タマゴクロバチ2種(Gryon sp.及びTrissolcus ?flavipes)(改題)
ツバキの葉裏で集団を作っていたタマゴクロバチ(ハラビロクロバチ科タマゴクロバチ亜科)の一種です。
右側と左側の個体で翅の色が違うように見えるのは照明の加減だと思います。但し一番下の一匹は別種かも知れません。
触角球桿部が太くなっているのでメスだと思います。この写真だけでははっきりしませんが、触角は12節あるようです。
タマゴクロバチの仲間はこれまでに何度か出していますが、それらと比較すると今回の種はTrissolcus属(こちらとこちら)に近いようです。
撮影時には気付かなかったのですが、右の個体(1枚目の画像では一番下)だけ他よりやや小さく、また頭部がかなり滑らかです。これだけ別種だと思います。
(2011年12月5日・神戸市須磨区 奥須磨公園)
* 12月22日・追記とタイトル変更 *
何度もお世話になっているひげぶとさんから、これらのハチの所属を教えていただきました。大型の種はGryon属、小型の一匹が以前にも登場したTrissolcus属でともにカメムシ卵に寄生する種のようです。詳しくはコメントを参照して下さい。タイトルを「クロタマゴバチの一種」から表記のように変更しました。
* 2012年1月21日・追記とタイトル再変更 *
ひげぶとさんが更に検討して下さった結果、2種のうちの小型種(Trissolcus属)は Trissolcus flavipes Thomson と考えられるとのコメントをいただきました。写真を調べるとひげぶとさんが挙げられた特徴にほぼ一致するように思われますので、タイトルに種名を掲げました。
| 固定リンク
「膜翅目」カテゴリの記事
- モチノキタネオナガコバチ(2019.07.27)
- ナガコバチ科の一種(?Metapelma sp.)(2019.07.23)
- ウスマルヒメバチ亜科の一種(Lissonota sp.)(2019.07.18)
- フサトビコバチの一種(?Cheiloneurus sp.)(2019.07.12)
- アミメアリ(2019.07.04)
コメント
おちゃたてむしさん、こんにちは。
大型のタマゴクロバチはGryon属、5枚目の小さな個体はTrissolcus属です。
Gryon属は種数がとても多いのですが、日本産の種は未整理のままです。これら2つの属は前者はScelionini、後者はTelenominiです。
---
ひげぶと
投稿: ひげぶと | 2011年12月21日 (水) 13時22分
ひげぶとさん、こんばんは。
これらの黒くて小さなハチは相変わらずどれも同じように見えて困ります。撮影時には先だって教えていただいた形態上のポイントに留意しているつもりなのですが、なかなか思うようには撮れません。5枚目のTrissolcusもPCのモニタでよく見るまでは別種らしいことに全く気付いていませんでした。
私には専門の論文は歯が立たないので、教えていただいた属名で出て来る画像を眺めてなるほどと思っているところですが、Scelionini族とTelenomini族はともにタマゴクロバチ亜科に属するのでしょうか。ご教示いただければ幸いです。
投稿: おちゃたてむし | 2011年12月21日 (水) 20時25分
どういうお答えが頂けるかと見てましたが、やはり私ども素人には判別が難しいですねー。
ざっとした外観はMasner(1980)(「Holarctic Scelionidae」で検索)の走査電顕図で見られますが、属の特徴までは把握できそうにありません。
日本のタマゴクロバチ科の状況については、山岸先生の「農耕地におけるタマゴクロバチ科の属構成」(ciniiで検索)にあります。それには、タマゴクロバチ亜科Selioninae、トゲムネタマゴクロバチ亜科Teleasinae、ヒメタマゴクロバチ亜科Telenominae、のそれぞれ構成属が載っています。すべての属に和名がついていて、Gryonヘリカメタマゴクロバチ属、Trissolcusカメムシタマゴクロバチ属、Idrisクモタマゴクロバチ属、となってます。名前の通り、前2属はカメムシ卵、Idrisはクモ卵に寄生するとのことです。
まあ、徐々に画像が増えれば判るようになるさー、と楽観的にいきましょうか。
投稿: ezo-aphid | 2011年12月21日 (水) 21時29分
おちゃたてむしさま、ezo-aphidさま
分類学的にはMasnerらがタマゴクロバチ科(Scelionidae)をハラビロクロバチ科の亜科に降格したことに伴って、以下のように変更されています。Selioninae(タマゴクロバチ亜科)→Scelionini(タマゴクロバチ族)、Teleasinae(トゲムネタマゴクロバチ亜科)→Teleasini(トゲムネタマゴクロバチ族)、Telenominae(ヒメタマゴクロバチ亜科)→Telenomini(ヒメタマゴクロバチ族)。
投稿: ひげぶと | 2011年12月22日 (木) 09時49分
ezo-aphidさん、ひげぶとさん、こんにちは。本当にお手数おかけします。
つまり上の写真の大型種はタマゴクロバチ亜科・タマゴクロバチ族・Gryon属、一匹だけの小型種はタマゴクロバチ亜科・ヒメタマゴクロバチ族・Trissolcus属ということですね。
属や亜科に習性を反映した和名がついているのは素人には親しみ易くて助かります。
これまでにお近づきになれたタマゴクロバチ類にはカメムシ卵に寄生するものが多いように思うのですが、大きさが手頃なんでしょうかね。
投稿: おちゃたてむし | 2011年12月22日 (木) 13時11分
おちゃたてむしさん、こんばんは。
5枚目の写真のTrissolcus属のハチの件です。
「小型種」と書かれていたので逡巡していたのですが、体長は1.6-2.0mm程度あったのではないですか。
Gryon属のハチがコロッとした体型でも2mm以上あるので、比較すると「小型」ではあります。
私はこのハチは、Trissolcus flavipes Thomsonだと考えています。T. flavipesの特徴は以下の通りです。
1.中胸背には1対の溝構造(notauli=notaulusの複数形)がある。
2.後頭部にはシャープなリッジ(峰/畝)になっている。
3.顔面には触角挿入部を中心とする同心円状のしわがある。
いかがでしょうか。
投稿: ひげぶと | 2012年1月20日 (金) 22時58分
ひげぶとさん、こんばんは。
5枚目右(1枚目下)のTrissolcus属の個体は、撮影時にはこれだけ別種とは考えていなかったのであまり写真がないのですが、撮影倍率から換算すると体長1.2~1.3mm、翅端まで1.6mmくらいとなります。但し越冬状態のうずくまった姿勢なので、通常の姿勢ではこの値はもっと大きくなると思います。またご教示いただいたT. flavipesの三つの特徴のうち1.と3.は写真とよく一致し、2.もほぼ一致するように見えますので、タイトルには一応「?」つきで種名を掲げておきたいと思います。
詳しいご検討ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年1月21日 (土) 07時28分