ドングリに産卵するタマバチ(?Synergus itoensis)(改題)
ちょうど1年前に見たのと同じ、アラカシの実に産卵するタマバチが今年も同じ場所で見られました。
昨年と同じ木で、9月13日に訪れた際には多数が枝先を飛び回っていたものの、まだ産卵を始めているものはいませんでした。11日後のこの日はすでに産卵シーズンも終わりかけているのか、ほとんど姿を消していましたが、それでも数匹の産卵を見ることが出来ました。
アラカシにつくタマバチとしては、この公園でも春に若枝に産卵するマスダアラカシタマバチが見られます。やはりアラカシの芽に産卵する別種のタマバチに関するハンマーさんの記事で初めて知ったのですが、アラカシを含むコナラ属アカガシ亜属に寄生するタマバチの中で正式に命名・記載されているのは昨年発表されたこのマスダアラカシタマバチだけだそうです。
ドングリに産卵しているこのタマバチもおそらく未記載種なんでしょう。とりあえず和名だけでも。「カシノドングリタマバチ」ではあたりまえすぎますか?
(2011年9月24日・明石公園)
* 2012.06.07・追記とタイトル修正 *
Yankonovitchさんから、このタマバチは最近九州大学の阿部先生が命名されたSynergus itoensisであろうと教えていただきました。詳しくはコメント及びYankonovitchさんのHPを参照してください。タイトルには一応?つきで種名を掲げておきます。
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コメント
つけ焼き刃で虫えい図鑑を読み、タマバチ類の生活史というものを眺めてみました。
なかなか面倒ですねー、つぎのような3パターンです。1)年1世代両性型、2)年1世代単性型、3)年2世代(春は両性で秋には単性、虫えい・形態が相違するので別種とされてきた)。3)はコナラ属で28種が知られてます。アラカシの春(両性)世代は、マスダアラカシのほかに未記載の4種が知られてますが、そのうちのひとつという可能性もあるかも・・・・。
つまり、この産卵雌と、ドングリから羽化してくる雌を捕らえて、世代数と形態を確認しないと同定・記載ができない、ということなんでしょうね。年1世代だったら、ドングリタマバチという判りやすくていい名前が使えるんですけどねー。
投稿: ezo-aphid | 2011年9月26日 (月) 10時47分
ezo-aphidさん、
事情はなかなか込み入っているんですね。未記載種が多いのも頷けます。
この公園のアラカシで産卵しているタマバチは、今のところ例のマスダアラカシしか見ていないのですが、タマバチの中にもアブラムシのように世代によって寄主植物を変えるものもいるんでしょうか。
実は今回、以前に教えていただいたように産卵済みのドングリにマーキングしておけば良かったのですが、道具がなくて出来ませんでした。しかしハチが集まっていた木では寄生率はかなり高いと思うので、実が落ちた頃に何十個か拾い集めてきて羽化を期待したいと思います。ただ無事羽化させるのは湿度の管理等、素人には難しいでしょうね。
この日産卵していた成虫は、2匹だけですがとりあえず採集して来ました。
和名の方は当分お預け、ですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年9月26日 (月) 20時31分
こんばんわ。全く別群の植物間での移住はしないようです。「虫えい図鑑」にあるコナラ属寄生の28種についておおまかに分類してみると、1)クヌギ・アベマキの14種、2)コナラ・ミズナラ・(カシワ)の10種、3)カシワの2種、4)カシ類の2種、の4群でそれぞれの植物のみを利用するとのことですが、利用部分や虫こぶの形は世代によって異なるようです。食植性のタマバエも移住性は稀にあるものの、大部分の種は寄生する植物属で分類できるとのことです。
ゴール食の場合、ゴールの生育終期が幼虫期の終わりでしょうから、落果時期には老熟幼虫のはずと予測します。地表で冬の乾湿の繰り返しを経て、年1化なら翌春にでも蛹化して夏ごろ羽化成虫が脱出するんでしょう。年2化なら、年末には蛹か成虫ではないかと。
ところで、このタマバチはシギゾウ類と競合しないんでしょうか?
投稿: ezo-aphid | 2011年9月26日 (月) 21時46分
ezo-aphidさん、ご教示ありがとうございます。
つまりこのタマバチに春世代があるとすればやはりカシ類に寄生するだろう、ということですね。採集したドングリからの羽化に成功すれば年1化か2化かの推測も出来るのでしょうが、成功の確率は低そうです。
シギゾウ類については、この公園のコナラ属(大半はアベマキとアラカシです)ではほとんど見たことがありません。ハイイロチョッキリは多くて、このタマバチを撮った日にもその仕業と見られるアベマキの枝がたくさん散らばっていましたが、アラカシは被害を受けていないようです。
投稿: おちゃたてむし | 2011年9月27日 (火) 06時40分
こんばんわ。ふと思いついたのでメモ替わりに・・・。
羽化したまま死にごもりの成虫の形を確認できれば、生態の予測ができるかもしれません。産卵雌と比較して、よーく似ている雌と雄がいたら、年1回発生の種。雌しか見つからず、その色や形が産卵雌と違っていれば、年2回発生でカシ類に春の世代が出るはず。・・・・・・という皮算用ですが、生物は例外があって予測はけっこう外れたりしますよね。
投稿: ezo-aphid | 2011年10月 6日 (木) 18時53分
ezo-aphidさん、おはようございます。
なるほど、そういう方法が考えられるんですか。これも状況証拠の一つになりますね。
ドングリを集めてきて羽化を待つという方法に失敗したら、試みる価値があるかも知れません。
でも、かなりの数のドングリを割ってみないと出てこないでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年10月 7日 (金) 06時46分
はじめまして。もう何年も前から、ドングリの堅果が変形する理由について調べている内に、様々なドングリに寄生するタマバチの存在が判りました。
写真のタマバチは、7月末~8月頭にかけて虫瘤から羽化したものだと思います。恐らく、撮影された時期にドングリに産卵に来た訳ではなく、4月~5月頃に、ドングリがまだ雌花か非常に小さな幼果の段階で、子房の付け根付近に産卵しているのではないかと、私は推測しております。
また、これとは全く違う種類のタマバチもウバメガシの堅果から見つけております。こちらは10月頃に羽化します。詳しくは、私のHP(acorn.hiroimon.com)のセクション8を参照下さい。
投稿: Yankonovitch | 2011年11月20日 (日) 07時10分
先程のメールで私のHP(acorn.hiroimon.com)のセクション8と書きましたが、セクション9の誤りです。大変失礼しました。
投稿: Yankonovitch | 2011年11月20日 (日) 08時17分
Yankonovitchさん、はじめまして。
HP拝見しました。膨大な観察記録に圧倒されています。まだ一部の記事にしか目を通せていませんが、時間のあるときにじっくり読ませていただきたいと思います。
さて写真のタマバチですが、ドングリに産卵管を突き刺しているので産卵中であることは間違いありません。昨年も同じ時期に産卵を見ているので9月頃が産卵期だと思っています。Yankonovitchさんが7月末に羽化を確認されたものと同種かどうかはわかりませんが、同種とすれば年1化(ezo-aphidさんのコメントを参照してください)ということになるでしょう。7~8月に羽化した成虫が冬を越して翌年の4~5月になるまで産卵を待っているということは考えにくいと思います。
また10月にウバメガシの堅果から出現したというきれいなハチは、画像を見る限りタマバチではなさそうです。素人判断ですがタマバチヤドリコバチ科に似ているようです。この仲間はタマバエに寄生するそうですが、ドングリに寄生するタマバエがいるのかどうか勉強不足でわかりません。ORMYRIDAEで画像検索するとこのハチによく似た写真がたくさん出てきます。
私も後日、タマバチの産卵を見た同じ木の下に落ちていたドングリを何十個か拾ってきています。この中から一匹でも成虫が出てくればと期待しているのですが、どうでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月20日 (日) 23時39分
回答ありがとうございます。このHPのタマバチの写真が、あまりにもきれいだったのでメールさせて頂きました。ドングリについて色々調べているかたわら、寄生する昆虫についても興味をもって調べているのですが、ドングリに寄生するタマバチの事は判らないことだらけですね。
これまでに、クヌギ、ウバメガシの2種類の堅果とコナラの殻斗に付随する枝から、写真と全く外観がそっくりなタマバチが出現しています。出現時期については、前者と後者でズレがあり、前者が7月後半~8月上旬であるのに対して、後者は5月後半です。2年程様子を見ていますが時期は安定しています。アラカシについては、同じ虫瘤や幼虫形態を確認していますが、未だ成虫の出現は確認出来ておりません。今年もサンプルをたくさん入手しましたので、トライするつもりですが、はたしてうまく羽化させることが出来るかどうか、心もとない状況です。
タマバチの産卵時期については、私も悩んでいるのですが、クヌギの堅果が成熟するのが大体9月頃で、この時期には殻斗の厚みは5mm以上あり、堅果の果皮も既に硬化しつつあること。そして、堅果と殻斗を接続しているへそ(維管束が切断された箇所)の部分が既に出来つつあるので、この状況でタマバチが果皮の内側に侵入するのは極めて難しいのではないでしょうか。シギゾウムシですら、果皮の内部まで貫通させるのに苦労している状況で、タマバチの産卵管がこれを貫通させられるか(しかも侵入孔を残さずに)というのは、かなり疑問に思いました。
但し、羽化したばかりの7月下旬頃であれば、この部分を通して侵入出来る可能性が無い訳ではないと思います。特にアラカシの場合は、堅果が成熟するのが11月上旬ぐらいなので、写真撮影された時点では、まだ維管束で殻斗と堅果が柔らかい組織で繋がっているので、殻斗と果皮を貫通させて産卵しなくても、この部分からであれば、果皮の内側に侵入することは可能だと思います。
あと、ウバメガシから出てきた別種の昆虫がタマバチとは異なるものであると言うのには驚きました。私のHPは、昆虫に興味のある方が御覧にならないので、このようなコメントをして頂けることは全くありませんので、大変うれしく思います。どうもありがとうございました。
投稿: Yankonovitch | 2011年11月21日 (月) 05時28分
うーん、今回は新しい発見がいくつもありました。ありがとうございます、Yankonovitchさん。
お互いに思い込みもあるようですが、いくつか気づいたこと書きます。
1)利用部位:異物の形成場所は、胴部の薄皮なので、シギゾウなどと食糧の競合をするはずがない。虫こぶ形成は、生育途中の組織肥大を利用して作り、移行養分をかすめ取って幼虫が生育するので、この薄皮も生長し養分供給があるはずなのですが・・・・・。
2)産卵部位:9月下旬に「ぼうし」の縁に産卵管を突き刺しますが、その位置が、成熟期の異物形成場所とほぼあっているようです(2010.09.26.参照)。ハチの産卵管にとっては、枯木の硬さでも問題ではありません(まして未熟の果皮ですから)。シギゾウが差し込む口の太さとは違って、100ミクロン?単位の微小な孔なので、果皮の生長とともに埋まってしまうでしょう。
3)タマバチの生活史:「日本原色虫えい図鑑」(1996年)の379-394頁を参考になさったでしょうか? ここにタマバチの面倒な生態(同種が別時期に違う姿で違う虫こぶを作るなど)の一覧表が載っています。並みの昆虫とは別物の難しさがありますので是非ご覧ください。日本で、タマバチ類を見分けられる専門家と言えるのは九大のお一人だけでしょう。
4)「ウバメガシの堅果から10月に出現」した金属光沢のハチ:ネットで「寄生蜂の解説」を検索すると山岸健三さんの画像つき紹介記事があります。この中に、7.タマバチ上科と8.コバチ上科が載ってます。タマバチ上科では、「翅脈が多く、お腹が丸く、金属光沢の種はいない」といえます。コバチ上科では「翅脈が単純、金属光沢の種も多い」となりますので、翅脈が判別のいい目安と思います。
5)タマヤドリコバチ(Ormyridae): ciniiで「Ormyrus five」と検索するとクリタマバチの寄生蜂が出てきます。その104頁にOrmyrus属の雌雄腹部の図がありますが、似ている点が多いと思います。 改めてこの属の寄主を調べてみたところ、そのほとんどはタマバチでハエ類は少数でした。山岸先生の「寄主は一般にタマバエ」と言うのは誤植だと思います。ですから、”異物”から出てきたこのハチの寄主はやはり”ドングリタマバチ(仮称)”ですね。
6)ざっと拝読したところでは、羽化率が10%以下?と(野外の自然個体群に比べて)異常に低かったように思います。羽化失敗の理由は、虫こぶを割って確認しないと判りませんが、「幼虫のままであれば冬の低温期間の不足」、「成虫であれば殻の乾燥硬化」の為と推定します。冬期間は、温度管理を考えるより野外の方が安心ですね。
投稿: ezo-aphid | 2011年11月21日 (月) 15時56分
はじめまして、ezo-aphidさん
色々と調べて下さって、ありがとうございます。
今回は、貴重なコメントを頂けて、とても感謝しております。
ドングリが変形するメカニズムを考える中で、今回の昆虫と出会ったのですが、変形のメカニズムについてはおよそ判るものの、どうしても昆虫が寄生する時期がアンノウンで、頭を悩ませてきました。ここで得られた知見を、私のHPにぜひ加えさせていただきたいと思います。
羽化率が大変低い点については、おそらくコメントされている内容の通りだと思います。最初はいつ羽化するのか全く判らなかったので、虫瘤を密閉ケースに入れて、室内保管していたのですが、出現時期が7月下旬~8月初旬と判りましたので、今年は7月まで室外に放置しておいて、以降は室内で保管(密閉せずに容器の上部にネットを張る)してみることを計画しています。
堅果の虫瘤とは別に、コナラの殻斗の付け根部分に形成された虫瘤だけは、瓶の中(容器の口はネットで覆う)に入れて、室外温度変化に順応したサンルームに放置していたのが功を奏すしたのか、羽化率が100%でした。この状況からも、周辺環境が非常に重要であると思います。
投稿: Yankonovitch | 2011年11月22日 (火) 04時21分
こんばんわー。「hiroimon」の世界を眺めてきました、見たことのない世界をさ迷うのはわくわくしますねー。
Yankonovitchさんがまとめた「9.ドングリに潜む奇妙な虫」よりも、生情報の「8.ドングリ雑記」の方が面白く参考になりました(スミマセン、Yankonovitchさん)。
雑記20.クヌギのドングリ:?200ゴールから7月下旬に11頭羽化(雄は不明)。冬期間は?室内保管。20個体の未羽化ゴール内はすべて幼虫で、蛹はいない。
雑記43.コナラの果実?基部:4ゴールから5月下旬に3頭羽化(雄は不明)。冬期間は野外に置いた?らしい。
雑記45.ウバメガシのドングリ:41ゴールから7月下旬に2頭羽化(雄は不明)。冬期間は?室内保管。
雑記50.アラカシのドングリ:500以上のゴールは8月下旬にも未羽化。冬期間は?室内保管。
雑記64.ウバメガシのドングリ(=雑記45?):41ゴールから10月中旬に?Ormyrus sp.の1雌・3雄が羽化。これはウバメガシのタマバチに寄生したもの、でしょう。
タマバチの生活史の推定には、野外の羽化時期を正しくとらえないと組み立てられないので、冬期間の野外放置(あるいは春先に拾う)が重要ですね。もっとも、雑記19のクヌギエダイガタマバチのように1月下旬羽化と言うこともありますが。羽化成虫は雌雄の構成比も知りたいですね。
雑記43のタマバチなどが同属のものであるかは、「Cynipidae oak review genera」で検索すると出てくる40頁ほどの報告文(図)が参考になると思います。判別点は、寄生蜂で一般的な、胸部・小楯板・腹節の背面図のほかに、爪の形が重要なんですね。
コナラ・ウバメガシ・アラカシのドングリタマバチは、みんな同じ種なんでしょうかねぇ。
投稿: ezo-aphid | 2011年11月22日 (火) 18時56分
Yankonovitchさん、こんばんは。
時間がなくてご返事が遅くなりましたが、おかげで素人がいい加減なことを書く前にezo-aphidさんからはるかに頼りになるコメントをいただけたのでほっとしています。私に付け加えられることは何もありません。
Yankonovitchさんの「すばらしいドングリの世界」はまだすべてに目を通せていませんが、私のように行き当たりばったりの観察者から見ればこれらの綿密・克明な観察記録は全く次元の違うもので、ただただ感心しています。ドングリそのものの観察記録以外でも「ドングリマップ」など大変な時間と労力の産物だと思いますが、私のような虫好きにも大変重宝なものです。
このブログの記事の出所の大半を閉める明石公園も、樹種は少ないですが特にアベマキは非常に多くかなりの大木もあるので、機会があれば立ち寄ってみて下さい。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月22日 (火) 20時49分
ezo-aphidさん、こんばんは。
助け舟感謝します。
全くタマバチは曲者なんですね。Yankonovitchさんが羽化させたコナラやウバメガシのタマバチも私の見たアラカシのも、写真を見た限りではほとんど違いが認められませんが、やはり同種なんでしょうか。アラカシのドングリのタマバチが9月初め頃に羽化すると仮定すればそれぞれ約2ヶ月づつしか時期のずれがないわけで、同種の寄主転換という可能性はなさそうに思えるのですが。あるいはそれぞれの寄主植物に生活サイクルを合わせた三つの個体群が存在するのか、それともやっぱり別種なんでしょうかね。
Yankonovitchさんの観察が首尾よく完結し、晴れて「ドングリタマバチ」の新種記載につながればいいですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月22日 (火) 21時12分
ezo-aphidさん、おちゃたてむしさん こんばんは。
ezo-aphidさんにご指摘頂いたタマバチの識別部位について、もう一度羽化した成虫のサンプル(クヌギ、ウバメガシ、コナラの3種)を実体顕微鏡で拡大観察してみます。何か判りましたら、私のHPの雑記にてご紹介致します。
京阪神地区の公園や緑地、寺社は、あらかた訪問しているのですが、私の住んでいる三田市から六甲山を越えた神戸や明石などにはまだ一度も出向いておりません。来年には、ぜひ一度その方面にも進出してみたいと思います。おちゃたてむしさん、私にとっては一番の貴重なドングリ情報をありがとうございました。落下時期って、やっぱり9月中旬~10月初旬頃なんでしょうか?
投稿: Yankonovitch | 2011年11月23日 (水) 04時16分
Yankonovitchさん、おはようございます。
いろいろ興味深い情報をありがとうございました。
3種のドングリのタマバチが同一種なのかどうか、それぞれの生活史が明らかになればはっきりするでしょうね。新種記載にも繋がるかも知れません。今後の観察を楽しみにしています。
明石公園でのアベマキの落果時期は・・・。もう少し遅いような気がしますが、恥ずかしいことにあまりはっきりとは把握していません。来年にでも機会があれば是非お訪ね下さい。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月23日 (水) 07時37分
おちゃたてむしさんがコメントした「ウバメガシのドングリから出たコバチ(どんぐり雑記64)」を上條先生に照会したところ、Ormyrus sp.(O. flavitibialisとは脚の色と寄主が違うので別種)と確認して頂けました。この属は100種以上いるのですが、日本周辺からの記録は数種程度のようです。それにしても体長の変動は大きいですねー。
どんぐりの実りに豊凶年の変動があることを忘れてましたが、これはドングリタマバチの生活史と関係するでしょうね。なんらかの避難対策(寄生部位や寄生種が多いとか)があるのかもしれません。
YankonovitchさんのHPにアラカシのドングリの生長曲線が載ってました(13.花からドングリへ,13-3.果実の成長の推移)。これを見るとアラカシではドングリ長が急激に伸びるのは10月で、産卵期はその直前であることが判ります。つまり生長のための養分供給と幼虫期を同調させてるように思えます。
投稿: ezo-aphid | 2011年11月25日 (金) 12時14分
ezo-aphidさん、こんばんは。
少なくとも科名は合っていてほっとしました。
美しいハチですが、まだ見たことがないような気がします。あまり多くないんでしょうか。
ドングリの豊凶とタマバチの生活史の関係というようなことは私には想像もつきませんが、その一端でも掴むには長年にわたる根気強い調査しかないでしょうね。
Yankonovitchさんのドングリの成長曲線は、他の記事も同様ですが大変な労作ですね。そのデータに照らしてタマバチの産卵期がうまく説明できるというのは素敵です。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月25日 (金) 23時03分
おちゃたてむしさん、ezo-aphidさん、こんばんは。
ご無沙汰してましたので、この間にアラカシの堅果に寄生するタマバチについて、既に情報をキャッチされているかもしれませんが、学名:Synergus itoensisであることが判明しました。九州大学の阿部先生が命名されたそうです。
詳しくは、私のHPのセクション8(雑記79)に記載しておりますので、お時間のある時にでも御覧になって下さい。私がこれまでに確認したクヌギやウバメガシ、コナラのタマバチとの関連性についての見解も記載しております。
また、クヌギのタマバチについては、9月16日、17日に東京の玉川大学で開催される日本昆虫学会第72回大会で阿部先生が口頭発表されるそうです。どなたか聴講される方がいらっしゃいましたら、発表内容について後日ご紹介頂けるとありがたいです。
投稿: Yankonovitch | 2012年6月 6日 (水) 20時21分
Yankonovitchさん、こんばんは。
阿部先生が命名されたアラカシに虫こぶを作るタマバチとしては、5月頃に新梢に産卵するマスダアラカシタマバチ Plagiotorochus masudaiに関する記事は見ていましたが、このSynergus itoensisについては全く知りませんでした。タマバチ類はezo-aphidさんのコメントにあるとおり生活史が複雑なため同定・記載がなかなか進まないようですが、このドングリに産卵する種は特に珍しくもなさそうなのにYankonovitchさんのHP以外ではほとんど情報が見つからず、不思議に思っていました。YankonovitchさんのHPでは元の論文をわかりやすく要約されていて大変勉強になります。今後他のコナラ属のタマバチについても解明が進んでいくといいですね。情報を有難うございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月 6日 (水) 23時40分
おちゃたてさん、こんばんわ。
先日、Synergini族は「すべて同居蜂」と解説したばかりでしたが、あれは間違いだったのかと大変驚きました。しかし、Yankonovitchさんが抜粋した部分を読むと、同居蜂であるこの族からは初めての虫こぶ形成者であるとのことで、ホッとしました。別の論文では、クヌギのタマバエゴールの同居蜂(Saphonecrus属、雌の触角は13節)も見つかっているそうです。どうやら、Synergini族にはいくつかの例外があることがごく最近に判ってきたようです。
さて、この画像の主は前胸がとても長いので、Synergini族とまでは判ります。腹節が1枚の巨大な板になっていて、雌の触角が14節のようなので、たぶんSynergus属でしょう。S. itoensis の可能性は高そうですが、記載文を見ないと(見てもですが)判りませんね。年1化ということですが、そうすると雄も出現するのか?、ドングリのゴールには同居蜂がいないのか? なんていう疑問も浮かびます。
Yankonovitchさん、お知らせありがとうございます。
ゴール形成昆虫の探索は、おそらく植物の変形部に注目して行われたのだろうと思います。ドングリタマバチでは、「目立たないゴール」なので見逃されてきたのでしょう。
アラカシ意外の種については、阿部先生と直接ご連絡が取れるようですので、標本を提供して、ご意見を頂くのが最も確実と思います(国内の大学には、ほかにタマバチの分類研究者はいません)。少なくとも、S. itoensis などとの異同や区別点についてのご教示を頂けると思います。
投稿: ezo-aphid | 2012年6月 7日 (木) 00時54分
ezo-aphidさん、こんばんは。
すみません、つい先日教えていただいたことをすっかり忘れていました。Synergini族の中の変わりだねということですね。
とにかくドングリに虫こぶを作るタマバチが正式に認知されたということで、この写真のハチの身元もだいぶはっきりしてきたわけです。種の同定は写真からでは無理でしょうが、おそらくSynergus属、S. itoensis の可能性は高いということで、タイトルはそのように変更しておきます。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月 7日 (木) 20時31分
おちゃたてむしさん、ezo-aphidさん、こんばんは。
阿部先生から送られてきた論文ですが、ご希望とあればメールでお送り致しましょうか?
私のHPの表紙最下段にあるご意見、感想等をクリックして頂いて、空メールを送信して下されば、論文を添付して返信致しますので、遠慮なく申し出て下さい。
阿部先生には、2回目のメールでアラカシ以外のドングリに寄生するタマバチについてお訊ねしたのですが、回答はございませんでした。ウバメガシのものと違ってクヌギの虫瘤は簡単に見つかるので、恐らくアラカシの虫瘤を調査されている時に、併行してクヌギの虫瘤についても着手されていたものと思われます。秋に報告される研究内容に抵触することもあって、他者への情報提供は控えておられるのかもしれません。素人の私が本件に関してこれ以上容喙するのは、ありがた迷惑になる可能性もありますので、結果が公開されるまでコンタクトは差し控えようと思っています。
投稿: Yankonovitch | 2012年6月 7日 (木) 22時35分
Yankonovitchさん、こんばんは。
お心遣いありとうございます。英文の記載論文は私には読みこなせないと思いますので、折角ですが遠慮させていただきます。他力本願で申し訳ありませんが、このSynergus itoensisについて、またそれとアラカシ以外のドングリに寄生するタマバチの関係についての今後の展開は、いずれYankonovitchさんのHPで詳しく紹介していただけるものと楽しみにしております。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月 8日 (金) 20時26分
おちゃたてむしさん
こんばんは。ご無沙汰しております。
“ すばらしいドングリの世界 ” の管理人のYankonovitchです。
今回はコメントではなく、お願いがあってメール致しました。
実は、今年の8月に出版社(世界文化社)からの依頼でドングリの本を出版することになり、その中でドングリに寄生するタマバチについて簡単に触れたいのですが、私が撮影した実体顕微鏡の写真は画像が悪いので、読者へのインパクトにかけます。
つきましては、出版予定の本に、おちゃたてむしさんが2011.9.24に明石公園で撮影された写真(ドングリに産卵している様子を撮影したもの)を掲載したいのですが、許可願えませんでしょうか?勿論、掲載した写真にはおちゃたてむしさんのクレジットタイトルをつけさせて頂くつもりです。
ご検討の程、お願い申し上げます。
宮国晋一
投稿: Yankonovitch | 2014年2月21日 (金) 03時46分
Yankonovitchさん、こんばんは。お久しぶりです。
本を出されるんですね。素晴らしいことです。もちろん喜んで協力させていただきます。
とりあえずメールを差し上げますのでお待ちください。
(ココログの不具合だと思いますが、同じ内容のコメントがたくさん表示されていたので重複した分を削除しました。)
投稿: おちゃたてむし | 2014年2月21日 (金) 20時02分