ニッポンオナガコバチ・雌の脱出と交尾
冬場の越冬昆虫探しではずっと以前からお馴染みだったこのハチの雌が、行きつけの公園のクロガネモチの赤い実から出てくるのを初めて見たのが2年前のちょうど今頃でした。寄主植物が分かれば今度は産卵の場面を撮りたくなって、一昨年・昨年と2シーズン、早春から晩秋までこの場所を訪れる度に問題のクロガネモチを調べていたのですが未だに確認することが出来ず、今年も羽化のシーズンに入ってしまいました。
雄はかなり早い時期から羽化してくるらしく、10月末にはちらほらと姿を見せていたのですが、11月末のこの日には園内いたるところで木の葉や幹にとまっているのが見られました。いつものクロガネモチの枝には多数の雄が集まっていて、そのほとんどがじっと動かずにいる中で一ヶ所、数匹の雄が慌しく動き回っている場所がありました。雌の脱出が近い徴です。
そっと枝を引き下ろして見ればやはり雌が顔を覗かせています。
集まった数匹の雄の中でもこの黒い奴の順位が高いのか、終始穴から離れず、他の雄を寄せつけません。しきりに体を前後に揺すりながら立てた翅を羽ばたかせるのはライバルを牽制しているんでしょうか。奥に見える雄は体色の黄色いタイプです。
雌の頭が出てきました。
もうひと息。
全身が出きらないうちに雄が抱きついて連れ去ってしまいました。 雄の翅で雌の姿が隠されてしまったのが残念。
ここまでの経過は2年前に見たのと全く同じです。ただ前回はそのまま雌雄を見失ってしまったのですが、今回は幸運にも自分の服の上を歩き回っているのをしばらくして発見しました。
近くのクサギの葉を取ってきてその上に移し、撮影を続けます。雌の翅はまだ伸びきっていませんがそのまま歩き続け、葉裏に回ってしまいました。
交尾です。
(2012.11.29・明石公園)
* このハチについては過去に何度も記事にしていて、自分でもいつどんな記事を載せたのか分からなくなってきたのでここで一度まとめてみました。
2010.02.02・越冬中の雌
2010.11.03・雄と雌
2010.12.01・交尾
2010.12.11・雌の脱出
2011.11.17・雌を待つ雄
2011.11.26・雄の体色変異
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コメント
おはようございます。おちゃたてむしさんのニッポンオナガコバチお待ちしておりました(^^
1連の流れが素晴らしいですね!!メスが登場するシーンは未だ出逢えていません。繁殖しているクロガネモチの実は遥か上空(T_T) オスの多さから交尾に至るのはかなり厳しいと思いますが体色がメスに近い個体とのペアは目撃しておりますか?少し気になります。
投稿: BABA | 2012年12月 3日 (月) 08時35分
BABAさん、こんばんは。
2年前の記事とほとんど同じ内容になってしまいましたが、乏しい資源なので最大限活用しないといけません。繁殖している木がちょうど手の届く高さに枝を張っているので助かっています。
このハチがつがいになっているのはまだ数えるほどしか見ていませんが、以前撮った写真の中に、小型で雌に近い体色の雄がひと回り大きい雌の背中に乗っかったものがあります。でも多数の雄が競合している場面ではやはり大型(多くは真っ黒の)雄が有利なんでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2012年12月 3日 (月) 21時31分
こんばんは、
寒くはなってきましたが、まだニッポンオナガコバチには出会ってません。
できたら、一度くらいはこう言った写真を撮ってみたいものですが、ご近所にニッポンオナガコバチはいてもクロガネモチなんて生えているのかな。
いつもながら、シッカリ時期を見計らって決定的な瞬間を撮られるのに、ただ感心するのみです(^^)。
投稿: そら | 2012年12月 3日 (月) 21時33分
こんばんは
私もこんな写真を撮ってみたいと思っているのですが、今回はじめてたくさんのニッポンオナガコバチの群に出会う所まできました。集まる木も分かりましたので、もう一歩かな。
そのことを記事にするにあたり、またまたこのブログからいろいろ引用させていただきました。
投稿: そよかぜ | 2012年12月 3日 (月) 22時29分
そらさん、こんばんは。
年中代わり映えのしない場所ばかりうろついているので、こういう年中行事は逃さないよう心掛けています。しばらく時間がとれなくて虫撮りのためのお出かけは3週間ぶりだったのですが、うまくタイミングが合ってくれました。
そよかぜさん、こんばんは。
ちょうどお訪ねしていたところでした。雌の羽化はしばらく続くと思いますので、まだ年内に機会があるのではないかと思います。また、記事に書いているようにこのハチの産卵をいまだ見ることが出来ずにいます。集まる木がお近くにあるようでしたら、是非注意してみてください。
投稿: おちゃたてむし | 2012年12月 3日 (月) 22時54分