ニッポンオナガコバチ・オスの体色変異
先日登場したばかりのニッポンオナガコバチですが、あれから一週間後、各種の広葉樹の葉裏でじっとしているたくさんのオスが見られました。こんな場所にメスがやって来るとは思えませんし、越冬するメスと違ってオスは冬を越さずに死んでしまうはずです。いったいこのオスたちは何を待っているんでしょうか。
それとは別に、以前からこのハチのオスの大きさや体色に大きな変異があることが気になっていたので、この機会に何匹か撮り比べてみました。
撮影倍率は揃えてあります。頭から翅端まで最大で4.1mm、最小で2.8mmほどです。面白いことに体の大小に関わらず触角の長さがほぼ同じです。体色はほとんど全身真っ黒のものから、メスに近い全身黄褐色のものまで様々ですが、ごく大雑把に言って大型になるほど黒味が強くなる傾向があるようです。
昨年の記事に見るような、脱出してくるメスをめぐる争いでは当然大型の個体が有利になると思いますが、どうなんでしょう。
ついでに体長4.2mmほどのメスです。メスにも大きさのばらつきはありますが、体色は一様にこんな色です。冬場には常緑樹の葉裏や落ち葉の間でよく見つかります。
(2011年11月22日・明石公園)
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コメント
面白いですねー、こういう提示のしかたも楽しいですなぁ。
左上と右下の個体だけを見せられると、これらは別種にみえますねー。
アオリイカとかサケ科の淡水魚(どっちも種名は忘却)では、「小型の雄は雌に擬態し、大型雄との闘争を避けて交尾機会を得る」という話を想起しちゃいます。その場合、雌の近くで雄らしさを競う場があるのが特徴で、負けやすい雄が雌っぽく変容するとのこと。このハチでは、実から羽化・脱出直後の雌を、雄が腕力?で奪っていくので、小型雄が雌に見えることはなんの効果もなさそうですが・・・・・(雌の近くでウロウロしても強い雄に蹴散らされない?)。そもそも、(雄が)雌を体色やサイズで認識してるか、というのも怪しそうです。 雌っぽい雄が高頻度に現れるということは、彼らにも遺伝子を残すチャンスが充分に与えられてるってことですよね。雌の交尾は1回きりではないのかも?
投稿: ezo-aphid | 2011年11月26日 (土) 09時34分
ezo-aphidさん、こんばんは。
言われてみればそのような「メス擬態」の話は何かの本で読んだ覚えがありますが、目の前のハチに結びつきませんでした。
おっしゃる通り、小型であることに何のメリットもないのならそのような変異をもたらす遺伝子は残っていかないでしょうね。あるいは遺伝的な変異ではなく、多くの寄生バチのように食料事情によるものでしょうか。例えば、一つの実で複数のハチが育つことがあるとすればそういう説明も成り立つと思います。
いずれにしても、片手間の観察から推測するにはちょっと無理がありそうです。
投稿: おちゃたてむし | 2011年11月26日 (土) 20時02分