高倍率ズーム付コンデジ+クローズアップレンズ
まずはお知らせ。
このたび長坂蛾庭のHepotaさんが「Raynoxのクローズアプレンズによる高倍率マクロ撮影」という画期的労作を公開されました。これは必見!です。
この表題だけ見ると知らない人にはなんのことやら分からないと思いますが要するに、近頃大変普及している高倍率ズーム付きのコンデジに、これも高倍率のクローズアップレンズを装着して手軽に(他の方法に比較して、です)高倍率マクロ撮影(被写体はもちろん昆虫!)を楽しむためのノウハウをまとめたものなのです。
手軽に、と言ってももちろんメーカー非推奨の方法なので標準的な教科書があるわけでもなく、満足な結果を出すためにはかなりの試行錯誤が必要でしょう。このHepotaさんの記事には機材の選び方からその組み合わせや取り付け方法、そして実際の撮影法に至るまでのすべてが手際よくまとめられていて、これを読めばその手間と労力を大幅に省くことが出来ることは間違いありません。しかし最大の特徴は、どうすれば良いのかということだけでなく、なぜそうなるのかという理由が明快に説明されているところだろうと思います。
その点、写真やカメラやにあまり興味のない人が読むと少しばかり理屈っぽい印象を受けるかも知れませんが、いくら手軽に楽しみたいと言っても実地面での条件は千差万別なので、それらに対応するには最低限の理屈は不可欠でしょう。
また表題の撮影方法に限らず広く昆虫写真やマクロ撮影に応用できる色々な知識やアイデアも含まれているので、現在の機材と撮影法に満足している方にとっても参考になる部分が多いと思います。
ということで、これから昆虫写真を始めたい、あるいはより高倍率で撮る方法を探しているという方には是非読んでいただきたい記事だと思ったので、お節介ながらここで紹介させていただきました。
次は作例。
紹介文だけでは寂しいので、私の撮った実例写真を何枚かお目にかけます。
実は2年ばかり前に虫の動画が撮れないかと思って用意した機材があって、結局一通りテスト撮影をしただけでお蔵入りになっていたのですが、今回それをあらためて引っ張り出してきて手近な虫をいくつか撮ってみたものです。
使っているクローズアップレンズがHepotaさんの記事のRaynoxではなく、また3枚重ねというかなり強引なことをやっているので画質は落ちるかも知れませんが、基本的に同じ方法なので、参考程度に見ていただけたらと思います。
カメラのパナソニックのDSC-FZ28 DMC-FZ28は、35mm版換算で27~486mmの18倍ズーム付、有効画素数1010万画素のコンパクトデジタルカメラ。それにケンコーのACクローズアップレンズNo.5を逆向きに3枚重ねて取り付けています。(この場合なぜか逆向きの方が収差が少ないのです。)
カメラレンズを無限大に合わせた時の最大倍率(35mm版換算・以下同じ)は約5.8倍、画面周辺がけられずに撮れる最低倍率は1.2倍くらいです。すべて最小絞りのF8.0で撮っています。
すべてjpegで撮っていますが、色調やコントラスト、シャープネスは編集ソフトで多少いじっています。
最初はクサギカメムシの幼虫。約3.3倍、ノートリミングです。
クマゼミの単眼部、最大倍率の約5.8倍、ノートリミング。画面周辺部がかなり乱れています。
クロタマゴバチの一種、最大倍率の画像から50%(長さで)にトリミングして約9.6 10.6倍。被写界深度が浅いです。
キイロテントウ、約5.8倍から70%にトリミングして約7.1倍。
同上、約5.8倍から50%にトリミングして約9.6 10.6倍。
アワダチソウグンバイの幼虫、これもトリミングで約9.6 10.6倍。トリミングしているのに周辺部の乱れが目立ちます。
(2012.08.01・神戸市中央区)
| 固定リンク
「機材」カテゴリの記事
- レデューサー付き顕微鏡アダプター(2018.12.20)
- 高倍率ズーム付コンデジ+クローズアップレンズ(2012.08.02)
- ヒメコバチ科の一種(?Quadrastichus sp. 雌)(改題)(2012.03.21)
- 高倍率撮影解像力テスト(2011.03.13)
- 虫撮りカメラ(2011.01.28)
「お知らせ」カテゴリの記事
- 引っ越しました(2019.08.19)
- 昆虫写真展に参加します(2019.07.17)
- クリマコスフェニアの一種(Climacosphenia sp.)(2019.01.01)
- 本が出来ました(2018.10.27)
- お知らせ(ヤリバエ科 Lonchoptera sp.の幼虫)(2018.01.20)
コメント
こんばんは。
紹介ありがとうございます。クローズアップレンズによる方法は、操作性に関してはとても良いので、さほど画質にこだわらない自然観察目的の方にはおすすめです。それほど難しくないので、多くの人に始めてもらいたいですね。
カメラの選択が一番の問題かもしれません。おすすめのカメラを加筆しておいた方が良いかも知れませんね。DMC(ですよね?)のストロボはどんな感じでしょうか? お蔵入りになったのはなぜでしょう?
投稿: Hepota | 2012年8月 3日 (金) 00時33分
Hepotaさん、おはようございます。
このブログの読者の中にも興味をお持ちになる方があるに違いないと思って紹介させていただきました。
カメラについては、私はこの手の製品についてはほとんど知りません。説明書のダウンロードまでして調べられたHepotaさんの記事におまかせします。
製品名はDMCでしたね。うろ覚えで間違えました。ストロボは内蔵のもので、白い紙を半円筒形に丸め、ストロボからレンズ先端にかけての上部を覆うようにしたものを反射板にしました。
お蔵入りになった理由は、私の場合静止画はやっぱり一眼レフで撮りたいので、動画を撮るために余計に1台持ち歩くのに無理があったというところです。
投稿: おちゃたてむし | 2012年8月 3日 (金) 07時03分
こんばんは。
回答ありがとうございます。お蔵入りになったのは問題があったわけではないんですね。DMC-FZシリーズは良さそうなので、お勧めしておきました。
作例に追加したいと思うのですが、写真を一枚使わせていただけないでしょうか?イトカメムシのアップあたり。
投稿: Hepota | 2012年8月 3日 (金) 23時22分
Hepotaさん、おはようございます。
あらためてテストしてみて、使わずに置いておくのももったいない気がしてきました。
Raynoxも試してみようかな?
写真はどうぞ使ってください。他の方の作例も増えるといいですね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年8月 4日 (土) 06時39分