ヒメガガンボ科の一種(Styringomyia sp.)(改題)
去年の8月にそらさんのブログに登場したのと多分同種と思われる、ガガンボの一種です。
シャクナゲの葉裏についていたのですが、はじめはゴミかと思いました。
よく見れば交尾中の2匹のガガンボです。上の個体は翅が暗色に曇っていますが下の個体ではほぼ透明です。真中にオスの交尾器らしき膨らみが見えますが、それが2匹のどちらに属するのかこの写真ではよくわかりません。しかしそらさんの撮られた個体では翅が透明で、しかも交尾器が見えるので、上の写真でも多分下がオスではないかと考えられます。体長はどちらも5mm強です。
下の個体のアップです。上のも同様に撮りたかったのですが、その前に逃げられてしまいました。
(2011年8月7日・神戸市北区 森林植物園)
* 8月7日・写真追加 *
ezo-aphidさんから翅脈を読めるような拡大画像が欲しいとのご要望があったので、無理やり拡大した不鮮明なものですが下に出しておきます。元画像の上の個体を上に、下の個体を下にしていますが、比較し易いように頭の向きを揃えています。これで何かわかればいいのですが。
一つ気付いたのですが、上の個体(メス?)の翅が黒っぽく見えたのは翅の色ではなく、その下の腹部が黒いせいのようです。
* 8月11日・追記とタイトル変更 *
Aclerisさん、達磨さんより、上のガガンボはヒメガガンボ科のStyringomyia属の一種であるとのご教示をいただきました。詳しくはコメントと、Aclerisさんのコメントにある「一寸のハエ」のスレッドを参照してください。タイトルを「ガガンボの一種」から表記のように変更しました。
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コメント
こんにちは、
ついに出てきましたか、顔を見ればガガンボだと気が付きましたが、コイツは止まり方に特長があるのと最初はクモかと思ったのでシッカリ記憶しています。
個人的には、いつezo-aphidさんが調査結果をコメントしてくれるのか期待して待ってるのですが(^^;。
ここに来て急に暑くなり始めたので、虫探しをしていても汗だくで一苦労です。なので、集中力不足で小さな虫は特に目に留まらなくなっているみたいです(^^;。
投稿: そら | 2011年8月10日 (水) 12時40分
うーん、そらさんには、すっかりお見通しのようですなー。ガガンボらしくないこの休息?姿勢に、どこに所属するものなのか、興味シンシンです。しかーし、ガガンボ類は大きくて深い沼のような存在ですから、とても近づけそうにないので、白神山地に住む「達磨大蚊天国」の管理人さんに相談するしかないと思ってます。
MNDの翅脈と比べてみるとやたら本数が少なく見え、小型で、触角節数は15個前後と多めなので、ヒメガガンボ亜科なのかなと思います。分類にはかなり細部が必要らしいのですが、ひとまず翅脈を読める図がほしいですね。そらさんの画像にもきれいに写ってはいるのですが、左右が重なり合っていて、素人にはとても読めませんでした。
おちゃたてさん、2枚目の雌雄どちらかの翅脈拡大図(できれば1枚だけにピントが合ったもの)をお願いできますか?
投稿: ezo-aphid | 2011年8月10日 (水) 13時48分
そらさん、こんばんは。
ほんとに、この姿勢は印象的ですね。
これまでまともな写真が撮れていなかったので、今度こそはと期待したのですが、途中で逃がしてしまいました。
この夏は私もとみに集中力の低下を感じています。暑さの上にある種の吸血性双翅目が集まってきて寄ってたかって邪魔をするので尚更です。
ezo-aphidさん、こんばんは。
大きくて深い沼ですか・・・。私には離れた場所から恐る恐る覗いてみるくらいしか出来そうにありません。
翅脈の拡大図を、とのご所望ですが、倍率を上げて撮る前に逃げられてしまった上に、なんとか残った写真も誤って感度設定を上げたまま撮ってしまったので、まったく不鮮明な画像しかお目にかけることが出来ません。多少の助けになるかとオスメス両方の拡大図を出しておきますが、これで何かわかるでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月10日 (水) 22時46分
ひぇー・・・・・、見なきゃ良かったです。(画像の掲載ありがとうございます)
MNDなど、どこのテキストを探しても、ガガンボ類でこんな単純そうな翅脈は見つかりません。単眼も無いようなあるような・・・、胸背のV字縫合線もあいまい。・・・・つまり、科名すら判りません。 やっぱり、達磨さんにお願いしてみようと思います。
投稿: ezo-aphid | 2011年8月11日 (木) 01時19分
tukikです。
こいつの交尾、宮崎でも撮れています。あまり他で見なかったので、南方系かと思っていました。一度見ると忘れられない形態ですね。その内載せてリンクします。
投稿: tukik | 2011年8月11日 (木) 02時39分
ezo-aphidさん、おはようございます。
どうもはっきりしない画像ですみません。
私も少し翅脈図を見てみましたが、ガガンボ類の翅は細いのに案外翅脈は複雑なんですね。
このとまり方と翅・脚の斑紋などの特徴で似たものが出てこないか画像を検索して見ましたが
、見つかりませんでした。毎度のことながら、お任せするしかありません。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月11日 (木) 06時54分
tukikさん、おはようございます。
宮崎でも撮れましたか。かなり特徴的なのに他で見ないのは不思議ですね。名前がわかればいいのですが・・・。情報ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月11日 (木) 06時58分
コンニチワ。私も同種と思われるものを一寸のハエの掲示板で質問して、件の達磨先生に回答頂きました。
それによると、ヒメガガンボ科のStyringomyia属の一種だそうです。
該当のスレッドはコチラです。
ttp://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?list=pickup&num=4279#4279
(先頭のh抜いてます)
投稿: Acleris@会社 | 2011年8月11日 (木) 08時00分
あれまぁ、Aclerisさん、たびたびお世話になります。スレッド拝見しました、ご教示ありがとうございます(達磨先生へのお願い文を書いてる間に落着済みとは・・・・)。ヒメガガンボは、MNDなどでは亜科だったのが、科に昇格してるんですね。言われてみると、Helius属の翅脈をもう少しデフォルメ&単純化すれば、似てきますね。
こういうベタッとしたと密着したとまり方は、ガガンボ類では珍しいように思うのですがどうなんでしょうねー。
投稿: ezo-aphid | 2011年8月11日 (木) 09時51分
種までは判別できませんがヒメガガンボ科のStyringomyia属の一種です。
翅脈が変形しまくりの妙なガガンボです。
投稿: 達磨 | 2011年8月11日 (木) 15時23分
達磨先生(イダテンチャタテの名づけ親ですね)、お出ましありがとうございます。お手数をお掛けしました。
ガガンボのリストを見ると、この属はなんと150種ほども記録されてるのですねー。種の判別はゲニタリアを丁寧に比較検討しないと無理のようです。・・・・・やっぱり素人には深い沼ですぅ。日本にはいったい何種いるんでしょうね。
投稿: ezo-aphid | 2011年8月11日 (木) 17時54分
Aclerisさん、こんばんは。
スレッドを拝見しましたが、やはりこのとまり方が普通なんですね。また私の写真でははっきり見えない翅脈の全容がよくわかりました。今度出会ったらもう少しましな写真を撮っておきたいと思います。ご教示ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月11日 (木) 23時09分
ezo-aphidさん、こんばんは。
遅くなって帰宅すると、おかげさまですでに解決済みになっていました。
素人はこの変わったとまり方にまず注意が向いてしまいますが、実は翅脈に大きな特徴があったのですね。それにしてもこの姿勢は、この属特有のものなんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月11日 (木) 23時18分
達磨さま、コメントをいただき光栄です。。
ガガンボ類はどれも同じように見えて、しかも体も翅も細くて生態写真では細部がはっきりしないことが多いのでなんとなく敬遠気味だったのですが、この種は妙なとまり方で以前から気になっていました。ほんとうはガガンボ類という確信もなかったので、属レベルまで確定してとても嬉しい気分です。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月11日 (木) 23時39分
”それにしてもこの姿勢は、この属特有のものなんでしょうか?”
・・・・・・なんか書いたものがないか探してみました。Edwards(1914)「Styringomyia属の再検討」という古い論文に、「(ガガンボ類としては)形態的に独特で、どういう生活をするのか不明だが、休息姿勢に特徴がある:”前中脚を前方に、後脚を後方に伸ばしきって、クモ糸のちぎれクズに似てる”、これは3人の研究者が複数種について観察している」というようなことが書いてありました。
属の概念が変わってなければ、そういう可能性は高そうですね。diptera.infoのgalleryに画像は見つかりませんでした。
投稿: ezo-aphid | 2011年8月12日 (金) 16時33分
リストで日本の分布種を調べてみましたが、今のところ、南西諸島と本州からの各2種、合計4種が報告されてました。九州にいる種は、どれもあり得るでしょうね。
投稿: ezo-aphid | 2011年8月12日 (金) 19時46分
ezo-aphid さん、こんばんは。
百年前の論文まで調べていただいてありがとうございます。「クモ糸のちぎれクズ」と言われると、なるほどそんな風にも見えてきます。独特の休息姿勢が昔から注意を惹いていたんですね。本州からの報告が2種ということで、残りの一種がどんな格好をしているのか興味がわきます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年8月12日 (金) 22時22分
今ころになって・・・・ですが、今日、そらさんが再掲したので、ふと思いつきました。
別件でご紹介した「The Limoniinae of Australia Ⅷ」に Styringomyia属の翅脈図(136頁fig.47)が載っているので比べてみました。生体の翅脈写真は判りにくいので、Aclerisさんの「一寸のハエ・・・・」にある翅脈写真を使ってみました。多少の長さに違いはあるものの、基本パターンは一致しています。しかし明瞭な違いとして興味深いのは、この種には(最も後縁にある)A2脈に分岐があることです。A2脈の分岐というのは非常に稀のケースのようで、MNDの図には見当たらず、この文献の図でもLimonia属19亜属のうちのDiscobola亜属(fig.18)のみにあります。素人だと別亜属を作りたくなりますねー。
投稿: ezo-aphid | 2013年8月14日 (水) 12時04分
ezo-aphidさん、
古い記事を思い出していただきありがとうございます。
ご指摘のとおり私の生体写真ではよく見えませんがAclerisさんの標本写真ではA2脈の分岐がはっきり分かりますね。ひょっとして日本特産の別亜属なんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2013年8月14日 (水) 23時51分