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2012年7月24日 (火)

フタスジタマゴバチ Anastatus japonicus Ashmead の産卵(改題)

* 2013.0.3.01・追記とタイトル変更 *

 写真の蜂についてたまごばちさんからいただいたコメントによれば、これはフタスジタマゴバチAnastatus japonicus Ashmeadで、広くチョウ目やカメムシ目の大型卵に単寄生する普通種だそうです。詳しくはコメントをご覧下さい。当初「?Anastatus sp.」としていたタイトルを上のように変更しました。

いよいよ材料が底を突いてきたので昔の写真です。
蛾の卵塊に産卵していたナガコバチですが、以前の記事にも登場した Anastatus属の一種ではないかと思っています。

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ムクノキの幹に産み付けられた卵塊はハチに比べて巨大に見えますが、マイマイガのものに似ています。

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ハチの産卵管が見えませんが、この姿勢で卵までとどいているんでしょうか。卵を産んだ蛾はこういう災難を防ぐために長い体毛で卵塊を覆っているはずですが。

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結構首も伸びるんですね。

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一週間後もう一度現場を覗いてみると、卵塊の上には育ち盛りのヨコヅナサシガメの幼虫が集まっていました。やはり最後に来た奴の勝ちでしょうか。

(2005.07.08,22/明石公園)

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コメント

こんにちは、

今年は、やはり虫の出が良くないのか、あるいは撮り尽くしてしまったのかは分かりませんが、毎日更新だと大変ですよね(^^;。
暑くなってきたので、久しぶりに涼しげなプランクトンも見てみたいですね。

投稿: そら | 2012年7月24日 (火) 12時31分

そらさん、こんばんは。
毎日更新を目標にしていたわけではないんですが、たまに一日抜けると不安になります。病気ですね。
プランクトンも撮りたいと思いながらつい、今頃の季節にはあんな虫もこんな虫も出てくるはずだなどと貧乏性が出て虫撮りに走ってしまいます。
と言っても看板に偽りありでは困るので、近々お目にかけたいと思います。

投稿: おちゃたてむし | 2012年7月24日 (火) 20時03分

 マイマイガと思われる卵塊に産卵中のフタスジタマゴバチAnastatus japonicus Ashmeadの素晴らしい貴重な写真です。「ハチの産卵管が見えませんが、この姿勢で卵までとどいているんでしょうか」と疑問を呈されていますが、卵塊は内部で卵が層状となって重なっているため、多分、主に表層の卵にしか蜂は産卵できないでしょう。この点はこの蜂と同様にマイマイガ卵に寄生するクワナコバチOoencyrtus kuvanaeの場合、アメリカで確認されていますから。また「卵を産んだ蛾はこういう災難を防ぐために長い体毛で卵塊を覆っているはずですが。」とありましたが、卵塊を覆う蛾の体毛はタマゴコバチ属(Trichogramma)のような卵寄生蜂では防御効果があるかもしれませんし、卵の捕食者には一定の防御効果があるでしょう。しかし、まだよくわかっていないと思います。
 2012年9月7日、2012年12月20日の写真の蜂もフタスジタマゴバチです。また2010年6月4日の最初の写真の蜂も同種です。この種は寄主範囲が広く、チョウ目やカメムシ目の大型卵に単寄生し、寄生率は低いですが普通な種です。オビカレハやクワコのようなやや小型のチョウ目卵には蜂は雄卵しか産まないので、羽化する蜂はすべて雄だけです。

投稿: たまごばち | 2013年2月24日 (日) 12時57分

たまごばちさん、はじめまして。
専門家の方とお見受けしますが古い記事にも目を通していただき、種名をはじめ生態に関しても丁寧なご教示をありがとうございます。
コバチ類としては大きくて美しい蜂なので、種名が分からないのを残念に思っていたところでした。早速タイトルにも種名を掲げたいと思うのですが、ただ以前に別の方からAnastatus属はどれもよく似ていて写真からの区別は困難、とのコメントをいただいているので、酷似した別種という可能性を考える必要がないのかどうかが少し気になっています。寄主情報も含めてのご判断だと思うのですが、その点再度ご教示いただければ幸いです。

投稿: おちゃたてむし | 2013年2月25日 (月) 09時00分

おちゃたてむしさんへ

日本産のAnastatus属にはフタスジタマゴバチA. japonicusの他にマツケムシハネミジカタマゴバチA. gastropachae Ashmeadが知られています。後者の雌はその名の通り短翅ですから、前者との区別は一目瞭然です。また後者は寄主の範囲が広い点は前者と似ていますが、平地に普通な前者と異なり山地に多いようです。他に沖縄には同属の日本未記録種がいます。なおシロオビタマゴバチMesocomys albitarsis (Ashmead)は一時はAnastatus属とされたこともあるぐらいですが、現在は別属に分類されています。

Anastatus属の雄は雌とは全く異なり、別種どころか、別の科の蜂と見まがうほどで、寄生蜂の雌雄二型の典型例です。フタスジタマゴチが産卵した寄主卵を保存しておくと雄成虫が羽化するかもしれませんので、その写真を撮影されて雌成虫と対比されるのも一興でしょう。前述のように、日本産Anastatus属の分類は今後なお再検討の必要がありますが、その再検討の場合、雄の比較も重要と思われます。

投稿: たまごばち | 2013年3月 1日 (金) 19時00分

たまごばちさん、こんばんは。
素人の疑問に再度お答えいただき恐縮です。

同属のよく似た種が国内にもっと多数存在するのかと漠然と思っていたのですが、これですっきりしました。A. japonicusとA. gastropachaeはどちらも北隆館の図鑑に綺麗な図が出ていましたが、確かに見間違えようがありませんね。タイトルを変更して種名を入れておきます。

同じナガコバチ科では以前にEupelmus属の一種の雄が雌の背中に乗っかっているのを撮影したことがありますが、大きさも色形も雌とまるで異なるのに驚きました。同じ図鑑にAnastatus属2種の雄も図示されていますが、なるほどこれだけ見るととても雌と同種だとは思えません。今度この蜂の産卵を見る機会に恵まれれば是非卵を持ち帰って雄が羽化してくるかどうか試して見たいと思います。
いろいろ教えていただいてありがとうございました。

投稿: おちゃたてむし | 2013年3月 1日 (金) 21時08分

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