ハエヤドリクロバチ科Diapriiｎae亜科の一種（改題）
＊ 2012.12.27・追記とタイトル修正 ＊
ezo-aphidさんから、触角の形と節数からDiapriinae亜科の一種で、翅脈からAneurhynchus属あたりらしい、と教えていただきました。詳しくはコメントをご覧下さい。タイトルに亜科名を入れました。
ハランの葉の上を歩いていたハエヤドリクロバチの一種です。
山岸先生の「寄生蜂の解説」によればハエヤドリクロバチ科４亜科のうち国内で多いのは Diapriinae と Belytinae だということです。上の写真では翅脈が見えにくいのですが、以前の記事でezo-aphidさんに教えていただいた「The Diapriidae 」というサイトでBelytinaeの翅脈図を見るとこれとは異なるようです。
歩いているところに刺激を与えるとこんな姿勢で立ち止まりますが、やがてまた歩き始めます。お尻の先が見えないので体長ははっきりしませんが、翅端までが約３mmです。
ハエヤドリクロバチの魅力はなんと言ってもこの胸部背面を彩る独特の彫刻ですね。
（2012.12.20・明石公園）
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コメント
ハエヤドリクロバチ科は難しいですねー、霧の中を手さぐりで歩いているような気分です。
検索表をたどるには、まず雌雄の見分けが必要で、触角節数も重要な手がかりになります。雄の触角は、各節が細長く、３節目または４節目が変形してることが多いのに対し、雌では（少なくとも先半部が）数珠状に太短くなっています。これは後者なので雌、触角節数は12節ですね。触角節数は「Belytinae：雌14・15（Synachra属だけは12）、雄14」「Diapriinae：雌12・13、雄13・14」ということで、これはDiapriinaeの亜科になります。
さて、この奇妙な翅脈ですが、実はそらさんの[2011.11.29]にもありました。そちらは雄（触角が細長く14節）ですが、胸背の彫刻は違うものの全体に似たような印象です。古文献ですが、Kieffer(1916)のDiapriidae [internet archive Diapriidae で検索]の330頁Fig.75に、簡略ながらこのような翅脈が載っていました。どうやらAneurhynchus属あたりらしい、ということで国内文献を見ると、Honda(1968)さんが北海道から３新種を報告していますが、胸背の彫刻はどれにもあたらないようです。そらさんの雄は、似てるような違うような････です。
投稿: ezo-aphid | 2012年12月26日 (水) 10時37分
ezo-aphidさん、こんばんは。
以前教えていただいたサイトの翅脈図を見てBelytinaeではないだろうと思ったのですが、やはりDiapriinae亜科ですか。Kiefferさんの翅脈図で破線で表してあるあたりの脈が写真でもかなり不明瞭で分かり難い翅脈ですね。そらさんの雄を見ると翅脈や胸背の彫刻がかなり近いようです。ただそちらの方はひげぶとさんのコメントではBelytinaeとされていますが、どうなんでしょうか。
投稿: おちゃたてむし | 2012年12月26日 (水) 20時51分
ネット検索で探しても、翅脈が明瞭に見える画像は多くなさそうですが。Nixon(1980)には、「Aneurhynchus属は翅脈だけで容易に判別できる」（翅脈の部分図のみ掲載）とありますので、類似の翅脈を持つ属はなさそうです。ひげぶとさんがBelytinaeとされた根拠はわかりません。
投稿: ezo-aphid | 2012年12月27日 (木) 00時10分
ezo-aphidさん、おはようございます。
何度もお手数おかけします。BugGuide.Netなどで画像がいくつか出てきましたが、やはり翅脈が見えにくいですね。タイトルにはひとまず亜科名を掲げておきます。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2012年12月27日 (木) 07時56分