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2012年9月15日 (土)

シルベストリコバチ?の産卵

トゲコナジラミの一種が繁殖して一面に黒い粉をまぶしたように見える葉の裏をルーペで探してみると、コナジラミの間を寄生者らしき小さなハチが徘徊しているのが見えました。

Dsc_3580
ツヤコバチ科の一種のようです。今年の1月に出した種に似ていますが、更に小さくて体長約0.6mmしかありません。

Dsc_35542
期待通り産卵も見られました。

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こちらも産卵中です。コナジラミの背中に沢山生えた棘やその先端につけた液滴はこういう災難から身を守るためのものだと思いますが、ハチは上手くそれを避けて産卵管を突き刺しているようです。

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撮影時には木の種類が分からなかったのですが、詳しい人に訊くとカラタネオガタマでした。このような形のトゲコナジラミにはチャトゲコナジラミ、ミカントゲコナジラミ、クストゲコナジラミがあってそれぞれツバキ科、柑橘類、クスノキ科に寄生するそうですが、モクレン科のカラタネオガタマにつくのはどの種なのかわかりません。あるいはまた別の種なんでしょうか。
ハチの方は、ミカントゲコナジラミの天敵として輸入されたシルベストリコバチ Encarsia smithi がこれではないかと思うのですが、寄主が全く別の種であればハチも別種かも知れません。

(2012.09.07・明石公園)

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コメント

おはようございます。
これは1度見たかったシーンです。同種かどうかわかりませんが以前、レンズを向ける前に逃げられてしまいました。この棘と露をどうやって回避するのか不思議でした。なるほど、このスケールだから棘を上手い具合に避けられるのですね。小盾板が白く被写体として魅力的です。

投稿: BABA | 2012年9月15日 (土) 08時24分

こんばんわ。
「シルベストリコバチ 京都府大」で検索すると、その解説とスライド画像が載っていました。それには「メスは体が褐色で小楯板が真珠色を呈する」とあり、かつ「トゲコナジラミのスペシャリスト」とされていますので、寄主の種はあまり選ばないようです。翅の基半部が曇ることや、触角の形状もそれと合っているので、あたりのように思います。コナジラミの方が判りませんね。

投稿: ezo-aphid | 2012年9月15日 (土) 22時12分

BABAさん、こんばんは。
やはりご覧になっていましたか。アブラムシやコナジラミの集団を見かけると、つい寄生バチがいないかと思ってルーペを取り出すのですが、たまに見込みが当たると嬉しいものです。それにしてもこの大きさ、老眼には辛いですね。

ezo-aphidさん、こんばんは。
この種は幸い北隆館の図鑑にも図示されていたので(小楯板は黄白色となっていますが)見当をつけやすかったのですが、有名な天敵のはずなのにネット上の画像が少ないですね。
寄主のコナジラミについてですが、いくつかの農林関係のサイトでチャトゲコナジラミのホストとしてツバキ科以外にシキミが挙げられています。シキミは以前モクレン科に分類されていたということなので、ひょっとしてこれが他の(本来の)モクレン科に寄生することもあるのでは・・・と想像したのですが、ちょっと無理がありますかね。

投稿: おちゃたてむし | 2012年9月15日 (土) 23時28分

おはようございます。
コナジラミの方ですが、下のサイトによれば、
http://keys.lucidcentral.org/keys/v3/whitefly/key/Aleyrodid%20Pupal%20Key%20to%20the%20Genera/Media/Html/Aleurocanthus.htm
オガタマ属のMichelia champaca (金香木、チャンパカ)につくAleurocanthus属のコナジラミとして以下の2種が載っています。
Aleurocanthus inceratus
Aleurocanthus rugosa
カラタネオガタマが中国から渡ってきたようなので、いっしょにくっついてきた可能性もあるかもと思いました。

投稿: Hepota | 2012年9月16日 (日) 05時51分

Hepotaさん、おはようございます。
お調べいただきありがとうございます。
同じオガタマ属につく種があるのなら、日本に入って来ていることも充分考えられますね。それにしてもAleurocanthus属にこれほど多数の種があるとは驚きました。
この2種がどんな姿をしているのかと思って画像を探してみましたが、透化標本くらいしか出てきません。多分生体では見分けはつかないんだろうと思いますが、今度成虫も撮って置きます。

投稿: おちゃたてむし | 2012年9月16日 (日) 06時59分

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