテ科の一種(Peripsocus sp.) »

膜翅目」カテゴリの記事

コメント

その1:Euplectrus属でしょうねー。そらさんとこの種類も加えると、なんとなくこの属のイメージがつかめてきたような気がします。
その2:成城の動植物(2011.2.3)by アーチャーンさん、と同じのEuplectromorpha nigromaculatus (Ashmead 1904)のようです。属名からして「似てます」の表示ですね。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月25日 (金) 09時18分

早とちりで、見た目の印象だけでコメントしてしまいました(ハンセイ)。ご指摘の通り、その1と2で画像には構造の違いが見つかりません。
Euplectromorpha属では、小楯板の両側に1本づつ縦の細線があるはずなのですが、どちらも背面図でかすかに見えるような気もします。たくさん標本を見てる方のご意見を伺わないと、判定は無理かもしれませんね。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月25日 (金) 11時05分

こんにちは、

近くまで来ていたはずの春が、なんだか足踏み状態で寒い日が続いてますね、桜の花も全然咲きそうにないです!
なので、私もコバチから抜け出せずに、カメラ以て出掛けると葉の裏を探す日々が続いてます(^^;。
東北地方も寒さで大変みたいですし、早く暖かくなった欲しいものです。

投稿: そら | 2011年3月25日 (金) 12時38分

ezo-aphidさん、こんばんは。
「その2」は確かにアーチャーンさんの画像にそっくりですね。小楯板の一対の縦線は、どちらの個体にもそれらしいものがあるように見えますが、これがそうなのかどうか自信が持てないので、例によって拡大画像を出しておきます。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月25日 (金) 20時49分

そらさん、こんばんは。
こちらでもまだ春が来ません。
葉裏で越冬態勢の虫の中にも面白いのがいるし、そんな場所以外では滅多に見ない虫を見つける幸運に恵まれることもありますが、3月下旬にもなるとそろそろ活動を始めた虫の姿を撮りたいものですね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月25日 (金) 20時55分

調べたら、この2属の判別について述べた下記の論文が見つかりました。Zhu and Huang (2000)ですが、その405頁の第2図がEuplectrus属で前伸腹節に1本の縦隆起線、第3図がEuplectromorpha属で2本の縦隆起線がある、とのことです。
 その1の拡大図を見ると、小楯板のうしろの弓型隆起線の中央に縦線はなく、その両脇にかすかに2縦線の端部が見えます。上條さんに伺ったところでは、この個体の斑紋の違いは別種と考えて良いレベルとのことですので、これはEuplectromorpha sp.となります。
 一方、その2の方は、拡大図でも前伸腹節の隆起線がほとんど見えないので、ホントは属を確定できないのですが、酷似の参考画像を元に、とりあえずはEuplectromorpha ?nigromaculatus と表現してはいかがでしょう(名前の確定は今後の宿題ですね)。

http://www.nhm.ac.uk/resources/research-curation/projects/chalcidoids/pdf/ZhuHu2001e.pdf

投稿: ezo-aphid | 2011年3月26日 (土) 19時30分

ezo-aphidさん、こんばんは。
この2個体はやはり別種でしたか。
お示しの文献の図を見ましたが、前進腹節の構造を比較するのは私の写真では難しいですね。
「その2」はアーチャーンさんの撮られているものとほとんど同じに見えるので、ご提案どおり「?」つきで種名を入れておきます。
撮影時には明らかな失敗も含めてかなり大量にシャッターを切っているつもりですが、いざ必要な部位がよく見えるカットを探そうとすると、なかなか使えるものがありません。あたりまえのことですが、とても標本にはかないませんね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月26日 (土) 21時04分

先ほど、上條さんからメールを頂きました。その2は、標本を多数お持ちで、斑紋から見てnigromaculatusに間違いなし、とのことです。その1の前伸腹節の隆起線もご覧いただけたとのこと。表題の変更なしで、1件落着ですね。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月26日 (土) 23時55分

ezo-aphidさん、お手数おかけしました。
最初この2個体は同種に間違いないと思っていたのですが、よく似た種がいるもんですね。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月27日 (日) 06時31分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ヒメコバチ科の2種(Euplectromorpha spp.):

« ミノウスバの1齢幼虫 | トップページ | マドチャタテ科の一種(Peripsocus sp.) »