虫こぶに産卵するカタビロコバチ科の一種
つい先日、アベマキの葉裏に出来た虫こぶに産卵するカタビロコバチとタマバチを掲載したばかりですが、その撮影から一週間後、同じ数枚の葉でやはり2種の蜂の産卵が見られました。タマバチは同種でしたが、カタビロコバチの方は前回とは別種のようです。
体長は2mmほどで前回見た種と変りませんが全体に細身で、触角や脚、腹部の色も違います。
虫こぶは硬そうに見えますが、産卵管は意外に短時間で根元まで差し込まれます。実際にすべてが産卵まで至っているのかどうかわかりませんが、一つの虫こぶに何度も産卵管を突き刺していました。
* 2012.10.23・記事訂正*
ezo-aphdさんから訂正のお知らせをいただきましたので一部記事を削除しました。詳しくはコメントをご覧下さい。
前の記事にいただいたezo-aphidさんのコメントによれば、タマバチゴールの同居蜂としてカタビロコバチ科からはEurytoma属の3種が記録されているようです。昨年末に撮影した2種の越冬中のカタビロコバチのうち一種がEurytoma属でしたが、今回のものと比べると体長や体型、産卵管の突出の度合いなどの違いがあって、別種だろうと思います。
(2012.10.16・明石公園)
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コメント
すみません、誤ったコメントに消去線をかけて下さるようお願いします。
「タマバチゴールの同居蜂としてカタビロコバチ科からはEurytoma属の3種が記録」というのは正確ではありませんでした。先には、Neuroterus属のタマバチにかかわるカタビロコバチ科を調べたのですが、再度見たところ、Eurytoma属は欧州産の1種だけでした。しかも、Eurytomaがタマバチと同居するかは(どこかで見たように思うのですが)不明です。
この虫こぶの寄主は不明なので、改めてカシ類Quercus属にかかわるカタビロコバチ科を調べると、Sycophila属とEurytoma属が多数出てきました。前者は、前翅縁紋が大きな黒斑になるので、これではありませんね。後者は世界で14種の記録があります。国内のクリタマバチの天敵として、E.brunniventris, setigera, schaeferiの3種が報告されていますが、これらは(同居蜂ではなく)寄生者とされているようです。これらはクリタマバチ固有の天敵ではないので、それらの可能性はありそうです。ちなみに、Eurytoma属は巨大で、ざっと700種ほどの名前がありましたので、素人にはホントに危険なブラックホールと思います。
そそっかしいコメントをお詫びします(たびたびながら)。
投稿: ezo-aphid | 2012年10月23日 (火) 10時52分
ezo-aphidさん、こんばんは。
ご連絡ありがとうございました。この水準の話になると完全に他力本願なもので、余計なお手数をおかけして申し訳ありません。早速記事とコメントを修正しておきました。
それにしてもEurytoma属だけで700種とは、呆然とするような数ですね。ちょうど本日、ようやく買ってきた田中義弘著「狩蜂生態図鑑」に(クリタマバチの寄生者として)Eurytoma brunniventris(タマヤドリカタビロコバチ)の写真が載っていました。小さな印刷ですが、脚や触角の色など上の写真に似てはいます。もう一つ、10月21日の記事の、腹部に黄色部のあるカタビロコバチによく似た蜂がクリタマバチの虫こぶに産卵している写真もありますが、こちらはクロアシタマヤドリコバチとされています。私にはこれもカタビロコバチに見えるのですが・・・。でも評判どおりの素晴らしい本ですね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年10月23日 (火) 21時27分
お手数をお掛けしました。
「そうだ、狩蜂生態図鑑を買うのを忘れてた」と街の本屋さんに向かったのですが・・・・・見つからず。
彼らが集める獲物昆虫の範囲に興味があります。ハエを狩る種ではハナバエ科・ミズアブ科・キモグリバエ科、小蛾類を狩る種でもツトガ科・ハマキガ科・ヤガ科、という各1事例を見ただけですが、獲物サイズがほぼ揃っているだけで分類群はバラバラでした。ファーブルが記した、ゾウムシやタマムシを狩る蜂では、獲物は数種に絞られていたようなので、アブラムシの場合はどうなってるのか、興味シンシンなのです。
かわりに丸山宗利さんの「アリの巣をめぐる冒険」と「ツノゼミ ありえない虫」を購入しました。前者は、蟻の周囲に住む見慣れない同伴者たちの紹介、その研究者の冒険(と理解しました)、後者は想像を超えた姿かたちで、こうなる必然性を説明することも研究のひとつ、と思わせるものでした。アリを容易に判別できるおちゃたてさんなら、新たな同伴者を見つけられるかもしれません。
投稿: ezo-aphid | 2012年10月25日 (木) 08時30分
ezo-aphidさん、こんばんは。
やはり興味を持たれる対象がちょっと違うんですね。残念ながらこの「狩蜂生態図鑑」では獲物についての詳細な記述はないようです。内容については、何よりも他では見たことのないような狩蜂の多彩な生態の瞬間を捉えた写真が満載で、私などはそれだけで大いに満足しています。これらを撮影するためにかけられたであろう時間と労力を想像すると思わずため息がもれてしまいます。
丸山宗利さんの2冊の本、どちらも面白そうですね。最近私の読書はほとんど通勤電車の中に限られていて、読むつもりで買った本もなかなか順番が回ってこない状態なんですが・・・。今度本屋さんで覗いて見ます。ご紹介ありがとうございます。
ところで、アリを容易に判別できる、とはとんでもないことです。これからぼちぼち勉強したいとは思っていますが・・・。
投稿: おちゃたてむし | 2012年10月25日 (木) 22時06分