イヌビワオナガコバチの産卵
これまでに同じタイトルで2度(一昨年の6月と昨年10月)も出しているので、今回はちょっと趣向を変えて、産卵管挿入の場面の連続写真です。
このハチの産卵スタイルは同じように長い産卵管を持ったオナガコバチ類やヒメバチ類の多くと違って、まずお尻を一杯持ち上げて体からかなり遠い場所に産卵管の先端を突き刺し(1枚目)、続いて体を徐々に後退させながら深く管を挿入して行きます。写真では産卵管の挿入点を赤の矢印で示しています。
産卵管がほぼ一杯挿入されるのに約7分かかっています。このハチでは体のわりに産卵管が長過ぎて、お尻を持ち上げて垂直に突き刺すという方法がとれないのでしょう。このような姿勢のせいで、産卵中のこのハチを初めて見た時は細い産卵管が花嚢の中に消えているのに気付かず、後で写真を調べてようやく産卵中であったことを知りました。
写真から推算すると、産卵管の直径は1mmの100分の1から1.5の間くらいです。この中を運ばれていくのはどんな卵なんでしょうか。
最後は別個体ですが、産卵管を引き抜いた瞬間です。
鞘と産卵管が分離していますが、すぐに後足でしごくようにして器用に一本にまとめてしまいます。
(2012.06.05・明石公園)
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コメント
こんばんは。
6月も産卵時期なんですね。しかし、素晴らしい趣向のお写真ですね。熟練の技ですね(^^産卵管を引き抜く動作はカツオの1本釣りのような動きに見えますが一瞬の出来事なんでしょうか?
投稿: BABA | 2012年6月18日 (月) 22時50分
BABAさん、おはようございます。
このハチとイヌビワ、それにイヌビワコバチとの関係はどうもよく頭に入りません。BABAさんも10月頃の産卵を撮っておられましたが、どういう生活環を持っているんでしょうね。
産卵後は挿入時と逆に体を前進させて産卵管を引き抜きますが、それをカツオの一本釣りみたいに上方に振り上げるのは後脚でしごいて鞘に収めるためでしょう。お尻を下ろすまで数秒はかかっていたように思います。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月19日 (火) 07時33分
もの凄~い勘違いをしているのに、今日やっと気が付きました。
おしりの先に太く見えるのは、産卵管の鞘で本体は中にある細い部分だったんですね。今まで、鞘の部分をブスリとやるのだとばかり思ってました(^^;。
そうではない写真も見てはいますが、頭が固定概念で固まっていたのでキチンと認識されなかったようです。
恥ずかしいな~!
投稿: そら | 2012年6月19日 (火) 12時31分
そらさん、こんばんは。
いえいえ、そらさんだけではありませんよ。実は私も、お尻を目一杯持ち上げて垂直に産卵管を突き刺す、というお馴染みのスタイルを想像していたので、いくら探しても産卵中のものが見つからないな、と最初は思っていました。鞘を後ろに真っ直ぐ伸ばしたままとまっていると、一休み中としか見えませんものね。以前そらさんが撮られていたウマノオバチなど、体と比べた産卵管の長さはこのハチ以上ですが、どうやって木の幹に突き刺すんでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月19日 (火) 20時01分
こんばんは。
今頃見ています。1枚目の連続写真すごいですね。7分もかかってるんですか。
私も太いまま突き刺すと思っていたくちです。このコバチまだお会いしてないので、
見てみたいです。
投稿: tukik | 2012年6月24日 (日) 00時51分
tukikさん、おはようございます。
私もはじめはこのような産卵姿勢を予想していなかったので意外でした。
かかった時間は、撮影が影響しているのかも知れませんね。
ちょうど今頃、実をつけたイヌビワでわりと普通に見つかるので、探してみてください。
投稿: おちゃたてむし | 2012年6月24日 (日) 07時01分