ヒラアシキバチの産卵
引き続きヒラアシキバチです。
昨日の記事と同じ日、同じ公園内の別のエノキで産卵行動中のハチを見ることができました。
例年9月中旬から10月にかけて現れるキバチですが、ほどよく枯れたエノキの賞味期限は2年から3年くらいのようで、利用される木は徐々に移り変わっていきます。出現期が限られているせいもあって、ここ2年ばかりは見る機会がありませんでした。
産卵中の顔です。
このハチはメスだけの単為生殖のようで、これまでにオスは1匹も見たことがありません。脱出してきたハチがその同じ木で時を置かずに産卵行動に移るのを見たこともあります。ただ、手元の図鑑類にはその件について何も言及がないので、地域的な現象なのかもしれません。
産卵管を挿入するための穿孔にも、また産卵後に管を引き抜くのにも非常な努力が必要なようで、一回の産卵にも長い時間がかかります。上の写真は産卵管を引き抜こうとしているところで、腹部を左右にねじりながら渾身の力をこめて引っ張っているようですが、なかなか抜けません。このハチの多く集まる木では、こんな状態で産卵管を突き刺したままの遺骸や、産卵管とその鞘のくっついたままの腹部の皮が残っているのをよく目にします。
よく見る遺留品ですが、これはハチが自ら引きちぎって残していったものか、それとも産卵中に捕食者に襲われたものでしょうか。
このハチには同じ場所で6月頃に現れる大型のオナガバチ(Megarhyssa属)が寄生していると思われます。ただこのオナガバチは大型の個体ではヒラアシキバチの最大の個体を上回るように見えるので、このキバチだけがホストになっているかどうかには疑問を持っています。また以前掲載したタカチホヒラタタマバチもこのキバチに寄生するそうですが、明石公園では見ていません。
(2011年10月11日・明石公園)
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コメント
おはようございます。
エノキの枯れ木に色々なハチが見られていいですね。あまり逃げないようですし。
枯れ木になってしまってから、木の名前が分かるというのもすごいと思います。
投稿: tukik | 2011年10月18日 (火) 07時29分
tukikさん、こんばんは。
産卵行動中の虫は少々の刺激では逃げないことが多いですね。このヒラアシキバチの産卵も何度も撮っていますが途中で逃げられた経験がありません。
エノキの立ち枯れや衰弱木には日頃から注意しているので、植物に疎い私も幹を見れば分かるようになりました。長年同じ場所に通っていると、葉の繁っていた時から知っていることもあります。またあまりに枯れ果てた木には、虫は集まらないですね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年10月18日 (火) 21時52分