アブラニジモントビコバチ(Cerapteroceroides fortunatus)
* 2013.01.07・追記とタイトル修正 *
タイトルの種名には当初?をつけていましたが、ezo-aphidさんより種名はそれで良いだろうとコメントをいただいたので、?を外しました。このCerapteroceroides属は全世界で9種しか報告がないそうです。また、雄は翅の斑紋もなく雌とはだいぶ異なった姿をしているようです。
前の冬にニジモントビコバチ?として掲載したものに良く似た触角と斑紋を持つトビコバチです。北隆館の大図鑑にはCerapteroceroides属の3種が図示されていますが、今回の種は翅の斑紋や体長(約1.1mm)からアブラニジモントビコバチCerapteroceroides fortunatus Ishiiと見当をつけました。その種名で探すと「蜂が好き」のサイトに標本写真が出ていて、ほぼ外観が一致するようです。
アラカシの葉裏で葉脈の間の窪みに静止していたのですが、撮影を始めると歩き出して葉柄に移ってしまったので、見失わないうちに採集して帰りました。以下、CombineZPによる深度合成です。
産卵管が見えるので雌でしょう。雄がどんな姿をしているのか大図鑑には図も説明がありませんが、雌とは全く異なるのかも知れません。
大きな触角は雌だけのものでしょうか。大図鑑には「触角梗節が四辺形をなす」とありますが、標本では大きな柄節に隠れて見えません。
(2012.12.25・明石公園)
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コメント
種名はこれで合ってると思います。この属は世界でたった9種、インド・中国・日本からの報告しかなさそうです。
雄の形態については、下記のHayat(2003)の新種記載が参考になります。www.nhm.ac.uk/resources/research-curation/projects/chalcidoids/pdf_X/Hayat2003.pdf
C. ghorpadeiという種の記載文が208頁に、雌雄の触角・翅の図が244頁に載っています。それによると、雄には、翅は(紋がなくて)透明、触角は黄褐色で「ビン型の節に長毛あり」となっています。
投稿: ezo-aphid | 2013年1月 7日 (月) 09時23分
ezo-aphidさん、あけましておめでとうございます。
以前の記事にいただいたコメントに日本産のCerapteroceroides属は4種のみ、とあったので今回は種名をつけても大丈夫かな、と思っていました。雄はやはり雌とはかなり違う姿をしているんですね。ひょっとして既に撮影した中に含まれているのかも知れないという気もしますが、交尾中ででもない限り同種と気付くのは難しそうです。
タイトルの?を外しておきます。今年もよろしくお願いします。
投稿: おちゃたてむし | 2013年1月 7日 (月) 21時41分
すばらしい画像ですね。
これだけ拡大されて、各方向から撮られているのに、触角の構造とつながり方がよく分からないのもすごいことだと思います。触角の第1節の断面は三角形ですかね?
2枚目の画像で、そのあたりが真っ黒でいつまで見てもあきません。
投稿: tukik | 2013年1月 9日 (水) 00時36分
tukikさん、こんばんは。
実はこの触角の構造を深度合成で見るのを楽しみにしていたのですが、出来上がりを見てもどうもよく分りません。生きている時の写真を見るとすんなり伸びているんですが、冷凍殺虫のせいで折り畳まれてしまったようです。こういうものにはBABAさんの手がけておられる立体画像が威力を発揮するでしょうね。
投稿: おちゃたてむし | 2013年1月 9日 (水) 21時26分