オナガバチの一種(Megarhyssa sp.)の産卵
エノキの立ち枯れに集まって産卵する大型のヒメバチです。
同じ明石公園で撮ったメスの脱出の様子を昨年も出していますが、例年5月末から7月にかけて園内のどこかでこのような光景を見ることが出来ます。多い時には十数匹が一ヶ所に群がって産卵しているのを見ることもありますが、この2年ほどは数が少ないようです。
産卵しているメスのすぐ上に見えているのは別のメスが残していった産卵管です。産卵中に外敵に襲われたか、あるいは引き抜く力が残っていなかったのでしょう。このハチが集まる枯れ木では宿主であるヒラアシキバチの産卵管も同じように残されているのをよく見かけます。(ヒラアシキバチの産卵は9月頃です。)
産卵管が挿入されるにつれてその両側を覆っている産卵管鞘が左右に分かれて残っていきます。大きな個体では5cm以上もある産卵管が、硬い材の中に根元まで入っていくのは何度見ても驚きです。
この公園では1993年以来ほぼ毎年見ていますが、一本の枯れ木が利用されるのは普通2年から3年くらいなので、集まる場所は年毎に徐々に変わっていきます。このハチやヒラアシキバチが脱出したあとの多数の穴はドロバチやジガバチモドキなど他のハチの巣穴として、またワラジムシをはじめ多くの小動物の隠れ家として盛んに利用されています。そして最後には腐って強風などで倒れるか、その前に伐採されることになります。
(2011年6月4日・明石公園)
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コメント
私のオナガバチの記事に情報をいただき、ありがとうございました。
ここに載せられているオナガバチと私の記事のエゾオナガバチとを比較すると、たしかによく似ていますが、あちこちの模様が少しずつ違うように思います。特に、エゾオナガバチの腹部の黄色い所には小さな黒斑があるのですが、こちらのオナガバチにはそれが無いようです。
投稿: そよかぜ | 2012年6月 6日 (水) 00時03分
そよかぜさん、おはようございます。
写真を拝見しててっきりこれは同種だと思ったのですが、別種でしょうか。こちらで見かけるものも斑紋にはある程度の変異があるので、一度これまでに撮った写真をよく比較してみたいと思います。翅に黒紋のある種はいないと思いますが、ひょっとしたら2種が混じっているのかも知れませんね。ご指摘ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月 6日 (水) 06時29分