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2011年3月22日 (火)

アザミウマ科の一種(Astrothrips aucubae)(改題)

冬の間、常緑樹の葉裏でよく見かける小さなアザミウマです。これはモチノキで見つけました。

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体長約1.2mmで、そのままでは小さすぎるので元画像から50%(長さで)にトリミングしています。

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ezo-aphidさんに教えて貰った「静止時に翅を平行におく」という特徴から、クダアザミウマ類ではないようです。触角は一見4節に見えますが、よく見ると先端部が複数節に分かれています。その特徴を北隆館の大図鑑に出ている図と比較すると、シマアザミウマ科の2種に近いようですが、どちらの種ともぴったりとは一致しません。いささか根拠が薄弱ですが、「シマアザミウマ科?」としておきます。

(2011年3月11日・明石公園)

* 3月22日・写真追加 *

ezo-aphidさんから、これはシマアザミウマ科ではなくアザミウマ科・アミメアザミウマ亜科に所属する種であろうとのご意見をいただきました。前半身の拡大画像を見たいということなので次にピクセル等倍画像を出しますが、なにしろ元が小さいのでかなり不鮮明です。こんなものでお役に立つかどうか。

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* 3月23日・追記とタイトル変更 *

上の拡大像をezo-aphidさんが検討された結果、やはりアミメアザミウマ亜科に属する Astrothrips 属の一種であろうとのご意見をいただきました。ご助言に従って、タイトルを「シマアザミウマ科の一種?」から表記のように変更しました。

* 4月27日・追記とタイトル変更 *

ezo-aphidさんが研究者の工藤巌さんに照会して下さった結果、やはりアミメアザミウマ亜科の Astrothrips aucubae Kurosawa に間違いなさそうだとのご返事をいただきました。詳しくはコメントを。タイトルに種名を加えました。ezo-aphid さん、工藤さん、ありがとうございました。

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アザミウマ目」カテゴリの記事

コメント

アザミウマですか~、写真で初めて見ました~
生でなんか一度もみたことないのですが・・・
自由研究の(本をみた)ときに初めてアザミウマの存在を
知って、一回どんなものか知りたかったのですが、
腹ばいになってるみたいでおもしろいですね
あとでほかのアザミウマのページもみてみたいなと思います(^^

あ、あと第一志望の高校に合格しました~

投稿: ぺろぽんぱ | 2011年3月22日 (火) 11時46分

こんにちは、

相変わらず、とっても小さな虫もキレイに撮られていて羨ましくなります(^^)。
自分でもアザミウマは撮ってますが、何故か未だにアザミウマの翅の作りが良く分かっていません。この翅で、飛ぶことができるのでしょうか?
斜め4度と、正面からの写真があったら公開して頂けると、個人的には大助かりです(^^;。

投稿: そら | 2011年3月22日 (火) 13時01分

ふ~nmm、難かしいです(いつものご挨拶)。
 シマアザミウマ科の翅面は幅広くほぼ平行で、まだら模様のことが多いようです。これは、クロトンアザミウマと同類のアミメアザミウマ亜科Panchaetothripinaeに所属すると思います。ただし、Kudo Iwaoさんの3報文(1992年、昆虫60巻1-3号)にある日本産の本亜科11属16種の部分図とは一致しないようです。 「するってぇと、こりゃ新種かい?」と突っ込むクマさんをなだめつつ、「まあ、あわてずに、も少し細部を見た方がいい」という大家さんの忠告ですな。  ・・・・恐れ入りますが、触角から腰までの平面拡大図をお願いします。頭と前胸の褐色部が、毛塊なのか表皮なのか、中胸の中央線や、翅基部の毛の状態がどうなってるのか。

 ぺろぽんぱさん、合格おめれとー。本物のアザミウマをお手軽に見るには、ツメクサ・タンポポの花がいいと思いますよ。ヒラズハナアザミウマという黒っぽいやつが花粉を食べてるはずです(6月頃に多いらしい)。名前のいわれは「子供たちがアザミの花からトントンと叩きだして数えた遊び」が元のようですので、アザミもいいかも。

 そらさん、こにちわー。不思議でしょうが、とべます、飛べます。農業害虫となっている種類では、成虫がビニールハウスの中に侵入しますし、空中の粘着板トラップでも採れます。飛んでいるところを見たわけではないのですが、風に漂う程度の飛翔力と思います。細翅の後縁に長毛を持ってる例としてはホソハネコバチ科とか、小蛾類の後翅にもありますね(小型昆虫にふさわしい省エネ型飛行具、という解説があったような・・・・・)。 

投稿: ezo-aphid | 2011年3月22日 (火) 17時30分

ぺろぽんぱさん、こんばんは。
アザミウマの居場所についてezo-aphidさんから詳しくコメントをいただきましたが、結構いるもんですよ。ただしよく見るには虫メガネが要りますね。
合格おめでとうございます。楽しい3年間を送ってください。

そらさん、こんばんは。
いつも使っているレンズではこれくらいの大きさが限界です。
この翅はほんとに不思議ですね。以前に一度だけですが、黄色いアザミウマがクズの葉に多数集まって飛び回っているのを見たことがあります。「虫ナビ」さんのところにあるマメハナアザミウマではなかったかと思います。
写真の角度ですが、残念ながら今回は真上と真横からのものしかありません。ezo-aphidさんのご要望で真上からの拡大画像を出しておきましたので、それでご勘弁下さい。

ezo-aphidさん、こんばんは。
触角の形からシマアザミウマ科ではないかと考えたのですが、違っていましたか。難しいですね。
ご所望の拡大画像を出しましたが、かなり不鮮明なので、疑問点の解消にはつながらないかも知れません。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月22日 (火) 22時48分

おちゃたてむしさん、有難うございます。
ciniiが回復したら、この亜科の学名で検索し、kudo(1992) Jpn. J. Ent. 60(3):475p.の図をご覧ください。そこのAstrothrips aucubaeの部分図とは、触角と頭部・前胸はよく似ていますが、中胸は違っているようです(頭と前胸の色違い部は表皮だと解釈しました)。翅の基部などに黄褐色の短線が見えますが、平たい毛のように思える点も違います(翅の薄黒い部分の短線は太い毛のような)。素人の画像判別では難しいモノなので、ここから先は、現物の微細部を Kudoさん に診てもらうしかありません。さしあたり、「?Astrothrips sp.」と整理しておくことでどうでしょうか。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月22日 (火) 23時32分

ezo-aphid さん、おはようございます。
詳細なご検討ありがとうございます。
ciniiは休止中なんですね。私には図くらいしか理解できないと思いますが、回復すれば見てみます。
また機会があればレンズを替えてもう少し鮮明な画像を撮っておきたいと思います。
タイトルはご助言のとおりに変更しておきます。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月23日 (水) 07時02分

実は、アミメアザミウマ亜科の報文を書かれた工藤巌さんに、この画像をプリントして送り、見て戴きました。今日届いたお返事には、「Astrothrips aucubae Kurosawa に違いないでしょう。八重山以南であれば、別種の可能性もありますが・・・・。成虫は珍しくはないものの個体数が少なく、食餌植物が未判明なので、幼虫が見つかれば素晴らしいです。」とありました。熱帯産の本亜科のうちの、唯一の温帯産種とのことです。ひそかに未記載種と期待していたのですが、残念です。アザミウマの同定(に限らずですが)は、標本と記載の照合が必須ですねー。
 工藤さんには、本種のこのような画像提示を喜んでいただけたようです。表題には種名を出しちゃいましょう(和名は無さそうですね)。

投稿: ezo-aphid | 2011年4月27日 (水) 17時50分

ezo-aphidさん、ありがとうございました。
わざわざプリントまでして照会していただいたとは恐縮です。早速タイトルに種名を加えておきます。実はciniiの論文もそのまま忘れていたのですが、あらためて見てみました。例によって私には図しかわかりませんが、こんな微小な虫の細部が克明に描かれているのに驚きます。
葉裏で冬を越している成虫は何度も見ているんですが、幼虫はどこにいるんでしょうね。たとえ見つけても私には本種の幼虫かどうかの見分けはつかないと思いますが・・・。

投稿: おちゃたてむし | 2011年4月27日 (水) 20時30分

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