ヒメコバチ科の一種(Euplectrus sp.)
* 2012.07.12・追記 *
寄生を受けた幼虫についてYAMKENさんから、リンゴツマキリアツバであることを教えていただきました。
サクラの葉の裏で、寄主の残骸の周りに集まっている Euplectrus sp. です。同じような光景は十数年前にも撮っていて、2010.02.27の記事(最後の2枚)にも出していますが、腹部の斑紋や触角の色から見ると同種かも知れません。
ハチの蛹は寄主の体の下に並んでいます。左下にピンボケで移っている1匹はちょうど羽化して出てくるところだったようですが、撮影時には他の個体に気をとられていて気付きませんでした。
左の大きい方(体長約2.5mm)がメスで右(約2mm)がオスでしょう。オスが盛んに触角を振りながらメスに接近してきます。
やがてオスが2匹に増えて三角関係に発展、あるいは敵の大将に力を合わせて立ち向かう雑兵2匹、と見えなくもありません。残念ながら交尾行動は見ることができませんでした。
これは同じくサクラの別の木の葉裏で見つけました。寄主の体長は約10mm、恐らく蛾の幼虫でしょう。
横から見ると寄主の体はほとんどぺしゃんこで、その下にハチの蛹が並んでいます。
葉面から剥がして裏返してみると、ハチの蛹は全部で10個、長さは2mm前後で、頭の向きは揃っていません。
このハチの習性については2011.01.15の記事に ezo-aphid さんからコメントをいただいているので、下にそのまま再録します。
Euplectrus 属について、いろいろ調べてみました。日本には9種いるようですが、中にはウスマユコバチという和名のものがいます。
アワヨトウウスマユコバチ E. separatae Kamijo
という種類では、雌が卵塊を蛾類の中~老齢幼虫の背中表皮に産みつける際に、幼虫の脱皮を止める物質を注入するようです。外部寄生する若齢幼虫にとって脱皮されると困りますもんね。集団寄生したコバチ幼虫は、3齢へ脱皮する時に蛾類幼虫を殺してから腹部表面に移動し、そこでたくさん栄養をとり続けて成長
し、薄いまゆを作ってさなぎになる、という手順になっているようです(あちこちの走り読みなので、少し怪しいですが)。(前・後略)
この写真の種も同様の寄生習性を持っているとすれば、背中にハチの卵や幼虫を背負った蛾の幼虫や、ハチの産卵の場面もそのうちに見られるかも知れません。いつのことか分かりませんが。
(2012.06.26・明石公園)
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コメント
幼虫君の正体のみをお伝えしておきます。
リンゴツマキリアツバです。頭の模様に特徴がありサクラと言うことから間違いありません。
投稿: YAMKEN | 2012年7月12日 (木) 04時02分
YAMKENさん、おはようございます。
さすが、こんな変わり果てた姿でも正体がわかるんですね。
「明石の蛾達」の成虫画像を拝見すると、この場所で見たことがあるような、無いような・・・。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年7月12日 (木) 08時19分