トビコバチ科の一種(?Ericydnus sp.)(改題)
暖かくなるとともにコバチ類も動きが活発になり、冬の間のようにおとなしく被写体になってくれることも少なくなりました。しかし中には葉っぱを持ち上げて覗き込んでもじっとしている暢気な奴もいます。
イヌビワの葉裏にいたトビコバチの一種です。これまでにお馴染みになった種と比べると翅や触角が長く全体にスリムな体型なので、モニタで確認するまでトビコバチ科とは気付きませんでした。体長は約2.1mmです。
北隆館の大図鑑に当たってみると、配色は違うもののハネナガトビコバチという種によく似ていて、同じGrandoriella属ではないかと考えています。またその解説にはGrandoriella属は形態、生態ともにEricydnus属に酷似するとありますが、ネットで調べて見るとその後二つの属はシノニムとされたようです。九大目録を見るとハネナガトビコバチ Grandoriella japonica1種のみが記載されていました。
初めて見る種なので採集して深度合成撮影をしてみました。
長い脚や触角があらぬ方向に伸びて何とも不細工な写真になってしまいました。少しは標本を整えることができればいいのですが、どうも私の手には負えないようです。
(2012.05.04・学が丘北公園)
* 2012.05.13・追記とタイトル修正 *
Grandoriella属とEricydnus属がシノニムとされたということでタイトルには前者を出していたのですが、ezo-aphidさんから現在はGrandoriellaが消えてEricydnusが残っていると教えていただきましたので、タイトルの属名も後者に変更しました。
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コメント
こんばんは。新しいハチに出会うと嬉しいです(^^
触角がピンと長く、なかなかスマートなトビコバチですね。標本ですが確かに小さすぎて脚や触角を整えるのは最初から諦めてしまいます。良い方法があればいいのですが。
投稿: BABA | 2012年5月12日 (土) 22時10分
BABAさん、おはようございます。
街なかの小さな公園にしつこく通っていると、ある程度以上の大きさで未見の種には滅多にお目にかからなくなりましたが、このサイズではまだ見ていないものの方が多そうです。
小さな標本を扱っていると、研究者の苦労の一端が分かる気がします。
投稿: おちゃたてむし | 2012年5月13日 (日) 06時34分
大図鑑では判りにくいのですが、(立川さんの論文の図をみると)ハネナガトビコバチの触角は徐々に太くなって棍棒部との境が判りにくく、中間の6節もこれほど細長くなっていません。お見立て通り、よく似た別種だろう、と思います。「コバチ上科DB」では、Grandoriellaが消えてEricydnusが残っていますので、「?Ericydnus sp.」が妥当かと。
先日のTetrastichinae亜科2種の深度合成画像を先生に見ていただきましたが、今回も属名の推定は無理、とのことでした。ただし、カイガラムシに寄生する Tetrastichinae はほとんどが Aprostocetus 属だそうです。
投稿: ezo-aphid | 2012年5月13日 (日) 21時42分
ezo-aphidさん、こんばんは。
実は私もどちらの属名を出したものか迷ったのですが、「MOKUROKU」でGrandoriellaが使ってあったのでそれに従っていました。タイトルを「?Ericydnus sp.」に変えておきます。
Tetrastichinae亜科については、やはり写真での判別は難しいんですね。先生にも毎度お手数おかけします。よろしくお伝え下さい。
投稿: おちゃたてむし | 2012年5月13日 (日) 22時59分