コナカゲロウの一種(Conwentzia sp.)(改題)
幼虫はこのブログでも2度ばかり(こことここ、それぞれ別種のようですが)登場しているのですが、成虫を撮影したのは多分これが初めてです。
アラカシの葉裏にいました。クサカゲロウ類やウスバカゲロウ類に比べると体も小さいですが翅脈も随分単純です。最近そらさんのブログで翅脈の一部が異なる2個体の写真が掲載されましたが、この個体の翅脈はちょうどその中間に当たりそうです。やはり同種内の変異ではないかと思うのですが、そもそもこの写真がそらさんの撮られたものと同種か否かもわかりません。
その名の通り体中白い粉を吹いたように見えます。蝶や蛾の鱗粉のように捕食者から逃れ易いというような効果でもあるんでしょうか。頭から翅端まで4.3mmほどです。
(2012.04.06・明石公園)
* 2012.04.17・追記とタイトル修正 *
ezo-aphidさんが調べて下さった結果、種ははっきりしないもののConwentzia属として良さそうです(コメント参照)。タイトルに属名を加えておきます。
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コメント
コナカゲロウの翅脈変異について、少し古いのですがHouser(1914)の報告がありました。「Conwentzia hageni」と検索すると4枚中の2枚目にその種の翅脈図が多数あり、変異が大きいことがわかります。
コナカゲロウ科6属の翅脈図は、「Synopsis der Systematik Neuropteren」でGoogle検索すると出てくるpdf、Horst & Ulrike Aspok(1964):127-282頁の260-261頁にあります。そらさんの上の画像がConwentziaの図(Figur 34)に合致すると思います(そらさんの下の画像、ここの画像はその変異と理解します)。属の判別点で判りやすいのは、「シタコバネ・・・」の和名通り、後翅が極端に小さいことなので、できればそれを見たいですね。
この属からは、psociformisという種が、札幌・東京・京都で6月と10月に採れています(kuwayama, pacific insects 4(2))。同属のpineticolaは触角節数が少なめ(雄で34-36個、雌で31-33個)と言われていますが、雄の交尾器(Figur 38 & 39)で同定すべきだろうと思います。
投稿: ezo-aphid | 2012年4月16日 (月) 22時11分
ezo-aphidさん、おはようございます。
お手数おかけします。
やはり変異が大きいのですか。とすればそらさんの撮られたものと同種の可能性は高そうですね。Horst & Ulrike Aspok(1964)を探したのですが、他の部分は出てくるのに該当頁のpdfが見つかりません。後翅の大きさが属の判別点の一つとのことですが、上の2枚目で前翅からうっすらと透けて見えるのが後翅の輪郭だと思います。コナカゲロウ科の中でこれが「極端に小さい」と言えるかどうかよくわかりませんが。
Conwentzia psociformisで検索すると海外サイトで幼虫の写真がいくつも出てきて、それが例の脚や触角の長い、千葉大や「幼虫図鑑」でpineticolaとされているものによく似ています。私の2012.03.04の記事の幼虫もこの種なのかも知れませんね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年4月17日 (火) 06時44分
Horst & Ulrike Aspok(1964)は、次のところなのですが、少し重たいのかも。http://www.landesmuseum.at/pdf_frei_remote/NKJB_10_0115-0126.pdf
改めて翅脈を見直したところ、前翅では基本型はほぼ同じで、この変異が大きいとなると属の判別には使えそうにないと思いました。むしろ、後翅の方が差異が明瞭です。Conwentziaの翅が判る図は、ネット上の画像検索でも見つかりますが、後翅は前翅の30%くらいの長さで、その他の属では80%くらいです。このシルエットでは50%くらいの印象ですが、Conwentzia属の可能性は高いと思います。
kuwayama(1962)が報告したConwentzia psociformisはpineticolaをシノニムにしているので、実体がどちらの種(両方?)なのか不明です。また、成虫の判別は困難であることから、「morphologie von Conwentzia pineticola」で幼虫形態の報文が書かれたようです。ということで、この成虫は両種のどちらにも(あるいは第3の種という)可能性があると思うので、雄の交尾器を見るまでは「Conwentzia sp.」でしょうね。
投稿: ezo-aphid | 2012年4月17日 (火) 11時49分
ezo-aphidさん、こんばんは。
今度は無事見ることが出来ました。確かに後翅のサイズに関しては、Conwentziaと他属の違いは歴然ですね。
psociformisとpineticolaについては込み入った事情があるんですね。ネット上の画像が少し混乱気味なのもそのせいでしょうか。少なくとも日本のサイトで見られるConwentzia属らしき幼虫は触角と脚の長いタイプがほとんどなので、pineticolaはいるとしてもあまり多くはないのではないかと思いました。
お勧めに従ってタイトルは「Conwentzia sp.」としておきます。
投稿: おちゃたてむし | 2012年4月17日 (火) 20時24分