ツノヤセバチ科の一種(Parastephanellus ?matsumotoi )
初めてこのハチを見たときは奇妙な形をしたヒメバチだと思ったものですが、一昨年のそらさんの記事を見てツノヤセバチ科の一種であることを知りました。
根元から3本に分かれた径10cmにも足りないくらいのコナラの枯れ木に、よく探せば10匹ばかりのメスが集まっていたのですが、ほとんどがたたじっと待機しているような格好で、産卵行動を見るのにはかなり時間を費やしました。
別個体です。産卵管が幹に入った分だけ産卵管鞘が余って輪を作っています。
これは待機中。長大な後脚を一杯に拡げて踏ん張ったような姿勢が独特です。
大きさにかなりのばらつきがあるようなので、この日見た最大級と最小級の個体を同じ撮影倍率で並べてみました。体長は約18mmと8mm、2倍以上の差があります。
和名の由来である頭部の「角」が見えます。左右別個体ですが、どちらも中くらいの大きさです。
そらさんも参照されている渡辺恭平さんのサイトに、日本産のツノヤセバチ科の属の検索表があります。ストロボの反射で翅脈が見づらいですが、上の写真を当てはめてみると Parastephanellus で間違いなさそうです。さらに、本土から確認されている種はほぼ Parastephanellus matsumotoi Achterberg,2006 であるということなので、写真の種もこれではないかと思います。
(2012.08.24・学が丘北公園)
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コメント
こんにちは、
産卵管を差し込んでいる一枚目の写真を、是非とも撮ってみたいと思っていますが、そう言う状況に遭遇すら出来ていません。
こちらでも、こう言った光景が無いとは思えないので、単に探し方の問題なのでしょうが。
しかし、昆虫で、同じメスでもこれだけの差があるのは珍しいような気がしますね。
投稿: そら | 2012年9月 3日 (月) 12時37分
そらさん、こんばんは。
こういう長い産卵管を持ったハチは、やっぱり産卵中の姿が一番魅力的ですね。
私がこのハチの産卵を見たのはすべて同じ公園内のコナラの枯れ木で、以前ハンマーさんが掲載されていたのも同じ樹種でした。そのあたりを目印に探してみられたらいかがでしょうか。
寄生バチでは育った寄主によって成虫の大きさにばらつきが出ることは多いようですが、これはかなり極端な方かも知れませんね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年9月 3日 (月) 20時56分
Parastephanellus matsumotoiで間違いなさそうです。コナラの立ち枯れに飛来することが知られていますが、このような鮮明な観察記録は貴重だと思います。寄主が何か気になりますね。本種は♀しか見たことがないのですが、そのあたりも気になります。
投稿: わたなべ | 2012年11月11日 (日) 03時36分
わたなべさん、
ご確認ありがとうございます。このハチの古代的とでも言えそうな個性的な姿が大好きです。私の徘徊範囲ではこの場所でしか目にしていないのですが、何に寄生するんでしょうね。産卵していた枯れ木から出てくる虫を見つけることができれば候補の一つになると思うのですが・・・。雄についても、存在するものなら是非見たいものです。
投稿: おちゃたてむし | 2012年11月11日 (日) 17時34分