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2011年5月28日 (土)

アブラムシの一種(Tuberocephalus sp.)と虫こぶ(改題)

サクラの葉の縁に作られた虫こぶです。

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この時期になるといつもの公園のサクラでよく見かけますが、サクラハトサカフシというものだと思います。

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一つ切開してみると中には黄色いアブラムシがぎっしり詰まっています。ササキコブアブラムシ(別名サクラフシアブラムシ)という種のようです。

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中に寄生バチが脱出した後の抜け殻も混じっています。厳重に戸締りされているように見えますが、それでも寄生者から完全に逃れることは出来ないんですね。産卵時はともかく、羽化したハチはどうやって外に出るんでしょうか。

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幼虫のアップを1枚。「幹母」を探せば良かったとあとから気づいたのですが、虫こぶを切開した途端中からうじゃうじゃあふれてきてそんな余裕がありませんでした。

* 5月28日・追記とタイトル変更 *

フッカーSさんからのご指摘で、この虫こぶはサクラハトサカフシではなく、したがってアブラムシの種名も間違っていたことがわかりました。サクラハトサカフシは新葉側脈に沿って表側に作られるもので、掲載写真のように葉の縁に作られるものはまた別の、ハベリフクロフシと呼ばれるものだということです。サクラ類のハベリフクロフシには3種あって、それぞれ特定のアブラムシが関与するもののようですが、ここに掲載したものがどの種にあたるのかはわかりません。詳しくはコメントを見てください。タイトルを「ササキコブアブラムシとサクラハトサカフシ」から、表記のように変更しました。

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コメント

おはようございます。
中に居るアブラムシが撮れて、羨ましいです。実は最近、私もサクラ類を萎縮させるアブラムシ類の「フシ」を見つけたのですが、中にアブラムシは居ませんでした。また、葉の萎縮(虫こぶ)の形状や部位も、候補5種の中でピッタリ一致するものが見つからず、結局「Tuberocephalus属アブラムシの虫えい(ハベリフクロフシ)」としてファイルしてあります。萎縮した葉の外観は、おちゃたてむしさんが撮った上画像とかなり似ていますが、もっとドーム状に膨らんだ形でした。ハベリフクロフシとしたのは、虫こぶの場所が葉の「縁(へり部分)」にあったからです。ハベリフクロフシにはエドヒガンハベリフクロフシとミザクラハベリフクロフシ、ヒガンザクラコブアブラムシがあり、サクラの品種でもある程度分かれるのですが、私の方は品種が分かりませんでした。一方、サクラコブアブラムシは葉全体が萎縮し、サクラフシアブラムシは葉脈上に長さ2~3cmの細長い鶏冠のようなコブが出来ます。その点からすると、おちゃたてむしさんが撮った上画像の虫えいも、どちらかと言われればハベリフクロフシ類と思われます。
私では、上画像の幼虫からアブラムシを特定するのは無理っぽいですが、一応以下のページに僅かですが参考画像がありました。

ヒガンザクラコブアブラムシ
http://wwwd.pikara.ne.jp/mtakagi/sharanchu/kajyu/aburamushi_higanzakura.htm
サクラフシアブラムシ
http://gaityuu.com/ueki/sakura/sakurafusi/page0001.htm
サクラコブアブラムシ
http://gaityuu.com/ueki/sakura/sakurakobu/page0001.htm
サクラハベリフシアブラムシ(エドヒガンハベリフクロフシ)とミザクラコブアブラムシ(ミザクラハベリフクロフシ)は、残念ながらネット上に画像無し。

投稿: フッカーS | 2011年5月28日 (土) 07時53分

フッカーS さん、こんばんは。
いつものように早まってしまったようです。
「アブラムシ入門図鑑」の写真を見ただけでササキコブアブラムシと決めてしまったのですが、説明文に「新葉側脈に沿って」虫こぶを作る、とあるのを見落としていました。更に、あらためて自分の撮った画像を拡大してみると、同じページに図示されている「頭部のコブ状の突起」も認められないので、明らかに別種でした。不注意なことでお恥ずかしい限りです。
虫こぶのできていたサクラはソメイヨシノだとばかり思い込んでいたのですが、違うのかもしれません。「ハベリフクロフシ」だけでも3種もあるんですね。前出の「入門図鑑」にはサクラ類の新葉葉縁に虫こぶを作るものとしてミサクラコブアブラムシ、ヒガンザクラコブアブラムシ、エドヒガンコブアブラムシ(これがサクラハベリフシアブラムシ?)が掲載されていますが、形態的な説明は主に幹母についてのものなので、私の写真から判断するのは難しそうです。
そのあたりは不明として、とりあえず記事とタイトルを修正しておきます。ご指摘ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年5月28日 (土) 20時24分

こんばんわ。このTuberocephalus属は、寄主範囲の解明が不十分でもあるため、なかなか面倒です。まず、ムシ屋などにとって、寄主のサクラ「種」を判別しがたいこともあって・・・・。
 日本には8種(+1亜種)いて、すべてPrunus属の葉にゴールを作るようです。このゴールには3類型があり、トサカフシ(側脈沿いのトサカ状袋)に2種、ハベリフシ(側脈に直角方向の長い袋)に3種(+1亜種)、チヂミフシ(葉縁を含む巻縮)に3種の、それぞれアブラムシがいます。サクラ属には、ほかにハマキフシ(表と裏)のMyzus属2種などもいます。これらゴールの代表的な姿は「入門図鑑」の写真に載っているとおりです。
 ハベリフシの第2世代では、無翅虫を見つけると種まで行けそうです。背中が肥厚し、かつ触角長が体長の半分なら、エドヒガンコブアブラムシ T. higansakurae hainnevilleaeと言えます(これが有力候補だろうとみてます)。ちなみに、「入門図鑑」図示の「頭部のコブ状突起」はヨモギ世代なので顕著ですが、サクラ世代では画像2枚目左側個体のようにごくわずかの突起です。
 フッカーSさんご紹介の写真集は参考にすべきではありません。分類がまずく、サクラフシでは「2種のゴールを一緒に扱い、幼虫を無翅虫として」います。サクラコブでは、「単独成虫とゴールはMyzus属で、幼虫は別属のもの」でしょう。本物と別物を区別していないと思います。

投稿: ezo-aphid | 2011年5月28日 (土) 22時14分

ezo-aphid さん、おはようございます。
「頭部の突起」はこの属共通の特徴だったんですね。図鑑の説明にははっきりと書いてあるのに、またまた早とちりをしていました。なかなか込み入った話で、幼虫と無翅成虫の区別もはっきりしない私には手強そうです。機会があればその無翅虫や有翅虫の写真も撮っておきたいと思います。またサクラの品種も確認しないといけませんね。今後の課題としておきます。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年5月29日 (日) 06時33分

 アブラムシ無翅成虫を、ちゃんと認識していないサイトは普通に見られますし、図鑑にもちらほらあります(簡単ではないんですね)。コロニーでは幼虫が圧倒的に多いのですが、成虫の区別の基本は「入門図鑑」8頁にあるとおりです。成虫は、産子中の個体で確認するのが最も確実ですが、その体長や背面光沢と尾片を付近の個体と見くらべて下さい。
 アブラムシ亜科に限れば、多くの種では尾片の完成度(突出程度)によって判別できます。指状に長く伸びているのが成虫、三角錐状に短いのが幼虫ですね。Tuberocephalus属やオマルアブラムシなどでは、成虫の尾片が短くて目立たないのですが、その場合は、背面の光沢やキチン化の程度などを見ます。 アブラムシ亜科以外では、ほとんどは尾片が突出しないので、成虫判別は他の形質によらざるを得ませんが。
 この埼玉のサイトには多種のアブラムシ類が載っていますが、有翅幼虫(胸部に翅芽がある)を成虫と扱ったものがかなり見受けられます。尾片による幼虫判別の訓練には便利かと思います。
http://gaityuu.com/index.htm
 

投稿: ezo-aphid | 2011年5月29日 (日) 12時49分

ezo-aphid さん、こんばんは。
やはり決定的な判別ポイントというのはないんですか。ご紹介いただいたサイトにざっと目を通してみましたが、翅芽のある「成虫」がかなり混ざっているのはよくわかりますが、尾片による判別についてはまだ要点がつかめません。産仔中の個体など、なるだけ多くの事例にあたって慣れるほかないでしょうね。私がアブラムシを撮るのはどちらかと言えば、他に目ぼしいものが見当たらない時に仕方なく、という場合が多いのですが(失礼!)、ぼちぼちとでも見る目を養っていければと思います。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2011年5月29日 (日) 20時51分

はじめてメールいたします。
私は、東京で子供向けの書籍の編集制作をしているsugimotoと申します。メールフォームなどがございませんでしたので、こちらにレスさせていただきます。
現在さくらの本(小学背向けの図書館本)をつくっておりまして、
上記の写真を書籍のなかにぜひ掲載したいと思っております。上記のコメントにあったように、種名までは掲載せず、アブラムシの一種というような表現にとどめます。
借用方法についてご教授いただけましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

sugimoto

投稿: sugimoto | 2019年12月19日 (木) 20時37分

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