ツヤコバチ科 Aphelinus属の3種(改題)
この冬と1年前の冬に撮ったツヤコバチ3種をまとめてみました。
その1.
これはBABAさんの2012.1.26の記事に掲載されたものと同種だと思います。記事を見た時は私には未見の種だと思ったのですが、去年の写真の中から出てきました。ツバキの葉裏で、すぐに歩き始めたのでこの2枚しかありません。体長約1.2mmです。
(2011.1.31・学が丘北公園)
その2.
これもBABAさんの2011.12.26の記事と同種でしょう。やはり横からのカットが取れませんでしたが、脚の色も一致します。ただ体長は小さく、「その1.」と同じ約1.2mmです。以前このブログで掲載したワタムシヤドリコバチ?にもよく似ていますが脚の色は異なります。ヤブニッケイの葉裏にいました。
(2011.12.31・明石公園)
その3.
今回の3種の中では最小で、体長約1.0mm。これはそらさんのブログで2011.3.23に掲載されたものと同じだと思います。マテバシイの葉裏にいたのですが、やはりすぐに歩き始めて表に廻ってしまいました。このサイズの虫を追いかけるのは大変です。
(2012.1.27・学が丘北公園)
* 2月8日・追記とタイトル変更 *
寄生蜂の研究をしておられるTobyさんよりコメントをいただきました。写真の3種はいずれもツヤコバチ科のAphelinus属の種で、「その3」はA.japonicusではないか、とのことです。最後のA.japonicusはタケヒゲナガブチアブラムシに寄生することが分かっているそうです。タイトルの「ツヤコバチ3種」を、属名を加えて修正しました。
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コメント
はじめまして。ezo-aphidさんに御紹介を受け、お邪魔しました。
学生の頃からこそこそと寄生蜂の分類をかじっております。誠に
美麗な写真を拝見し、ため息が出そうです。
さて、ここに挙げられた3種はいずれもツヤコバチ科のAphelinus
属の種であろうと思います。最初の2種は種名が分かりませんが、
体色が特徴的な3種目は、A.japonicusではないかと考えます。
この種は大昔に記載されたのに情報がほとんどなかったのですが、
この書き込みをするために調べていたら、出たてほやほやの論文に
寄主が載っていました。タケヒゲナガブチアブラムシ(Takecallis
arundicolens)に寄生するそうです↓ 不勉強丸出しでお恥ずかしい
ですが、勉強になりました。
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1479-8298.2011.00480.x/pdf
また後日、別の写真のページにもお邪魔いたします。
投稿: Toby | 2012年2月 8日 (水) 00時09分
Tobyさん、おはようございます。
お話はezo-aphidさんより伺っておりました。貴重なお時間を割いていただいてありがとうございます。
記事をご覧になっておわかりのように私は虫と写真が好きなだけの全くの素人で、ezo-aphidさんはじめいろんな方に教えていただいて少しづつ勉強しているところです。ツヤコバチ科についてもつい最近になって初めて認識した次第です。
今回の3種ともにAphelinus属ということはすべてアブラムシの寄生バチということですね。同じ属の中で体色が多様なことに驚きます。これらの中の一種でも、ただ葉裏でじっとしている姿ではなく産卵などそれぞれの生態を表す瞬間を捉えてみたいものだと思います。
ご教示いただいた内容をタイトルと追記に反映させておきます。これからもたまに覗いていただければ光栄です。宜しくお願いいたします。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月 8日 (水) 07時09分
Tobyさん、お忙しい中、お出ましありがとうございます。
Aphelinus japonicus Ashmead,1904について、さっそく調べてみました。永い間(今も)謎のツヤコバチなんですねー。九大目録には載っていません。原記載を読んでも、この写真のイメージにはたどり着けそうにありませんが、Hayat(1991)が明らかにしたようです。生体の写真が世に出るのは、初めてではないでしょうか。
Zuparko(1997)に、この属のHost rangeがアブラムシ群ごとに整理されていますが、japonicusは亜属未定・寄主不明、となっていてハズレ者扱いです。国内では、ハウス野菜の多食性アブラムシ4種についての調査(Takada et al.,2002)にも出てこないのも妙ですし。 Takecallisは東南アジアのタケ・ササ固有のアブラムシなので、それとの関係が強いのかもしれませんねー。
投稿: ezo-aphid | 2012年2月 8日 (水) 10時05分
ezo-aphidさん、こんばんは。
ほんとにお世話になります。
種小名にjaponicusとある種が謎の種とは面白いですね。タケ・ササ固有のアブラムシの天敵となると、農産関係の重要度が低いということでしょうか。
それにしてもAshmeadさんの名は例のNeanastaus albitarsisからニッポンオナガコバチに至るまですっかりお馴染みになってしまいました。このツヤコバチもKoebeleさんが採集されたものなんでしょうかね。
ところで、このA.japonicusはそらさんの2011.3.23の記事のものも同種ですよね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月 8日 (水) 20時13分
ご推測のとおり、これはAlbert Koebeleさんが熱海で採集したものなので、横浜で見つかっても不思議ではありません。
Ashmeadさんは日本産の広範な寄生蜂115種を新種として書きましたが、そのほとんどはKoebeleさんが熱海と箱根で採ったものです(日光でも数点)。論文の初めに、採集者にはもちろんですが、東京のミツクリ博士、岐阜のナワ氏、札幌のマツムラ博士にも謝辞を述べています。名和靖と松村松年は標本を数点提供しましたが、米国留学をしてきた動物学教授の箕作佳吉さんはおそらくKoebeleさんの採集地を手配するなど、生活面の面倒を見たのではないでしょうか。
「ミツクリクロタマゴバチ」というのは「栗が3個」とどういう関係があるのだろう、と不思議に思い、人名とは気づきませんでした。
投稿: ezo-aphid | 2012年2月 8日 (水) 21時43分
ezo-aphidさん、こんばんは。
即座にご返事をいただいて驚きました。私などは知りたいと思ってもどこを探せばよいのかもわかりませんが、ezo-aphidさんの博識にはほんとに恐れ入ります。
手元の年表を見れば、この種の記載された1904年というと日露戦争や「我輩は猫である」の頃になりますが、そんな時代の日本でせっせと寄生蜂を集めていた外人さんを想像すると楽しいですね。勉強になりました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月 9日 (木) 00時24分