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2011年3月13日 (日)

高倍率撮影解像力テスト

Hepotaさんに薦められていた「諭吉ホログラムテスト」を手持ちのレンズで試みてみました。本当はもう少し広範囲のデータを出したかったのですが、始めてみると思いのほか時間がかかり、またつまらないミスも重なって、今回お見せできるのはとりあえずレンズ4本、倍率は4倍の結果だけになります。条件が同じでないので正確な比較は出来ませんが、興味のある方はHepotaさんの記事と併せてご覧いただければ幸いです。

使用レンズは下記の通りです。

a. FUJINON-EX 50mm F2.8(35mm判引き伸ばし用レンズ・逆向き使用)
b. Micro-NIKKOR Auto 55mm F3.5(35mm判フィルムカメラ用マクロレンズ・逆向き使用)
c. ZUIKO AUTO-MACRO 38mm F2.8 (35mmフィルムカメラ用・拡大撮影専用レンズ)
d. E.ROKKOR 30mm F4.5(ハーフ判引き伸ばし用レンズ・逆向き使用)

等倍以上の高倍率撮影に使えそうなレンズという基準で選びました。使用カメラボディはニコンD200で、ベローズを介してレンズを取り付けています。

被写体はHepotaさんのテストに準じて現行一万円札のホログラム部分です。
掲載した画像は3872×2592ピクセルの画面中央部の200×200ピクセルの部分を切り取ったもので、画面をクリックすると等倍表示となります。

X4

ここに写っているNの文字は高さが約0.25mmあります。そのNの字を構成しているたくさんの正方形をどの程度明瞭に分解しているかで解像力を判断しようというわけですが、いくつか問題があります。

まず、困ったことにホログラムは照明の角度の僅かな違いで写り具合が大きく変わってきます。今回はそのあたりを統一することが出来なかったので、文字の色もレンズごとに変わってしまい、そのことが見た目の解像度にも影響しているかも知れません。
更に、こういう厚みのない被写体を撮影した場合、最良のピント位置を見つけ出すのが難しいという問題もあります。いわゆる前ピン、後ピンが確認出来ないので、例えばピントが外れているのかレンズの解像力の問題であるのかが1枚の画像だけでは判断出来ないということです。このテストではモニターで確認しながら少しずつピントをずらせて何枚も撮影し、最良のピント位置を探すという方法をとりましたが、これで万全かと言えば自信がありません。
最後に、テストしたレンズはどれも古いものです。見た目にはどのレンズも目立った傷や曇りは見られませんが、正直なところ新品時の性能をどの程度保っているかは不明です。現行製品にはZUIKOの38mmやROKKORの30mmに相当するレンズは存在しないので仕方ないのですが、ある程度のフレアの増加やコントラストの低下はあると思います。

以上のように断った上でテスト結果を見ると、やはりZUIKOの38mmの結果が良いようです。NIKONの55mmは昔よく使っていたレンズで、とてもシャープだという印象を持っていたのですが以外に思わしくない結果です。ROKKORの30mmは解像力は悪くないのですがかなりフレアっぽくてコントラストがありません。少し曇りが生じているのかも知れません。

どのレンズもある程度以上絞り込むと解像度が目に見えて低下しますが、その落ち方がレンズによって違うようです。例えばZUIKO38mmではF4までが最良です。ただ、実際に昆虫撮影に使ってみればF4ではピントが浅くて実用的ではありません。

標本ならともかく、野外で昆虫の生態を撮るのにこのようなレンズを使う人は今ではほとんどいないと思いますが、個人的に興味があったのでこの機会にテストをしてみました。どなたか物好きな方の参考にでもなればと思います。

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機材」カテゴリの記事

コメント

こんばんは。
テストありがとうございます。大変な仕事をお願いしてしまったようですみませんでした。私のデータとは、CCDの大きさも違うし、明るさも違うし、単純には比較できませんが、フォーサーズ用レンズのリバースも悪くないような感じですね。やはり私のウデが悪かったのかもしれません。実写でどうなるか、新型リバースアダプタが完成したら、試してみたいと思います。

投稿: Hepota | 2011年3月14日 (月) 03時34分

こんにちは、

まだ、テスト結果をシッカリ見て比較をしてないのですが、結構差があるものなのですね。さすがに、専用レンズは良い感じがします(^^)。
後は、おちゃたてむしさんも書かれているように、実際の虫の場合は奥行きがあることですか。
ある程度、被写界深度を稼がないとキレイに見えないので、絞り具合の最適値が微妙ですね!

投稿: そら | 2011年3月14日 (月) 12時54分

Hepotaさん、こんばんは。
ちょっと面倒ですが、こうやって条件を揃えて比較してみると面白いですね。
フォーサーズ用のレンズは設計も新しいし、元々小サイズ・高密度のセンサーに対応させてあるので、性能は高いんだろうと思います。
リバースアダプタの試用結果を楽しみにしています。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月14日 (月) 20時42分

そらさん、こんばんは。
実際、解像度と被写界深度の相反関係はなかなか悩ましい問題ですね。
何段階かの絞りでなるべく沢山撮っておくという方法もありますが、相手が生き物ではその手が使えないことも多いです。
根本的な解決法としては、レンズもセンサーも虫のサイズに応じて、今の百分の一か千分の一にまで超小型化するくらいしかないでしょう。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月14日 (月) 21時00分

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