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2011年11月 7日 (月)

タマゴクロバチの一種(Telenomus sp.)

毎年9月頃にカクレミノの葉裏に産みつけられるアオモンツノカメムシの卵は、すぐに孵化して今頃はその多くがすでに成虫になっているはずです。しかし中にはタマゴクロバチの寄生を受けて、黒っぽく変色して残っている卵もあります。

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すでに羽化して外に出たタマゴクロバチが、カメムシ卵から頭を出した同類を待ち受けていました。アオモンツノカメムシは普通もっと多数の卵をかためて産みつけるはずですが、ここでは非常に疎らです。無事にカメムシが孵った卵殻はとっくに落ちてしまったのかも知れません。


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周囲を忙しく歩き回りながら、脱出を促すようにときどき触角で触れています。待ち受けているのはオスだと思いますが、頭を出しているのも同じオスのように見えます。

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こちらは一つの卵の上に陣取って動きません。間もなく脱出が始まるのでしょう。
どちらの個体も体長は0.8から0.9mm、翅端まで1.2mmくらいです。少し前に掲載したこれとよく似た種は、ひげぶとさんにTelenomus euproctidis(ハラビロクロバチ科タマゴクロバチ亜科)であろうと教えていただいたので、これも同じTelenomus属だろうと思います

(2011年10月28日・明石公園)

* 11月7日・追記 *

ひげぶとさんより、Telenomus属で間違いないとのコメントをいただいたので、タイトルから「?」を外しました。

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コメント

おちゃたてむしさん、こんにちは。

 ご指摘の通り、このハチはタマゴクロバチ亜科のTelenomus属で間違いありません。先に羽化して♀の羽化を待っているのは♂、卵殻から頭だけ出しているのは♀です。
 タマゴクロバチに限らず、寄生性の小型のハチを同定するために専門家たちが観察する形態上のポイントを知って撮影すると、写真で同定する場合かなり有効です。内部形態も含めると観察すべきポイントは多数ありますが、少なくとも以下の8ポイントさえ押さえておけば、「種」までかなり肉薄できるのではないかと感じます。そしてこれらは、どの科でも共通するのではないかと思います。
1.観察するのは♀がメイン(小型寄生蜂では、性比が圧倒的に♀に偏っているため、原記載は♀で行われることがほとんど)。
2.全身を上面から観察(色彩や頭幅と胸幅の比較も)する。
3.胸部の形態(しわや印刻、溝、ツヤ、細毛の分布、後胸の突起など)を上面から詳しく観察する。
4.複眼と単眼との位置関係を上面から詳しく観察する。
5.顔の形態(しわや印刻、溝、ツヤ、細毛の分布など)を正面から詳しく観察する。
6.触角の膨大部(球桿)の節数や触角の各節の比率を観察する。
7.翅の全体的な形態(長幅比、色彩や斑紋)と縁毛や刺毛の生え方を観察する。
8.前翅および後翅の翅脈を詳しく観察する。
 以上です。写真撮影に生かしてくださいますと幸いです。

投稿: ひげぶと | 2011年11月 7日 (月) 09時51分

自己フォローです。

 卵殻から頭だけ出しているのは♀かと思いましたが、球桿に見えるのは前脚のようですね。「♀」を撤回します。

投稿: ひげぶと | 2011年11月 7日 (月) 09時55分

ひげぶとさん、こんばんは。

大変丁寧なご指導ありがとうございます。
私の場合昆虫との関わりは原則として野外での写真撮影に限っているので、正直なところあまり詳細な観察をする自信はありませんが、出来る限りこれらのポイントが確認できる写真を撮っておくことを今後心がけたいと思います。ただ体長1~2mmのハチになると、細部の構造を確認するには私の使用機材では解像度の限界に近く、歯がゆいところです。
同定に必要なメス個体については、このまま卵塊を持ち帰って待てば撮影できたかもしれないと、少し後悔しています。
頭だけ覗いている個体は、同時に撮影した別カットを確認すると触角の構造が外で待っているオスと同じだったので、これもオスと判断しました。出来の悪い写真だったので掲載しなかったのですが、説明不足でした。
Telenomus属と確認していただきましたので、タイトルの「?」を外しておきます。

投稿: おちゃたてむし | 2011年11月 7日 (月) 20時45分

おちゃたてむしさん、こんばんは。

いつも情報はきちんと整理してから発信しようと思ってはいるのですが、なかなか果たせずにおります。後追いに次ぐ後追いですが、今晩のコメントはこのhostについてです。卵の形状や散らばり方から見ると、ツノカメよりもヘリカメのたぐいの卵に見えますが、いかがでしょう?カメムシは全くの門外漢なのですが、今までいろんなハチを出してきた経験から、そのように思えます。

投稿: ひげぶと | 2011年11月 7日 (月) 23時37分

ひげぶとさん、おはようございます。

この写真を撮影した場所ではアオモンツノカメムシが多く、産卵から孵化まで何度も見ているので間違いないと思います。撮影倍率が低いのですが、次の記事に画像があります。
http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-f088.html

投稿: おちゃたてむし | 2011年11月 8日 (火) 06時36分

おちゃたてむしさん、おはようございます。

大変失礼いたしました。またも私の早とちりでした。
1枚目の写真の右から2個目の卵殻の穴は、Telenomusが羽化脱出した穴なのですね。穴の位置と卵の全形から、ヘリカメかなと思ってしまいました。重ねて、失礼いたしました。

投稿: ひげぶと | 2011年11月 8日 (火) 08時54分

ひげぶとさん、

いろいろ教えていただきありがとうございます。
クロバチ類はとにかく小さいので、特徴の掴める写真をお目にかけるのは難しいと思いますが、これからもお気付きの点があれば是非ご教示お願いいたします。

投稿: おちゃたてむし | 2011年11月 8日 (火) 21時01分

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