ホヤ類の幼生と卵?
* 2015.08.17・追記 *
ホヤの研究をしておられる梶原さんから、下の写真に見える二つの黒点、単眼(眼点)と平衡器はホヤ幼生が付着場所を選定するのに利用されている、ということを教えていただきました。詳しくはコメントをご覧ください。
ホヤ類のいわゆる「オタマジャクシ型」幼生です。
食用にもされる成体とは似ても似つかぬ姿で、長い尾を振って泳ぎます。
手元の古い図鑑では原索動物門とされていますが、現在の分類では脊索動物門 尾索動物亜門 ホヤ綱ということになるそうです。脊索を持つ、脊椎動物に近縁なグループです。
模式図と比べてみれば左下の膨らんだ部分(体幹部)に見える二つの黒点は眼点と平衡器のようですが、何のための器官かはよく知りません。
同じ日の採集物の中に、これの卵ではないかと思われる物体が多数混じっていました。
発生段階の違う卵だと思うのですが、左上のものだけサイズが違うので別種かも知れません。
(2011年11月4日・神戸市垂水区 西舞子海岸で採集)
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コメント
ホヤ幼生の2つの黒点は「単眼」(今は眼点と呼ぶ人が多くなりました)と「平衡器」です。
幼生が付着場所を選定するのに利用していると考えられています。
拙著ですが、幼生の行動と単眼の構造の時間的変化を比較して、行動の生物学的意義を考察しています。
つまり、幼生後期では、幼生は光強度の急激な減少によって、より暗く、上方に向って泳ぎの方向を変えます。
その結果、暗い物陰に付着することができ、そういう環境が成体時の付着場所として適しているからです。
そのときに、単眼と平衡器が役に立っていると考えています。
なお、この他にウナギの圧力受容器に似た構造も持っていますが、そちらは論文にしていません。
http://www.biolbull.org/content/169/3/565.full.pdf+html
投稿: 梶原 | 2015年8月14日 (金) 21時30分
梶原さま、おはようございます。
この二つの黒点は付着場所を探すために使われるのですね。「眼点」と「平衡器」という名称までは調べることができましたが、その機能の説明が見つかりませんでした。
小さな幼生が捕食者に食べられる前に一刻も早く適切な付着場所にたどり着くために必要な器官ということですね。
ご論文は私には歯が立ちませんが、ぼちぼち勉強したいと思います。
ご教示ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2015年8月15日 (土) 08時08分
突然の書き込み、失礼致します。
私、日本テレビで番組制作をしております(株)日企の佐藤と申します。
御方のブログに掲載されている画像をぜひ私共の制作する番組で使用させて頂きたく連絡させて頂きました。
詳しくお話しさせて頂きたいので、
お手数ですが、下記のメールに連絡を頂けないでしょうか?
何卒、宜しくお願い致します。
株式会社日企 佐藤
mail: sato_k@nichiki.co.jp
投稿: (株)日企 佐藤 | 2019年7月 7日 (日) 02時46分