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2012年5月10日 (木)

ハネオレホソバエ科の一種(?ミナミハネオレホソバエ Strongylophthalmyia sp.)

過去にも何度か見ているのですが、体型よりもその行動で印象に残るハエです。

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マテバシイの葉上で、大きいほうがメスでその後ろの小さいのがオスでしょう。オスが交尾の機会を狙っている図だと思います。
メスは葉上を歩き回ったり水滴に口をつけたりして一見ごく気ままに動いているようなのですが、メスが動く度にオスもすかさず移動して常にその真後ろで、両者の体軸が一直線になるように定位します。この位置関係を保つためには、メスがちょっと向きを変えただけでもオスはぐるりと大きな円を描いて横歩きに移動しなければならないのですが、その反応は非常に早くて遠目には細長い一匹の虫が動いているように見えるほどです。
メスが翅を開いているのは既に交尾を受け入れる態勢ではないか想像するのですが、このオスはよほど慎重なのか、見ている間には交尾に至りませんでした。文字通りメスに「振り回され」ただけで終わってしまったのかも知れません。

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なにぶん動きが活発でほとんどアップが撮れなかったのですが、オスとその翅の写真を出しておきます。翅脈と外観の絵合わせではハネオレバエ科あたりかと思うのですが、全く自信はありません。体長はオス4.5~5mm、メス6mmくらいです。

(2012.05.04・学が丘北公園)

* 2012.5.11・追記と画像追加 *

ezo-aphidさんより、Psila属(ハネオレバエ科)ではないかとのコメントをいただきました。種名を調べるためには胸背部の刺毛数を見る必要があるということですので、拡大像を2枚追加します。上は翅のアップの写真と同じ個体、下は単独でいた別個体です。

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*2012.05.11・追記とタイトル変更 *

hehemanさんより、この種はハネオレバエ科ではなくハネオレホソバエ科で、おそらくミナミハネオレホソバエStrongylophthalmyia crinitaであろうとのコメントをいただきました。更にezo-aphidさんが岩佐先生にご照会して下さったところ、同種の可能性があるが確定できないとのご返事をいただきました。詳しくはコメントをご覧下さい。タイトルを「ハネオレバエ科の一種?」から表記のように変更しました。 

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コメント

面白いやつをご紹介いただき、ありがとうございます。
Psila属とChyliza属の区別は難しいのだそうですが、とりあえずMNDの判別法でPsila属としました。体色や脚の特徴から種名候補を絞り込めそうか、先生に聞いてみることにします。種名を調べるには胸背部の刺毛数を見る必要がありますので、最下段の図の延長部を見せていただけませんか?

投稿: ezo-aphid | 2012年5月10日 (木) 22時40分

ezo-aphidさん、おはようございます。
ハネオレバエ科で良さそうですか?
1枚で胸背部の状態のわかりそうな画像がないので2枚追加しました。上が元の、翅のアップと同じ個体です。下のはやや大きく、単独でいたので雌雄がよくわかりません。こんなもので間に合うでしょうか。

投稿: おちゃたてむし | 2012年5月11日 (金) 06時50分

いつもすばらしい写真を楽しく拝見させていただいています。
このハエはハネオレバエ科でなくハネオレホソバエ科ではないかと思います。上前側板に1本の長い刺毛があること、前縁脈の切れている部分がR1脈により近いことなどが特徴です。
Mitsuhiro Iwasa, The Genus Strongylophthalmyia HELLER (Diptera,Strongylophthalmyiidae)from Japan, with Descriptions of Two New Species によりますと翅に模様がないので、日本産3種の内のミナミハネオレホソバエStrongylophthalmyia crinitaではないかと思われます。

投稿: heheman | 2012年5月11日 (金) 09時20分

heheman さん、ご指摘ありがとうございます。想定外の科で、まったく未検討でした。
おっしゃる通り、北隆館大図鑑とMNDの検索表などを見たところ、Strongylophthalmyia(1科1属)のようです。岩佐先生にも見ていただいたのですが、「crinita Hennig の可能性がありますが、胸の黄色い剛毛を確認できない」ので確定できないそうです。記載文と比べると、胸部の刺毛3本(Iwasa(1991):161p, Chylizaの背面図にある「n,sa」)が見えず、体長もかなり大きいので、別種ではないかと思うのですが・・・・・。

おちゃたてむしさん、毎度のお騒がせですみません。以上のわけで「?ミナミハネオレホソバエ、Strongylophthalmyia sp.」てな表題が妥当かなぁ、という結論です。

投稿: ezo-aphid | 2012年5月11日 (金) 18時22分

hehemanさん、こんばんは。
ご訪問ありがとうございます。
ハネオレホソバエ科は手元の図鑑にも出ていなくて、その存在すら知りませんでした。国内産既知種が3種とはずいぶん小さな科なんですね。早速MND(図しか分かりませんが)やお示しの論文の翅脈図、ネット上のいくつかの画像を見て得心いたしました。とても目立つ行動をするハエなので以前から気になっていたのですが、これですっきりしました。これからもよろしくお願いいたします。

ezo-aphidさん、こんばんは。
岩佐先生にもご照会いただいたとのこと、毎度お手数おかけします。
胸部の剛毛など、もう少し鮮明な写真が撮れれば良かったのですが、次回の宿題としておきます。
ご助言に沿ってタイトルを変更しておきます。ありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2012年5月11日 (金) 23時30分

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