アオモンツノカメムシの幼虫
市街地の騒々しい交差点の、歩道橋の手摺に絡んだセイヨウキヅタ(ヘデラ)の一種の黒い実に、見覚えのあるカメムシの幼虫が集まっていました。
アオモンツノカメムシです。探すとあちらこちらの実についていて、葉の上で日向ぼっこをしているのもいます。
いつもの公園ではカクレミノや、それよりは少ないですがヤツデなどでお馴染みのカメムシですが、キヅタの上にいるのを見たのは初めてです。キヅタもカクレミノなどと同じウコギ科だそうなので、その実についていても不思議ではないのですが、この時期に幼虫が活動していることにちょっと驚きました。
細い口吻を突き刺して盛んに吸汁しています。
このアオモンツノカメムシの生活環については以前から疑問を持っています。
まず、近所でこのカメムシを一番よく見かけるのはカクレミノで、毎年9月頃に葉裏で産卵しています。それらの卵は間もなく孵化し、幼虫は黒く熟した実を吸汁して大きくなり冬になる前にほとんどが羽化して成虫になるようです。冬の間、樹皮の下などで越冬している成虫はこのグループだと思います(こちらやこちら)。
次に、いつ頃産卵するのか確かめたことはないのですが、ヤツデの葉裏で冬を越す卵があります。これらの卵からは4月頃に幼虫が孵化してきます。
そして今回初めて見た、真冬にキヅタの実に集まっている幼虫がいるというわけで、つまり今頃の季節には樹皮下などで越冬している成虫、ヤツデの葉の裏の卵、それにキヅタの実を吸汁している幼虫と、少なくとも3つの発育段階が揃っていることになります。
このカメムシがそれぞれの寄主植物に合わせた生活環を持ついくつかの個体群に分かれているのか、それとも柔軟に寄主を変えているのか、断片的にしか観察していないのではっきりしたことはわかりませんが、面白い現象だと思います。
(2012年1月10日・神戸市中央区)
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