ニジモントビコバチ
* 2013.01.28・追記とタイトル修正 *
フッカーSさんから近似種のC.similisとの区別点を教えていただきました。その結果下の写真はニジモントビコバチで間違いなさそうなので、タイトルから?を外しました。詳しくはコメントをご覧下さい。
何の木だったか確認するのを忘れたのですが、いつもの葉裏探しで一度見たいと願っていたトビコバチを見つけました。
syuichiさんのブログで1月25日に載されたものと同種だと思います。さらに昨日(2月11日)に掲載されたものにもよく似ています。北隆館の大図鑑に図示されているニジモントビコバチ Cerapteroceroides japonicus Ashmead が翅の斑紋などよく一致しますが、ezo-aphid さんの情報によれば同属4種のうち C.similis (Ishii) も同じような斑紋を持っているそうなのでそちらの方かも知れません。
フラッシュで目を覚ましたように歩き始めました。足よりも太い触角を杖のように突いて歩きます。触角上面の青い光沢と胸部の玉虫色がきれいです。体長約1.8mm、翅端まで2.2mmくらいです。
顔面と触角です。この太くて頑丈な触角は当然オスのものだろうと考えていたのですが、北隆館の図鑑のメスの図にもやはり非常に太い触角が描かれています。 syuichi さんの撮られた2匹もこのタイプであることも考え合わせると、これがメスなのかも知れないという気もします。
(2012年1月31日・神戸市須磨区 奥須磨公園)
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コメント
こんにちは。
美しい。
こんなに美しいハチなんですね。
あのハチの複眼まで解像してる。
触角が、こんな風に。
複眼の下に白い毛で出来た細い帯があるのですね。
自分で撮っておきながら、こんな姿は見る事が叶わない。
もう少し工夫して画像が良くならないなら一眼持ち出します。
写りとしてはベローズが被写体をスッキリ表現できるし遠近感も自然で好きです・・・重さは別にして。
投稿: syuichi | 2012年2月12日 (日) 12時04分
おお!来ましたか。面白い〜。上面にフラットな複眼と、どういった経緯でこの形?の触角。下ではなく上に気を使っている複眼ですね。造形からいろんな想像ができる楽しいハチですね。
投稿: BABA | 2012年2月12日 (日) 14時22分
syuichiさん、こんばんは。
Sparkle of the lifeの記事を拝見してから私も是非一度・・・と期待していましたがこんなに早くお目にかかれるとは思いませんでした。
微小な虫を撮るのは好きですが、虫の大きさに反比例して機材が大きく重くなるのは悩みの種ですね。そろそろ体力も落ちてくる年頃ですし、皆さんの記事を見ながら何かよい工夫があれば盗みたいものだと思っています。
BABAさん、こんばんは。
待望のコバチが撮れました。
言われてみれば確かに、体の下を見るには具合の悪そうな複眼ですね。
それにこの頑丈そうな触角は・・・。これがオスだとすれば、後部の際にこの触角でメスを抱きかかえでもするんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月12日 (日) 20時23分
これは、たぶん雌なのでしょう。日本ではこの属の雄の記録はありませんが、フタスジトビコバチ(大図鑑138図の10a・b)のような関係だと思います。つまり、雄は細長く長毛の多い触角で、翅は無紋なのだろうと。
投稿: ezo-aphid | 2012年2月13日 (月) 19時16分
ezo-aphidさん、こんばんは。
この大袈裟な触角を見て最初は当然オスだと思ったのですが、やはりメスでしょうか。syuichiさんが撮られたものを含めてこの時期にオスばかりというのはちょっと疑問でした。大図鑑を見ればご指摘のフタスジトビコバチの他にも、翅の斑紋はメスだけでオスは透明、という種がいくつもあるんですね。それにしてもオスはどんな姿なんでしょう。翅が無紋で触角の形も違うとなれば同種と認めるのは難しいでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月13日 (月) 20時22分
こんばんは。いつもながらの遅れコメントです。
これは見事な写真ですね。それでも、触角の青い部分がどうなっているのか
わかりにくいです。翅の下にも青いラインがあって、何でそんなところに、って感じです。もし見つけても、自分では撮れないでしょうね。
この青は普通の光でも見えているのですか? それともストロボで強調されているのですか?
投稿: tukik | 2012年2月15日 (水) 01時09分
tukikuさん、おはようございます。
触角の青く光る部分は確かに不思議な感じですね。
肉眼でどんな風に見えていたのかはよく憶えていません。この大きさだとルーペを使ってもあまりよく分からないですし、ピントを合わせるのに精一杯でよく見ていなかったというのが正直なところです。
いわゆる構造色だと思いますが、玉虫の翅と同じでストロボ光のように限られた方向からの光ではちょうど反射した部分以外は真っ黒に見えてしまうのでしょう。自然光ではもっと広い範囲が青く光って見えるのではないかと思います。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月15日 (水) 06時35分
こんばんは。
海外サイトですが、似た画像がありましたが頭の形が違います。
私が見た時には写す前でも液晶で青い光は感じられました。
見たときの印象がアオオビハエトリと重なりましたから。
http://bugguide.net/node/view/201131/bgpageに似た画像があります・・・たぶん、ご覧になってるとは思いますけど。
http://diptera.info/forum/viewthread.php?thread_id=39793&pid=175037
こちらは大きな触角のトビコバチと思われるもの。
シッカリと見回っていませんので中途半端ですが検索方法によっては面白い昆虫が出てくるかもしれませんね。
投稿: syuichi | 2012年2月16日 (木) 17時45分
syuichiさん、こんばんは。
やはり青い反射はストロボ光のせいではないわけですね。私はよく見ていませんでした。
ご紹介いただいたサイトの画像はまだ見ていませんでした。BugGuideの画像はCerapterocerus属となっていますから、字面から見てかなり近縁な属なんでしょうね。北隆館の大図鑑にはこの属のニジモントビコバチモドキという種が載っていました。
Diptera.infoの方はなんともものすごい触角ですが、こんなものを何に使うんでしょうか。これがオスなら雄間闘争の道具ということがまず考えられますが。撮影場所はグラナダとなっていますが、アフリカの熱帯雨林からでも飛んで来たようなスタイルですね。
面白い画像を教えていただきありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月16日 (木) 22時30分
こんばんわー。
前者は、触角からみて雄のようですが翅の黒紋はしっかりありますね。とすると、ニジモントビコバチモドキ(今の所属はニジモントビコバチと同属のCerapteroceroides)の雄の翅は無色ではないのかもしれませんねー。
後者のCryptanusia compereiは、オーストラリア南東部でコナカイガラムシ類に寄生する種だそうです。原記載の図を見たところ、この触角は雌のもので、雄ではやはり細長い通常の形でした。たぶん、ですが、オーストラリアから持ち込まれた鉢植え植物のコナカイガラムシから羽化したものではないかと・・・・・。
この属は9種という小属ですが、アジア熱帯圏やオーストラリア(台湾にも1種)に分布するそうですから、おちゃたてむしさんが熱帯圏産と推測したのはおおよそあたりでしたね。
投稿: ezo-aphid | 2012年2月17日 (金) 00時15分
ezo-aphidさん、こんばんは。
ご返事が遅くなりました。
翅と言い触角と言いメスの方が目立つと言うのは動物界の一般常識に反しますね。人間は例外ですが・・・。何か変わった繁殖習性でも持っているんでしょうか。
北隆館の図鑑にはニジモントビコバチモドキのオスは翅は透明で斑紋なし、とありますね。「モドキ」は本家と同属に編入されたと言うことですが、同じ属の中でもオスの翅については色々なんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月19日 (日) 22時48分
スミマセン、どこかで間違いをしたようです。「Chalcidoidea database」で再確認したところ、ニジモントビコバチモドキに属の移動は無く、大図鑑の属名のとおりでした。雄の翅の記載も失念してましたし。ご指摘ありがとうございます。
雌の触角にも何らかの機能があるんでしょうね。トビコバチ科の一部だけにあるようですから、寄主の種類によって探索・産卵行動と何らかの関係があるのでは・・・、と思ったりします。ほかには交尾のときに意味があるとか。
投稿: ezo-aphid | 2012年2月20日 (月) 00時50分
ezo-aphidさん、こんばんは。
ご返事が遅くなってすみません。PCもようやくほぼ元に戻ったのでそろそろ更新を始めたいと思っています。
トビコバチ科の、多くはメスだけかも知れませんが体色や、触覚も含めた体型にさまざまなバリエーションがあって面白いですね。小さすぎるのが難ですが、それだけに身近にまだ見ていない種が結構いそうで楽しみです。
投稿: おちゃたてむし | 2012年2月23日 (木) 06時51分
古い記事へのコメント、ご容赦ください。
こちらで最近、同種と思しきトビコバチを調べる機会がありました。ニジモントビコバチモドキやアブラニジモントビコバチについては翅の紋の違いからはっきり区別出来ることが分かったのですが、外見がほぼ同じという「Cerapteroceroides similis」についてはよく分からなかったので、海外のCerapteroceroides属の検索表を見てみました。その結果、「上から見た眼の内側の余白はほぼ平行;触角のclubはfunicleとほぼ同じ長さ;一般的な体色は黒っぽい」であればニジモントビコバチ(C. japonicus)となり、「上から見た眼の内側の余白は少し前方に狭まる;触角のclubはfunicleより少し長い;一般的な体色は茶色がかっている」であればC. similisとなるようです。ちなみに、「club」は触角の先端のより太い棍棒状の部分(5節ほど?)で、「funicle」は柄節とclubの間の細い節(Cerapteroceroidesでは鳥の羽根毛に見える部分)6節ほどです。
ちなみに、翻訳はGoogle先生の翻訳サービスですので、誤訳があるかもしれませんので、一応原文を貼っておきます。とりあえず、訳文から判断すると、このページのトビコバチはニジモントビコバチ(C. japonicus)となりそうです。
Inner margins of the eye,seen from above,slightly converging anteriorly;club a little longer than funicle;general body color brownish.Japan,India.・・・similis
Inner margins of the eye,seen from above,almost parallel;club about as long as funicle;general body color blackish.Japan.・・・japonicus
翻訳は合ってたかなぁ・・・?(笑)
投稿: フッカーS | 2013年1月28日 (月) 11時46分
フッカーSさん、こんばんは。
詳しい情報をありがとうございます。インドの報文を探し出して来られたんですね。私には真似のできないことです。
翻訳していただいた項目のうち複眼内側の形は比較の対象が無いので判断が難しい気がしますが、触角繋節と棍棒状部の長さの比は確かにほぼ1対1か、むしろ後者の方が短く見えるくらいです。この検索表に従えば上の写真はおっしゃるようにニジモントビコバチとしてよさそうですね。タイトルから?印を外しておきます。
投稿: おちゃたてむし | 2013年1月28日 (月) 21時46分