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2011年3月 2日 (水)

クダアザミウマ科 Acallurothrips spinurus Okajima (改題)

* 2011.03.18・追記とタイトル変更 *

その後ezo-aphid さんが調べて下さったところ、この種はクダアザミウマモドキの一種(Acallurothrips sp.)であるらしいことがわかりました。この属では通例に反してオスが無翅だということです。詳しくはコメントを参照してください。
タイトルを、「アザミウマの一種」から表記のように変更しました。

* 2013.09.17・追記とタイトル変更 *

 この度SOさんより、Acallurothrips spinurus Okajima であろうとのコメントをいただきましたので、「クダアザミウマモドキの一種」としていたタイトルを再度変更して種名を入れました。掲載当初 ezo-aphid さんから候補として挙げていただいていた種名です。詳しくはコメントをご覧下さい。

アキニレの樹皮下にいたアザミウマです。

_dsc1673
はじめ黒っぽいものが光って見えるだけで、ルーペを覗くまで正体がわかりませんでした。有翅と無翅の成虫が計8匹います。

_dsc1688_2
お尻を振り上げているのは威嚇の姿勢でしょうか。体長は1.2~1.5mmです。

_dsc1698
こちらはストロボにリング型のディフューザを使っています。影が出ないのはいいのですが、反射が妙な模様を作ってまぎらわしいし、この光り方はどうも好きになれません。一長一短ですね。

_dsc1698b
上の写真の一部拡大です。右上の有翅型には複眼のすぐ内側に単眼が見えますが、左の無翅型でははっきりしません。他に触角や前胸の形などから、北隆館の大図鑑に載っているものの中ではヒゲブトアザミウマという種に近いように思いますが、例によって写真では確認できない特徴が多くて何とも言えません。

(2011年2月22日・明石公園)

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アザミウマ目」カテゴリの記事

コメント

こんにちは、

今日は私もアザミウマでしたが、大きさは違いますが似たような姿をしてますね(^^)。
アザミウマは、見つけても直ぐに動き始めてしまうので、なかなか撮るのが大変です。
前回のストロボの試し撮りの後、まだディフューザの改良ができてないので、未だ威力を発揮してません。
早く、おちゃたてむしさんのようなソフトな光を得られるようにしたいものです(^^;。

投稿: そら | 2011年3月 2日 (水) 12時24分

うーむむ・・・・・・。大図鑑の説明をざっと読むと、大きさや無翅型などヒゲブトとあってる部分が多いのですが。
 触角先端部の形がどうも納得できません。この画像で珠状に見えるのは2~7節目で、8節目は(たぶん)先端にチョンとついてるのでしょう。図鑑の線画を見ると、クダアザミウマ科ならこういう形もありですが、アザミウマ科では珠状はせいぜい6節目までです。この図版には載っていない種類なのだろうと思ってしまうのです。
無翅型が樹皮下にいるのも不思議です。越冬のために歩いてきたのか、それとも、ここで菌類を食べて育ったのでしょうかねー。 どーにも判りません。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月 2日 (水) 15時30分

そらさん、こんばんは。
アザミウマに限らず、少し暖かくなってくると寒い頃のように落ち着いて撮ることが難しくなりますね。これからしばらくの間は、活動を始めた虫はまだ少ないし、中途半端な季節です。
ディフューザをいろいろ試してみるのは楽しいですね。デジカメになって結果もすぐ見られますし。私の場合、材料は専ら百円ショップで探しています。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月 2日 (水) 20時28分

ezo-aphidさん、こんばんは。
なるほど、触角の珠状節の数が合いませんね。ちゃんと数えていませんでした。また図鑑の「ヒゲブト」の図と比べると頭部の形も違うようです。しかし他には似た格好のものは無さそうなので、やはりこの図鑑には載っていない種ではないかと思います。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月 2日 (水) 20時41分

皇居などを含む東京都本土の目録を見ると、アザミウマ科45種のうち15種には和名がありません。つまり大図鑑以降に、新たに50%見つかったことになります。クダアザミウマ科では倍増です。まだまだ、国内では調査不足なのだろうと思います。
http://homepage3.nifty.com/TKM/page034.html

投稿: ezo-aphid | 2011年3月 2日 (水) 21時26分

ezo-aphidさん、
大図鑑だけでもずいぶん沢山出ていると思っていましたが、全国の種から見ればごく一部なんでしょうね。まあ私としては種名のわからないのは仕方が無いので、とりあえず撮っておくだけです。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月 3日 (木) 06時45分

こんばんわー。どこに所属するのか、ずっと気になってたのですが、なんとか見当がつきましたので、お知らせ。
 青木さんの「土壌動物検索図説」を見ていたら、”クダアザミウマ科の尾毛は末端から出る、末端節は管状にならないAcallurothripsというのがいる”とあります。調べたらOkajima(1993)に日本産6種の記載があり、同属のノグチクダアザミウマモドキに類似の A. spinurus Okajima(トゲオクダモドキオオアザミウマ)とやらにあたるようです。これは兵庫県・神奈川県・大阪府で、晩秋~真冬に常緑樹の枯れ枝から採集されてます。ただし、体長に大きな変異があるようで、原記載では雌が有翅で2.4mm、雄は無翅で1.7-2.3mmとあります。一方、先の「図説」には、この属で唯一土壌中から稀に採れる種で、体長は2.1-2.5mmと記しています。ちなみに、ノグチクダアザミウマモドキは、静岡県・神奈川県・三宅島で、枯れ枝から少数が秋に採れていて、雌2.3mm、雄1.9mmです。
 これが属するオオアザミウマ亜科は胞子食らしいとありますが、この属の詳しい生態については判っていないように思います。守るべき卵や幼虫はなさそうなのに、なぜ(雌雄ともに?)お尻を振り上げるのか、ということも。それにしても、この属では雄が無翅となっているのは、なぜなんでしょうね。身重になる雌が動かない、というのが妥当なように思うのですが・・・・・。
 当面の表題は「クダアザミウマモドキの一種」というので、どうでしょう。(青木さんの和名では、クダモドキオオアザミウマ属の一種、となるのですが・・)

投稿: ezo-aphid | 2011年3月18日 (金) 19時09分

ezo-aphidさん、こんばんは。
いつもながらいろいろ手をつくして調べていただいて、本当にありがとうございます。
アザミウマは小さいこともあって一見どれも同じように見えますが、ぴったり特徴の一致する種を探し出すのは難しいんですね。オスが無翅というのも面白いと思いました。普通オスというのはせいぜいあちこち飛び回って出来る限り多くのメスと交尾するのが仕事だろうと理解しているのですが・・・。オスが無翅と言えばイヌビワコバチが思い浮かびますが、その生態に何か共通する要素でもあるんでしょうか。
表題はご助言通り「クダアザミウマモドキの一種」とさせていただきます。「クダモドキオオアザミウマ」の方は少なくともアザミウマであることだけは疑問の余地なく表していて、より正確な命名なんでしょうが、ちょっと消化不良になりそうです。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月18日 (金) 21時08分

こんばんわー。所属探しの反省点などを・・・・。
 クダアザミウマ類:静止時に翅を重ねる、多くは尾端が管状(尾毛は末端から生じる)
 アザミウマ類:静止時に翅を平行におく、尾端が管状ではない(尾毛は節の中間から)
触角の節数とか、樹皮下の成虫集団、ということからクダアザミウマ類も検討対象とすべきでした。それでも、大図鑑でノグチクダアザミウマモドキにたどり着けたか、疑問ですが。
ciniiにはAcallurothrips属6種の報告が載っています。97頁を見ると尾端の形にも違いがあることが判ります。
 http://157.1.40.181/els/110003377626.pdfid=ART0003854139&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1300529050&cp=

そらさんとこで、3月2日のクチキクダアザミウマ? Hoplothrips sp.でもコメントしましたが、Acallurothrips属も腕太で「ふ節」内側に指状の突起がありますので、似たような生態(無翅雄の交尾権争い)を持つのだろうと思います。でも、雌の産卵期あたりにならないと見られないのでしょうが。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月19日 (土) 19時20分

ezo-aphid さん、こんばんは。
静止時の翅の位置や尾毛の生じる場所などの区別点は知りませんでした。大変参考になります。
無翅雄の争いというのを見たいものですが、どんな場所で行われるんでしょうね。樹皮下などでは見るのは難しそうです。
cinii論文はうまくリンク出来ませんでした。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月19日 (土) 20時32分

すみません。前にも失敗してるのですが・・・・。ciniiを呼び出して、「Acallurothrips」と打ち込むと1本だけ出てきます。
卵塊を守る位置で、同じサイズの雄が場所争いをするそうですから、樹皮下の成虫集団あたりだろうと思います。餌としての菌糸(胞子?)も必要でしょうから、樹の腐朽は進んでる方がいいかも。梅雨時からあとのキノコ時期あたりではないかと・・・、想像ですが。

投稿: ezo-aphid | 2011年3月19日 (土) 21時19分

ezo-aphid さん、
ありがとうございます。見ることが出来ました。
雄の争いについては、アザミウマの卵塊がどんなものなのかも知らないのですが、気にとめておけばいつか見られるかも知れませんね。

投稿: おちゃたてむし | 2011年3月19日 (土) 22時05分

コメントが小出しになってしまいごめんなさい。仕事の合間にちょっとずつ見てるものですから。この種はAcallurothrips spinurus Okajimaだと思います。A. nogutiiに非常によく似ていますが、尾端の「管」の形が微妙に異なります。Acallurothrips属の種はどれも枯れ枝のキクイムシやカミキリムシが穿孔したの穴の中など、見つけにくい所にいることが多く、発見の難しいものばかりです。私自身、樹皮下で見たことはありません。ですからこの写真は貴重ですね。
なお、アザミウマ類の体長ですが、プレパラート標本で計測しますので生体よりは長くなります。プレパラート標本にする際、観察(通常、光学顕微鏡を用い、100から1000倍程度の倍率で観察)しやすいようにKOH水溶液に浸けて脱色します。その際、腹節間膜がすべて伸びます。その状態での計測ですから、生体に比べてかなり長くなります。記載文でdistended lengthなどと書いているのはそのためです。

投稿: SO | 2013年9月17日 (火) 14時13分

SOさん、こんばんは。
お忙しい中、古い記事に目を通していただいた上、丁寧に教えていただき恐縮至極です。
あらためてezo-aphidさんに紹介してもらった論文の、Acallurothrips属6種の尾端の図を見てみましたが、違いといってもほんとに微妙な違いなんですね。実物を2匹並べてもらっても私には分かりそうにありません。
はじめ科の見当もつかなかったのがezo-aphidさんにAcallurothrips属まで絞り込んでいただき、特に A.spinurusを候補として挙げていただきましたが、見事に当たっていたわけですね。
私の写真で測った体長が記載文に比べてかなり小さかった理由もよく分かりました。
タイトルを変更して種名を入れておきます。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2013年9月17日 (火) 20時56分

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