ミズアブ科の一種(Microchrysa japonica.)(改題)
* 2013.06.22・画像追加 *
ezo-aphidさんがMicrochrysa属4種の判別点を調べてくださったので(コメント参照)、参考のために記事の最後に触角の拡大像を追加しました。
* 2013.06.22・追記とタイトル修正 *
腹部の色や触角の特徴(追加画像参照)などから下の写真はMicrochrysa japonicaとしていいだろうとのご意見をezo-aphidさんからいただきました。やはりハラキンミズアブ(M.flaviventris)ではなかったようです。タイトルに種名を加えました。詳しくはコメントをお読みください。
一昨年の5月に同じタイトルで出したものと同種かも知れません。ただ体型は写真では区別がつきませんが、胸部も複眼も今回の方がくすんだ色合いでかなり印象が違います。ネット上ではハラキンミズアブMicrochrysa flaviventrisとしてよく似た画像が多数見られますが、「ミズアブ科図鑑」で同属4種の標本写真を見るとどれもよく似ていて違いが分からないので今回も前回と同じくMicrochrysa sp.としておきます。
前回はすぐに逃げられて背面しか撮れませんでしたが、今回は側面と頭部も撮ることができました。体長約4mmです。
* 2013.06.22・追加画像 *
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コメント
ハラキンミズアブは、近年に北米まで進出したとの報告がありました。そちらでの判別点として、腹部は(第5節背板だけが金緑色で)大部分が黄色、中脚腿節が(黒色部が無くて)すべて黄色、と記されていました。モノクロ写真がついてますのでご覧ください。
naldc.nal.usda.gov/download/30596/PDF
Nagatomi(1975)というのが判りました。英国の雑誌で100頁超の大著ですが・・・・。
The Sarginae and Pachygasterinaeof Japan (Diptera: Stratiomyidae). The Transactions of the Royal Entomological Society of London 126: 305-421.
投稿: ezo-aphid | 2013年6月11日 (火) 08時41分
先の文で書き忘れたのですが、「大部分が黄腹」というのは雄の特徴で、中脚腿節の色合いは雌雄ともに、ということです。「一寸のハエ・・・」にも情報は少なく、やはりNagatomi(1975)を読まなければ判らないようです。
投稿: ezo-aphid | 2013年6月11日 (火) 18時17分
ezo-aphdさん、こんばんは。
前回の記事でもお手を煩わせましたが、いつも適切な文献を探し出していただき感謝しております。
中脚腿節の色合いは一致するようですが、腹部の色は上の写真ではよく確認出来ませんね。照明の角度を変えて翅の反射の無い写真も撮っておけば良かったのですが。
種名はともかく、前回と今回の色違いの2匹が同種か否かだけでも知りたいところです。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月11日 (火) 23時41分
うーん、判別点が写真に見えるものか不明ですし、わかりませんねー。
ハラキンミズアブの雄をネット画像で眺めてみると、たくさん載っていますが3割ほどは別種のようです。「黄腹」の特徴は、翅ごしに背面から見ても明瞭に判りそうですが。今回の腹部背面は金属光沢の発色不十分(テネラル?)で、前回のは黄腹のようにも見える、ので別種だろうかなぁ、という感想です。
投稿: ezo-aphid | 2013年6月13日 (木) 04時36分
ezo-aphdさん、
すみません、この写真だけではちょっと無理な質問でしたね。
ネット画像では体色の異なるものが混在しているので、私もちょっと疑問に感じていました。もっと多数の個体を撮影できれば身近に複数の種がいるかどうか分かりそうな気もするのですが、このあたりではあまり多くはなさそうです。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月13日 (木) 06時53分
Nagatomi(1975)を読んでみました。通常の生態写真では判別不能という結論です。
雄の判別:shanghaiensis(後脛節全体が黄褐色、第2-4腹節は背面が金緑色で後側部に黄褐斑あり)、nigrimacula(後脛節先半が暗褐色、第1-4腹節背面に暗褐色の帯や斑がある)、flaviventris & japonica(後脛節先半が暗褐色、第1-4腹節背面[時には第4腹節中央部を除く]はおおむね黄褐色、ただし例外的に腹部全面が暗褐色~黒色となる)(前者の触角鞭節は1-2節で後者は3節、両者で鞭節末端部の毛の長さが違う)。つまり「黄腹」は最後の2種では共通し、しかも例外がある、とのことで両者の判別には使えないことが判りました。
雌の判別:shanghaiensis(後脛節全体が黄褐色)、nigrimacula & japonica(後脛節先半が暗褐色、ただし両者の判別はできない)、flaviventris(触角鞭節末端の有毛部は広いのが特徴、だそうです)。
触角鞭節数、末端部の毛長や有毛部の広さを生態写真で見ることは難しそうです。
投稿: ezo-aphid | 2013年6月21日 (金) 22時12分
ezo-aphidさん、おはようございます。
ほんとにお手数おかけします。
その後探してみると「一寸のハエ」の2012.01.10-11、No.7439,7444の記事にNagatomi(1997)からのflaviventrisとjaponicaの雌雄の触角の図が添付されているのを見つけました。ezo-aphidさんの引用されているものと同じものでしょうか。
触角の特徴をなんとか確認できないかと何枚かの写真を拡大して眺めてみました。鞭節は3節に見えますが、末端部の毛の状態まではさすがに判別できません。上の写真は雄ですから少なくともflaviventrisは除外できると思います。画像を追加しておきますのでご覧下さい。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月22日 (土) 07時33分
わ!、拡大画像がありましたか。これでjaponicaとしていいと思います。
nigrimaculaでは腹節を側面から見ても暗褐色斑が見えるはずですので。触角末端部の毛長は、2種を比較して判定する必要があるので、1種だけでは判りません。
ご推測の通り、「雌雄の触角の図」はNagatomi(1975)にあるもので、上述の文はそこの検索表を拾い書きしたものです。
ところで、ミズアブ科の属分類では、翅脈の形、触角の節数・形、小楯板の刺状突起数、などが重要のようです。いずれも注意して撮らないと、判別しにくい部分ですが。
投稿: ezo-aphid | 2013年6月22日 (土) 08時22分
ezo-aphidさん、こんばんは。
何枚ものピンボケ写真を探すとちょうど触角にピントの合ったのが出てきたという次第です。最初から狙って撮っていればもう少しましな画像が用意出来たはずなのですが、撮影時にはそこまで気が回りませんでした。次の機会には注意しておきたいと思います。
タイトルにはjaponicaを加えておきます。ありがとうございました。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月22日 (土) 20時03分