クロフチャタテ科の一種(Aaroniella sp.)
モチノキで見つけたチャタテムシです。
この種は過去にもこの公園で何度か撮影しています。ここ数年は見ていなかったのでずっと気になっていたのですが、久しぶりに見つかりました。
チャタテムシの中では体が腹背に扁平で、翅脈の上に黒っぽい斑点が並んでいるのが鋲でも打ったようで妙に頑丈そうに見えます。体長約3mmです。
吉澤先生の翅脈図と比べるとおそらくクロフチャタテ科、またいくつかの海外サイトでAaroniella属としてよく似た画像が出てくるので、このあたりの種ではないかと思います。
顔面には先日出したホシチャタテに似た模様があります。樹皮上で見つかるチャタテムシの中でも、イダテンチャタテやウロコチャタテの仲間などは手でも近づけると速足で逃げ回りますが、こいつやホシチャタテは鈍重でなかなか動こうとしません。
上の写真ではわかりにくかったのですが、虫の頭上には径数cmにわたって細かい網が張られています。この時は15cm径ほどのモチノキの幹の周りに数匹、それぞれ他から離れて、こんな具合に網の下で静止していました。
最後は古い写真なので、色が違うのには目をつぶって下さい。アベマキの樹皮に張られた網の下の成虫4匹と幼虫1匹です。成虫のうち、複眼が黒くて少し大きい3匹がオスではないかと思っています。とすれば上の、今年撮ったものはメスでしょう。
これは10月の撮影ですが、他の年にもやはり10月にこのような集団を撮っています。そのことから推測して今年撮影した、網の下で1匹づつ孤立していた個体はやはりメスで、これから産卵する(あるいは産卵を終えた?)ところではないかと思っています。
(2011年8月26日/最後の一枚のみ1997年10月15日・明石公園)
* 9月21日・追記とタイトル修正 *
psocodeaさんから、Aaroniella属で間違いないとのコメントをいただいたので、タイトルの属名から?をはずしました。
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コメント
こんばんわ。psocodeaさんはお出かけ中、かと・・・・。
属名はあってると思います、たぶん。 世界のあちこちに50種ほど、お隣の中国にも10種弱ほどいるとのことです。psocodeaさんも国内から数種を採っていますが、種名は未確定のようです。同定が難しい理由があるのかもしれませんね。
投稿: ezo-aphid | 2011年9月15日 (木) 22時21分
ezo-aphidさん、おはようございます。
お調べいただいてありがとうございます。
種名は未確定ですか。まあ、属レベルまでわかれば私には充分ですが、特徴のあるチャタテなので学名が無くても和名が欲しいところですね。
今年見つけた場所で、この秋に以前見たような集団が見られるかどうか楽しみにしています。
投稿: おちゃたてむし | 2011年9月16日 (金) 06時30分
しばし留守にしていました.明日からまた留守にします.Aaroniella で間違いありません.
投稿: psocodea | 2011年9月21日 (水) 16時36分
psocodeaさん、
お忙しいところ見ていただいて恐縮です。
属名から?をはずしておきます。
ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2011年9月21日 (水) 19時58分