ヒトスジコガタハネオレバエ?(Psila?kanmiyai)(改題)
昨年12月に掲載した、ヤツデの葉裏にいたものと同種で、ハネオレバエ科の一種だと思います。
ちょうど交尾のシーズンだったのでしょう、同じカクレミノで多数のつがいが見られました。この姿勢なので体長は正確に出せませんが、メスがおよそ4mm足らず、オスが3mmほどです。
多分上とは別のつがいです。撮っているとすぐに飛んで逃げますが、たくさんいるので代わりがいくらでも見つかります。
オスの翅脈が見えるように拡大しました。MNDで Psilidae の項を開くと Psila属と Chyliza属の2種のメスの翅脈が図示されていますが、それだけ見れば前者の方に近いようです。反対に胸部背面の剛毛の状態は後者に近いように見えます。
例年今頃の時期に多数見かけるハエですが、ほとんどがカクレミノかヤツデの葉の裏なので、これらのウコギ科の植物に係わりのある生活をしているのではないかと考えています。
(2011年10月28日・明石公園)
* 11月7日・追記とタイトル変更 *
ezo-aphid さんが岩佐先生に確認して下さったところ、ヒトスジコガタハネオレバエ Psila kanmiyai である可能性が高いことがわかりました。タイトルを「ハネオレバエ科の一種」から、表記のように変更しました。
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コメント
こんばんわ。
さきほど岩佐先生に、Psila kanmiyai ヒトスジコガタハネオレバエでしょうか?とお尋ねしたら、「(交尾器を見なければ確認できないが)たぶんアタリ」、とのコメントを戴きました。標本は新種記載の折の、上宮先生が1972年に対馬で採られたわずか雌雄1対しかありません。
ハネオレバエの幼虫は草本植物の生長点あたりを食べるようですが、灌木の硬い種の内部を食べている例を見たことがあります。卵は、種実の表面かその近くに産みつけられ、孵化幼虫は、種皮がまだ柔らかいうちに内部に潜り込むのではないか、と想像します。幼虫は後気門の形に特徴があり、1対のそり返ったトゲ状になってます。いま時期はウコギ科のどちらの種実もまだ若いのでしょうか。
投稿: ezo-aphid | 2011年11月 7日 (月) 17時54分
ezo-aphidさん、おはようございます。
お手数おかけしました。スマートな体型で私の好きなハエの一つだったので、種名の見当がついて嬉しいです。このあたりでは今頃の季節に普通に見かけるのですが、標本が雌雄一対しかないと言うのは不思議です。岩佐先生にも御礼申し上げます。タイトルには「?」付きで種名を入れておきます。
カクレミノの実はだいぶ大きくなって、アオモンツノカメムシの成・幼虫が盛んに吸汁しています。間もなく黒く熟す頃だと思います。ヤツデは・・・どうだったでしょうか、少なくともまだ実は熟していないと思いますが、よく分かりません。こんなところで日頃の観察の粗雑さがばれてしまいますね。このハエはまだしばらくの間活動していると思いますので、次の機会には産卵が見られないか探してみます。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月 7日 (月) 21時14分