ヨコヅナサシガメの産卵
コナラの幹でヨコヅナサシガメが産卵していました。
この場所では非常に多い種で卵塊もたくさん見かけるのですが、産卵の場面は十数年前に一度見て以来です。おそらく普通は夜間に行われるのでしょう。
コナラの幹に縦に走る窪みの中で産卵しています。頭のあたりに見える卵塊もこの雌のものでしょうか。10cmほど上には去年のものと思われる卵塊も残っていました。毎年同じ場所に産卵する習性があるようです。
卵が排出される様子を撮ったのが下の写真です。
手前の樹皮と黒い雌の体が邪魔をして分かりにくい写真になってしまいましたが、どうにか出てくる卵が見えると思います。アカサシガメのものを細長くしたような格好です。
数個の卵を生みつける毎に尾端から水飴状の被覆物を出して卵を覆うのですが、これがなかなか面白い工程です。
まず卵塊の裾の部分に水飴を付着させてから排出口を一杯に拡げ、膜状に引き伸ばしていきます。
そのまま卵塊の稜線まで引っ張り上げて覆います。
ちょっと分かりにくいので同じ作業を後方から。こんどは卵塊の右側面です。
産卵中にこの作業を左右交互に繰り返すのですが、ごく大雑把なように見えてこんなに規則正しい構造が出来上がることに驚きます。
1枚目の写真から約70分後。産卵はまだ続いていました。
(2013.05.31・明石公園)
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コメント
こんにちは。
一連の産卵行動に唸りました。これは実際に見てみたいですね〜。繁殖力の強さの一因は卵を寄生蜂等から守るガードの固さにあるんですね。すごい!さらに憎たらしくなってきました(^^;;
投稿: BABA | 2013年6月 8日 (土) 15時16分
ヨコヅナサシガメの卵塊はちょっと他とは違う、ということは聞いていましたが、なるほどです。
これはおもしろいですね。
時の経つのをわすれてシャッターを切り続ける、おちゃたてむしさんの姿が目に浮かびます。
顔の下あたりにあるのは別の卵塊ですよね。すごい密度です。
ヨコヅナサシガメは、このところ近所でもたくさん見かけるので、今度ワタシも卵塊を探してみます。
投稿: sizenkansatu | 2013年6月 8日 (土) 19時30分
BABAさん、こんばんは。
ヨコヅナサシガメにも寄生者がいるのかどうか知らないのですが、確かにこの卵塊はガードが固そうですね。でもカマキリ卵にオナガバチやカツオブシムシが寄生するのならこの卵にも寄生者がいそうな気もします。現場を押さえるなら今がチャンスですね。
sizenkansatuさん、こんばんは。
通い慣れた近所の公園の利点の一つは、あくせく探し回ってもたいして変ったものが見つかるはずもないので、こういう時に惜しみなく時間を費やせるところだと思っています。
顔の下にある卵塊も今年のもののようなので同じ雌が産んだものではないかと思うのですが、違うかも知れません。
私の印象ではヨコヅナサシガメは例年同じ場所に産卵することが多いようなので、冬場に幼虫が集まっていた木を探せば見つかる確率が高そうです。
投稿: おちゃたてむし | 2013年6月 8日 (土) 21時34分